「わかりたい」の原動力〜物理が専門でない私のノーベル物理学賞2016〜

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---- "for theoretical discoveries of topological phase transitions and topological phases of matter"!

10月4日。聞いたことない単語が並んだノーベル物理学賞が発表された瞬間から21時間半。
周りから「殺気立ってた」と言われたくらい、物理学チームは全身全霊を注いで受賞テーマをわかろうとした濃い時間を過ごしました。
物理が専門でない私が、物理学チームの一員として今年のノーベル物理賞の受賞テーマと向き合い、気付けたこと。それは、なぜ「わかりたい」と思うのか。知的好奇心の原動力でした。

20161007_tsuboi_01.JPGニコニコ生放送の様子(18時31分、発表前でまだ和やか)

こんにちは。科学コミュニケーターの坪井です。
ノーベル物理学賞発表の当日、私はニコニコ生放送 に出ていました。

ほぼ時間通り18時45分頃に発表された2016年のノーベル物理学賞は
「トポロジカル相転移と物質のトポロジカル相の理論的発見」

正直に言います。
受賞タイトルを見ても、さっぱり何のことだかわかりませんでした。

 - そもそもトポロジカルって何?
 - 渦がペアになったり、離れたりすると何が起こるの?
 - 「超伝導」って言葉が出てくるけどどうつながるの?

概要も掴めぬまま、気付いたときには放送が終わってしまったのですが...


放送終了後。
実はここからが、すごくエキサイティングな時間だったんです。

20161007_tsuboi_02.JPG一心不乱に調べる物理学チーム(22時52分、終電との戦いになってきています)

当日中にアップする解説ブログ 、翌日16:15に設定されたサイエンスミニトーク、展示フロアに掲示するパネルの作成のため、私たちは受賞テーマを理解しようとがむしゃらに取り組みました。

今回の受賞テーマは、どうやら専門外の私だけでなく、他のメンバーにとっても難しい内容だったようです。

物理学チームの5人が、同じ部屋の中で、同じ内容に頭を悩ませる。
静まり返った部屋で、突然誰かが「あ!」と喜びの声をあげ、わかったことをチームで共有する。
共有するために何人かで話をしていると、また新しい疑問が出てきて、それぞれのリサーチに戻る。

20161007_tsuboi_03.JPG
ホワイトボードに書きながら話し合い(19時58分)
(手前は強力な助っ人となった国際調整室長の屠)

調べて、考えて、わかって、喜んで、話して、またわからなくなって、また調べて。
その繰り返しでした。

18時45分の発表から、翌日16時15分からのサイエンスミニトークを終えるまでの21時間半。
一進一退しながらですが、少ーしずつわかることが増えていきました。

その時の私を動かしていたのは、わからないものを「わかりたい!」と思う気持ちでした。

20161007_tsuboi_04.JPG発表当日を終えた物理学チームと詫摩(23時17分、笑顔にも翌日からの不安が......)

なぜ「わかりたい」という気持ちで、こんなにがむしゃらに頑張れたのでしょうか?
「わかりたい」という気持ちの原動力はどこからくるのでしょうか?

その時は考えもしませんでしたが、怒涛の2日間を終えた帰り道に考えてみました。

見つかった答えは、
「わかったらきっと、心の底から湧き上がるような感動に出会えるような気がするから」


「なぜ私たちは、この世界のことを知りたがるんだろう?」


この問いは、私が予想したアト秒物理学 が、人類が観測できる時間分解能の限界を大きく更新した研究だったため、ニコニコ生放送の中でアト秒物理学の紹介をした後に「見ている皆さんと一緒に考えたい問い」として考えていたものです。

実際には時間の関係で「問い」は出さなかったのですが、全くわからなかったものを全力でわかろうとした経験を通して、この問いに対する自分なりの答えが見つかりました。

20161007_tsuboi_05.JPG発表直後、ノーベル財団のプレゼン内容をお伝えする私(19時01分)
(今思えば全く十分でない内容でした...表情も硬いです)

ブログ記事を書き、サイエンスミニトークをなんとか形にして発表翌日に来館者の前で実施してもなお、正直なところ、私は今年の受賞内容をよく理解できていません。

だからこそ、まだまだ「わかりたい!」

ノーベル賞の発表は終わりましたが、物理学チームは、13日のニコニコ生放送「誰でもわかる 今年のノーベル賞~生理学・医学 物理学 化学賞~」 に向けて、走り続けます。

ちゃんとわかって、心の底から湧き上がる感動に出会えたら、今度は皆さんが「わかった!」と喜びの声を上げるためのお手伝いをしたい。

2日間、5人の科学コミュニケーターが全力で取り組んでも、なかなか「わかった!」にたどり着けないタフなテーマですが、皆さまにはもう少し近道を通って「わかった!」までたどり着いてもらえるよう、科学コミュニケーターとして全力で頑張ります。

もう少しだけお待ち下さい!

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