世界はタイヤで変えられる。…かも!?

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ブログをご覧の皆様、こんにちは。新人科学コミュニケーター野副でございます。

前々回の「レゴ前回の「ガンダムに続いて、今回も「大好き人間シリーズ」です。

前回の後半でも少しクルマの話をさせていただきましたが、何を隠そうわたくし、クルマも大好き人間なんです。三つ子の魂百までといいますが、母曰く、物心つくかつかないかくらいのころから「ミニカーさえ持たせていれば大丈夫」だったそうです。そのまま三十数年、クルマ大好きな大人になってしまいました。

さて、そんなクルマ大好き人間の大好きなイベント、東京モーターショーが閉幕いたしました。日本自動車工業会の発表によりますと、前回より会期が短いにも関わらず、来場者数が37%上回ったそうです。今回は国際展示場での開催ということで足を運ばれた方も多いのではないでしょうか。

メディア等で会場の様子も報じられておりましたので、スマートフォンみたいなクルマや、あのネコ型ロボットのキャラクターたちと一緒に展示されているスポーツカーをご覧になった方々も多いと思います。でも、今回はクルマ本体の話ではありません。モーターショーでは毎回、クルマだけではなくてそれに関連した様々な製品や技術展示などもたくさん展示されます。その中のひとつを今回、取り上げたいと思います。

じゃじゃ~ん!これ、何だと思いますか。

お姉さんが運転している乗り物のタイヤに注目です。普通のタイヤには見えないですよね。

さらにアップで。

すでにご覧になった方はご存じだと思いますが、これはブリジストンが出品した「パンクしないタイヤ」です。従来のタイヤは、充填した空気でクルマを支えますが、これは特殊な樹脂製の網で支えますので、そもそもパンクしないのです。

トヨタ自動車の調査によれば、パンクする確率は8万キロに1回と言われています。1年間に1万キロ以上走行しないクルマであれば、クルマを買い換えるまで1回もパンクしない場合もあると思います。でも、現在の法律では万が一、パンクしても安全なところまで移動できる対策をしなければならないと定められています。

そのために載せているスペアタイヤ、実は意外と重いのです。車種にもよりますが、10~15kgくらいあります。あるかないかのパンクのために、ずっと載せたまま移動するのってもったいないですよね。もちろん、1回も使われずにそのまま廃棄されるスペアタイヤそのものももったいないです。スペアタイヤがなくなれば、その分、車重が軽くなって燃費が向上しますし、車内のスペースも広がります。実際に、最近発売されている車種のいくつかは、標準ではスペアタイヤを搭載せず、パンク修理キットを搭載しています。これは、パンクの穴をふさぐ薬剤とエアーポンプがセットになったもので、タイヤの空気バルブのところから薬剤を注入し、パンクを修理します。穴がふさがったらポンプで空気を入れれば、再び走り出せます。

パンクされたご経験のある方ならご存じかもしれませんが、例えば前輪がパンクするとハンドルが取られてまっすぐ走れなくなります。速度やクルマの状態にもよりますが、場合によってはハンドルでは制御できなくなって道路の外へ飛び出して横転したり、他のクルマや中央分離帯に衝突したりして大事故につながってしまうかもしれません。また、安全に停車できたとしても、退避スペースが近くになかったら渋滞の原因になってしまう場合もあります。

パンクしないタイヤが実用化されれば、そのような危険性を激減できますし、渋滞の原因となることもありません。また、パンクしたタイヤそのものも無駄にはなりません。…そう、パンクしないタイヤっていろいろな意味で「エコ」なんです。このタイヤはまだ研究段階ですが、近い将来、「そういえば昔はパンクっていうことがあってねぇ…」なんて、免許取り立ての若い人に昔話をするようなときが来るかもしれませんね。

…と、ここでモーターショーで見た未来のタイヤをもうひとつ。

この写真に写っている丸いもの、実はこれもタイヤなんです。

グッドイヤーが、アメリカ航空宇宙局(NASA)と共同開発中の次世代月面探査車(写真の奥にあるのがその1/10模型)のタイヤなんです。タイヤといっても、ゴム製ではありません。月面では非常に強い紫外線と宇宙放射線にさらされる上、寒暖の差が大きいために、通常のゴムタイヤでは短時間で劣化してしまうそうです。そのために金属製の網でできています。

このタイヤ、まだ世界に2本しか存在しないそうで、その貴重なひとつがモーターショーに展示されていました。閉幕後、すぐにロシアに持って行くとのことでしたので、今頃はもうロシアで展示されているか、もしかしたら、また次の場所に移動しているかもしれませんね。

パンクしないタイヤと宇宙のタイヤ。今回はこのふたつの未来のタイヤのお話でした。

大好き人間シリーズ」は今回でいったん終了し、次回は、私の研究員時代のことをお話ししたいと思っています。お楽しみに。

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