ドラマな鰻

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7月21日、今日は土用の丑の日です。シラスウナギの不漁でウナギの卸値が高騰しているそうで、近所のスーパーでは蒲焼き用のウナギ特大サイズが1680円。夕飯に鰻を食すか否か、お財布と相談するその前に! ドラマチックなウナギ研究に思いを馳せるのはいかがでしょう。

故郷は遠い南の海

「広大な海洋の中で、ニホンウナギの産卵場所はピンポイントでどこなのか?」。40年以上前に調査が始まったこの壮大な研究プロジェクトを率い、ウナギ産卵場所の謎を突き止めたのは、東京大学大気海洋研究所の塚本勝己先生です。

ウナギは一生の間に海と川とを数千キロも回遊する魚です。稚魚のシラスウナギは、冬から春にかけて日本の沿岸にやってきます。川をのぼったウナギは黄ウナギになり数年たつと銀ウナギに変態して海へ下り、自分の生まれ故郷に戻って産卵するといわれています。しかし、はっきりとした大回遊のルートや産卵の実体はわからないままでした。

塚本先生のチームは研究船で大海原をぷかぷか漂うウナギの赤ちゃんを捕獲し、孵化後の日数や遺伝子を解析。少しずつ産卵場所の候補海域を狭めていく地道な研究を行なってきました。そしてついに2006年、西マリアナ海嶺のスルガ海山の付近で卵から孵化したばかりの幼生を、そして2009年にはほぼ同じ場所で天然のウナギの卵を見つけました。さらに2011年、今年の夏。なんと約150粒もの受精卵を採取することに成功したのです。

[caption id="attachment_2956" align="aligncenter" width="430" caption="2011年6月28日-29日にかけて 北緯13°00, 東経141°55で採集されたニホンウナギ卵。帰港後の遺伝子解析のためエタノール固定されている。 (資料提供:東京大学大気海洋研究所)"]ウナギ卵1[/caption]

 

まだまだ続くウナギ研究

古くから親しまれているウナギ。身近すぎて、科学的に不思議なことなんて何もないようなイメージはありませんでしたか?

エビやマグロと同じく日本人が大量消費する海産物であるがゆえ、種の保全や養殖技術の向上が望まれるのは当然ですが、私はドラマチックなウナギの生態研究そのものに心惹かれます。ウナギがなぜとんでもない大回遊をするのか、どうやって故郷の場所を覚えているのか、謎はまだまだまだつきません。

最新の調査で採れた貴重な卵は、ホルマリン漬けとなり、本郷の東京大学総合研究博物館で秋まで見られます。

人類がはじめて手にした天然のウナギ卵。はやぶさのカプセル(こちらも粒が大事!)より感動ものかもしれませんよ。

[caption id="attachment_2957" align="aligncenter" width="430" caption="2011年6月28日-29日にかけて 北緯13°00, 東経141°55で採集されたニホンウナギ卵の1つを顕微鏡で拡大。直径約1.5ミリ。 (資料提供:東京大学大気海洋研究所) "]ウナギ卵2[/caption]

 

もっと詳しく知りたい方への関連リンク

東京大学大気海洋研究所・平成23 年7 月10 日プレスリリース

人類が初めて目にした天然ウナギ卵―ウナギ産卵場2000年の謎を解く―塚本勝巳(東京大学大気海洋研究所教授) ※PDF

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