がんばってね!先生!!

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先日、来館された方とお話しして、「先生がんばっ」と思ったのでお話しさせてください。

ねこ1 

このイラストは後で説明するとして、先日と言っても年末のお話です。

40代とおぼしきある男性が、常設展示フロア5階にあるスーパーカミオカンデの1/10模型の中から出て来られたので、声をかけると、

「ニュートリノって、なんですか?」と聞かれました。

それは、「化学で習う(電子はひとつの軌道に2つまでしか入らないという)『パウリの排他律』で有名なあのパウリが、あるはずだと予言はしていたのですが、まったく捕まらなくて困っていた素粒子なんですよ」なんて、話をすると、今度は「ヒッグスって何ですか?」とお聞きになる。

そこで、素粒子の表をもとに「すべてのものに質量を与える役割を持つ素粒子ですね。この前、見つかったっていうことで、ヒッグスさんとブロウトさんがノーベル賞をもらいましたよね」と、話すと、そろりそろりご自分の話をして下さいました。

実は、中学の理科の先生で、自分自身は物理専攻じゃなかったけれど、こういった最先端のことにも生徒たちに興味を持ってもらいたくて、自分で勉強しているとのこと。

けれど、豆電球を光らせたり、レンズで光の屈折を説明したりで手一杯で、もう素粒子になんかたどり着けない。

「どうしたら、今やっている理科の勉強と例えば素粒子がつながっていることを実感させることが出来るんだろう?」と日頃から考えていて、その想いを聞かせてもらいました。

 

すばらしい先生だなぁ〜としみじみ感心していると、そこへ、小学生くらいのお孫さんをお連れのおばあちゃんが、会話に参加。

おばあちゃん:「あらぁ〜これが、この前ノーベル賞を取ったって言うヒッグスなんとかね〜」

「で?何になるの?」

とおっしゃるので、

私:「私たち、体重、ありますよね」「こいつ(ヒッグス粒子)のせいなんです」「重さって、どうしてあるんだと思います?」

おばあちゃん:「モノに重さがあるのは当たり前でしょ」

私:「それが、この前やっと、重さの素の粒子を見つけたんですよ」

おばあちゃん:「え"〜〜〜そんなことも、わかってなかったの?」

「あら?このグラビトンってのは?」「あの重力?」「これも、わかってないの?」

 particles1

私:「そうそう、実はどうやって重力がはたらいているのかわかってないんですよ」

おばあちゃん:「あ"〜〜〜うっそぉ」「そんなこともわかってないの???」

そう...

私たち、重力を習うとき下に落ちる時の例で習いましたよね。

でも、2つのおもりを天井からつり下げておくと、すこーしずつおもり同士が引き合うんですよ。

つまり、重力のもとは、万有引力ですよね。

「万有引力の法則」っていうのは「質量有るもの万(よろず)引き合う」わけですから、なにも地球にモノがひかれて落ちるだけでなくて、ぶら下がっているもの同士だってお互い横に引き合うんです。もっと言うと、立ち話している私と先生とおばあちゃんとお孫さん同士だって、話をしている最中にも少しくらいはお互い引き合って真ん中あたりに移動しているわけです。

たとえば、猫とネズミを天井からぶら下げておくと...

 ねこ11

ネズミはいつか食べられちゃうかも。

もっとも、万有引力定数があまりにも小さいので、

 ねこ3

猫とネズミでは軽すぎて、引力の効きが小さく、「食べられる」危険性は無いでしょうが。

(地球や、太陽みたいに大きくなると万有引力が効いてくるんですね)

 ねこ4

実はこれは、万有引力定数を正確に測るために考案された「キャベンディッシュの実験」という有名な実験をもとに、わたしが考えたたとえ話です。でも、

「縦のものを横にもしない」という言葉がありますが、

縦のものを横に置き換えてみるだけで、ものの見方が変わって、万有引力の法則のすごさに気づかされませんか?

おばあちゃんは、へぇ〜〜と感心されてお孫さんと去って行かれましたが、さて、話を先生に戻しましょう。

 

先生も一緒に私の話を聞いてらしたのですが「重力子だって立派な素粒子」で「重力子をやり取りしているから、重力がはたらいているはずなんだけれど、まだ見つかってないんだ」ということにびっくりされていたようです。

身近にある、まだわかっていない、先端科学の例です。

いまのところ、これを「重力子」という素粒子で説明しようとしているんです。

(もっとも、ここまで、説明すると、なんでヒッグス粒子があると重力子が作用するのか?なんて、ことも気になりますよね。

わかってないんですよ!ヒッグス粒子だって、「ある!」ってことはわかったけど、その性質も、何種類あるのかも、未知。重力子との関係なんて、先のまだ先っ!)

先生にも、そして、このブログを読んで頂いてる皆さんに身近に素粒子を感じてもらえたら幸いです。

そして、「教えていることと、先端科学の関係」について、全国で多くの先生が似たような想いをお持ちだと思います。

先生が「ここに来たら、難しい素粒子でも分かりやすく教えられるヒントが得られるんではないかと思って来たんです」と言われていましたが、私たち科学コミュニケーターは、少しでもお役に立ちたいと思っています。

全国の先生方!ぜひ、いらして下さい。

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