忍び寄る血管の病気に、科学はどう立ち向かう?

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少し前から、「血管年齢」とか「血液サラサラ」、という言葉をよく聞くようになりましたが、

なんと「日本人の1/3は、血管の病気で死んでいる」

衝撃の事実を教えてくれたのは、信州大学の新藤隆行先生。ただいま開催中のMiraikanラボ2013に参加して下さる医学研究者です。

 

日本人の死因は、オフィシャルには1位がん、2位心疾患、3位脳血管疾患です。2位と3位は、それぞれ心臓と脳の血管が細くなったり詰まったりすることが原因で、合わせると3割くらいになる、ということです。

 

ちょっとドキっとしてしまった方。2013年8月23日(金)に、もう少し詳しいところを探りにきませんか?未来館の展示フロアに新藤先生本人が登場します。医学研究のプロと直接「話せる」チャンスです!

私もお話をうかがってびっくりしてしまったのですが、まず血管って、人体で最大の器官だそうです。全部つなげると地球2周半、全部広げるとテニスコート6面分!

 

血液を運ぶ単なるチューブをイメージしている人も多いかと思いますが、ぎゅっと収縮したり、逆に拡張したりして、流れを絶妙にコントロールするなどのいろんな仕事があります。そして、これをコントロールしている陰の立役者たちがいて、「血管作動性物質」と呼ばれています。数ある中のひとつ、「アドレノメデュリン」を研究していたのが新藤先生。

 

アドレノメデュリンは、1993年に日本で発見されました。当時は、血管を広げる働きが知られていました。不思議なのは、病気で血圧が高い患者さんの血液の中のアドレノメデュリンの量が多くなること。血管を広げる作用があるのだから、血圧はむしろ下がるはずです。

 

新藤先生は、マウスを使った研究で、この矛盾を解いたのです。長~い研究の道のりの、始まりを紹介すると…、

 

①アドレノメデュリンをたくさん作るように遺伝子操作したマウスを調べました。すると、血圧が低くて、血管の病気が起きにくいことを発見!アドレノメデュリンは高血圧をはじめとする病気の原因ではなさそうだと判明。高血圧の患者さんの血中に大量にアドレメデュリンが見つかるのは、血圧を下げようといっぱい作られているからと考えられます。つまり、高血圧の原因ではなく、結果なのです。

 

②アドレノメデュリンを作れない遺伝子操作したマウスを誕生させようとしました。ところが、そもそもマウス自体が生まれてこない!ちなみに、アドレノメデュリンは作れても、その調節ができないマウスもやっぱり、誕生にはこぎつけません。アドレノメデュリンは、「不可欠なもの」と確信。

 

③血管がつまったマウスにアドレノメデュリンを与えました。すると、なんと回復したのです。血管を広げるだけでなく、アドレノメデュリンには血管を再生させる力もあったのです!

 

この後も新藤先生は、次々アドレノメデュリンの謎をひもといてゆきます(つづきは、ぜひ未来館で!) このように、病気をもった動物を使って病気のメカニズムを調べることは、人間の治療に応用するための有望なスタート地点となります。

 

有名な例は「スタチン」というコレステロールを下げる薬の開発。今や巨大な市場をもつこの薬は、病気のモデルになるウサギがたまたま見つかったことで研究が進み、開発されたそうです。

 

でも、多くの人を苦しめる病気の治療法を開発するのに、「偶然」を待っているわけにはいきません。マウスは、偶然に頼らず、遺伝子操作で、ねらい通りに、人間の病気のモデルになりうる唯一の動物なのです。

 

動物を使った研究、と聞いて顔をしかめてしまうかもしれません。でも、どれほどたくさんの人を救ってきたでしょう。めったに病院にいかない私だって、少なからず実験動物の恩恵を受けています。それらの動物たちとともに、今の医療の発達に計り知れない貢献をしてきた研究者のナマの声を聞きに、ぜひMiraikanラボ2013にお越しくださいね。

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