「触感」を録り、再現し、創りだすひみつ道具が登場!

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こんにちは。デスクに置いているスライム(過去のブログ「ホウ砂と洗濯のりでスライムを作りました」参照)をぷにぷに触るのが、職場での癒しのひとときになっています、長倉です。

スライムも毛布もぬいぐるみも人肌も、触っていると気持ちがよくて、ついずっと触っていたくなってしまいますよね。

そんな、「触感」を記録したり、再現したり、はたまた創りだしたりするひみつ道具を見つけましたよ!

癒しのひとときがさらに増えること間違いなしです。

その魔法の小箱とは、その名もTECHTILEツールキット

(写真:TECHTILE提供)

ツールキットを開発したのは、触感を通じた価値作りを目指す研究者やデザイナーからなるプロジェクトTECHTILE(テクタイル)のメンバー。

写真左から慶應義塾大学准教授の筧康明さん、慶應義塾大学特任講師の南澤孝太さん、米コロンビア大学研究員の仲谷正史さん、アーティストの三原聡一郎さん(3月末まで山口情報芸術センターインターラボ所属)。

イケメン揃いですね。

これで何が出来るの?どうやって使うの?

さっそく、使って来ました。

触感を採集する

ツールキットは、増幅装置の役割をする手のひらサイズの小箱と小型マイク、触感を伝える小型振動子からなります。それぞれを線でつなぎ、触感を伝えたいものにマイクをつけ、触感を感じたい身体の部位に振動子をつければ、振動として触感を伝える仕組み。

ではどうやって使うのでしょうか?

例えばこちら。

何をしているのでしょうか?ツールキットの振動子を色鉛筆にくっつけていますね。

触った感じを記録する、録音ならぬ“録触”した触感を再生しているんです!

あらかじめ、ツールキットのマイクをペンにくっつけて草の上を触ります。そうすると、草の上をさわさわと触れる触感が記録されます。その触感を、振動子を介して再現しながら色鉛筆で絵を描くと……まるで、草の上を触れながら絵を描くような不思議な体験ができるというわけです。

私もやってみました。

緑色の色鉛筆には、草の感触。水色の色鉛筆には、初春の風の感触。といったように、感触はあらかじめ“録触”してある中から選びます。

水色の色鉛筆では、ひゅーひゅーと風が吹くように線を描けました!

触感を創り、感じる

ただ、草や風の感触のする色鉛筆って……わかりにくいですよね。

一方ツールキットを使った触感の体験でわかりやすいのがこちら。

右の男性は、左手に持った紙コップの中に、右手の紙コップの中にあるビー玉を移し入れています。そうすると、ビー玉。が入った瞬間に、左手は、紙コップの中でごろんごろんとビー玉が紙コップの壁にぶつかる感触を感じますよね。

そこで、ツールキットのマイクを男性の左手の紙コップに、振動子を私(写真左)が持っている紙コップにつけると、なんとビー玉が紙コップの中を動きまわる触感を、何も入っていない空の紙コップを持つ私の右手で感じられるのです!

これこそ触感通信です。糸電話みたいですが。

ほかにこんなことも。

一見何の変哲もないプラレール。

男性が電車を触っていますね。ツールキットの振動子を接続して、この電車が揺れるガタンゴトンという触感を感じることができるんです。

よりリアルな鉄道模型体験を楽しめますね。

ところで「触覚」は、視覚や聴覚といった人間の感覚「五感」のひとつですよね。

では「触感」とは?筧さんによると……

なるほど。でもちょっとわかりにくい。そんなときは、体験してみるとよくわかります。

こちらは先ほどのプラレールの上級編。

左のトラックの模型には、ツールキットに接続されています。

右のiPadの画面には、水上を滑走するモーターボートが。写真では聞こえませんが、水を切って爽快に走る音も聞こえますよ。

こうして振動するトラックに触れながらiPadを見ているとあら不思議。

まるでモーターボートに触れているような、というかモーターボートに乗っているような気分になってくるんです。

触感は手先で感じる触覚だけではなく、見た目や音にも騙されてしまうという体験でした。

みんなとつながる触感ワークショップ

こんな楽しい触感体験。ひとりよりも、みんなと一緒にやってみたらもっと楽しめそう……!

それが、TECHTILEツールキットを使ったワークショップです。

今年3月、山口情報芸術センターでワークショップがあると聞き、仕事を休んで山口市まで行って来ました。

会場内には、さまざまな触感の素材が所狭しと並びます。

約30人の参加者は、大学生、研究者、社会人など全国各地から集まりました。

こちらの仲谷さんは何をしているのでしょうか?仲谷さんは触覚の研究者です。

触覚研究者がツールキットを使いつくりだした触感とは……。

身体を突き抜ける触感です。

(名作マンガ「ドラゴンボール」では、ピッコロ大魔王がお腹を突き破られるシーンがありますよね。あんな触感なんでしょうか?)

こうしてマイクにスプレーで圧力を吹きかけ、身体の前後(例えばお腹と背中)に振動子を貼り付けると、前後を突き抜けたような触感になるんです。

こちらには元ネタがあって、電気通信大学梶本研究室と渡邊淳司さんの共同研究(http://www.junji.org/slash/index.html)を参考にしているということ。

このワークショップの様子は、TECHTILEのflickrで振り返ることができますよ。

こうして、みんなのアイデアでつくり出したさまざまな触感を楽しむことのできたワークショップでした。

参加して、何よりも印象的だったのは、ほとんど全員が初対面にもかかわらず、ツールキットとともに一日一緒に過ごした参加者たちは、あっという間に仲良くなってしまったこと

触感は、一番のコミュニケーションツール?

触感は、一番のコミュニケーションツールなんじゃないでしょうか。私、普段なら初対面の人とすぐに仲良くなんてなれませんもの(人見知りです)。

一般に、コミュニケーションの手段は会話が多いですが、私は対面で話すことが苦手なので新聞記者になって書いて伝えるトレーニングをしました。

それでもやっぱりまだ苦手だから、最近は触れるコミュニケーションに興味があります。ワークショップでは、触感のコミュニケーションの可能性を感じました。

でも何も知らない人にべたべた触っていたら、ただの変態かセクハラですが。

やっぱりコミュニケーションは難しいですね……。

おまけ(告知)

触覚について、東京新聞に関連記事を書きました。こちらも合わせてお楽しみ下さいませ〜。

<育てよう!科学魂>触覚の世界を体感する (東京新聞「教育」2013.4.30掲載)

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