緊急時にはコミュケ

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アメリカ留学から帰国してはや6年。今でも感心するのはカタカナ略語の大胆さ。リモコンやコンビニはさすがになじみがあるけれど、スパコンとかワンセグとか、初めに聞いたときは仰天しました。おまけに西と東でも違います。「X君なら今朝マック買ってるのを見かけたよ」なんて言われると、関西出身の私は今でも、

いったいなぜそんなに気軽に買えるの!?

と反応してしまいます。関西でマクドナルドは「マクド」ですから(マックといえばパソコン)。

英語の単語は長すぎるので短く。コネクションはコネ。コンサバティブはコンサバ。では「コミュニケーション」は?

先日、英国大使館・政策研究大学院大学共催シンポ「緊急事態における科学者の情報受発信 ~フクシマからの教訓~」を聴講してきました。福島原発の事故という危機に際して、在日イギリス人の不安を取り除くのに、大いに貢献したのが英国大使館のコミュニケーションだったそうです。具体的に何をしたのかを、英国政府主席科学顧問のサー・ジョン・ベディントンさんがご講演。

ベディントンさんが務める主席科学顧問という役職は、科学技術に関することがらについて首相に直接助言するのがお役目。東日本大震災の直後、ベディントンさんはまず専門家による緊急諮問委員会を招集し、福島原発の事故が「最悪の事態」になった場合、何が起こるかを計算したのだそうです。こうした計算をしたこともびっくりですが、その結果もオドロキでした。

「最悪の事態」では、なんと高さ500メートルのきのこ雲に!

私は未来館の特設サイト「科学コミュニケーターと見る東日本大震災」のQ&Aで原発記事を担当しましたので、ずっと福島原発を追ってきたわけですが、高さ500メートルなんて数字は初めて聞きます。日本の政府もこれを計算していたのでしょうか?

次にベディントンさんが行ったのは、大使館から在日イギリス人に向けて電話会議を実施すること。最悪の事態を想定した科学的根拠から、退避は必要ない旨を説明し、不安の声や質問に、簡潔でわかりやすい回答をしました。

さて、この講演後におこなわれたのが、内閣府原子力委員会や東京大学、科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センターの代表の方々によるディスカッション。ファシリテーターは池上彰さんです。以下のようなことが話し合われました。

今の日本に何が欠けているのか。それはいろいろな意味でのコミュニケーション。政治家同士のコミュニケーション。政治家と研究者のコミュニケーション。政治家と国民のコミュニケーション。そして研究者同士のコミュニケーション。

現代の科学研究はどんどん専門化されていて、違った専門の研究者同士がコミュニケーションできない状況になっています。専門家をまとめ、一般人にわかりやすく説明し、政治的判断もできる──ベディントンさんのようなコミュニケーションのプロが日本にもほしいところです。研究者や政治家も、一人ひとりが専門と専門の間でのコミュニケーターになれなければ、緊急時にコンセンサスがとれません。

必要なのはコミュニケーションと、コミュニケーション能力。でも、緊急時に「コミュニケーション」という語は長すぎます。

インターネットで検索してみると、なんとコミュニケーションの略語として「コミュケ」が!今日も1つ感心。緊急時には「研究員とコミュケをとれ!」というわけですね。

私の切実な願いは「科学コミュニケーター」の略語が、年内にポピュラーになること。自己紹介するときに、言うのも書くのも大変ですから。

何かいい案はないでしょうか?

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この記事への4件のフィードバック

はじめてコメントします。habijiji と自称しています。大阪・羽曳野に住む爺だからです。79才の定年退職者です。

「マック」と「マクド」。まったく同感です。(ただし、わたしはハンバーガーよりも牛丼の方を好んでいます)。「デパ地下」とか「ファミレス」なんて、日本語ならではの省略法ですね。英語では到底できない芸当と思われます。

「物理と宇宙」をこよなく愛されている林田さんに、ぜひとも教えていただきたい疑問があるのですが、それは次の機会にゆずります。

節電の夏、なにかと大変でしょうが、お仕事にご精励下さい。興味あるブログを期待しています。

私も日本にも主席科学顧問というような制度が必要だと思いますし、現に検討されていると聞いています。この場合最も大切なことは、科学顧問の客観性と国民、政府、学者全ての人からの信頼性だと思います。例えば放射能の健康に対する影響については様々な人が異なる見解を述べています。この様な場合英国の主席科学顧問の制度ではどのようにしてその客観性と信頼性を担保しているのでしょうか。ご存知でしたら教えて下さい。

habijijiさま、コメントありがとうございます。今日も驚きの短縮語を聞きました。「スマグリ」。なんの略かといいますと、次世代送電網「スマートグリッド」のことなんだそうです。大阪弁だと「スマグ」とか(?)。

宇宙と物理、その他なんでも疑問・コメントおよせください!

確かに!ただポジションをつくっても、信頼関係がないと機能もしません。シンポで聴いたことを書きましょう。

主席科学顧問は定例で各専門から選ばれた代表者と会合し、先端の科学技術について、常に新しい知識を得ています。今回の原発事故でも、即座財に各専門家を一堂に集め、科学的見解をまとめました。そしてこれをもとに、主席科学顧問は政治的判断もしなければなりません。必ずしも科学的見解は一致しませんし、どこまで経済、地域を犠牲にするかの判断も難しいものです。

しかし、信頼のおけるデータはあります。それは「最悪の事態」において、放射線量がどれくらいになるかということです。英国大使館はこれについて、非常にオープンな姿勢をとりました。在日英国人に大変解りやすい説明をしたのです。

何を信じてよいかわからないとき、人は信用できるデータと、それが信用できるという根拠を探すのだと思います。隠せば隠すほど、人は信じなくなるのではないでしょうか。また、

説明が混沌としてわかりづらければ、正しい情報も伝わりません。

主席科学顧問につく人は、科学技術の広い領域において理解があり、政治的判断ができ、またコミュニケーション能力に長けている必要があるかと思います。

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