邦画を科学する ~踊る大捜査線編~ 踊るビッグデータ

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「レインボーブリッジ、封鎖できません!」

青島刑事のこのセリフで東京お台場のレインボーブリッジを一躍有名にした映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』

犯罪予告、情報漏えい、クラッキングなど、数々のインターネット犯罪とたたかってきたこのドラマの裏には、今、IT業界が注目するキーワード「ビッグデータ」が隠れていた...!? 今回はそんなお話です。

踊る大捜査線パンフレット

私物の映画パンフレット

(以下、映画のストーリーについて触れています)

こんにちは、科学コミュニケーターの久田です。

私は映画が大好きです。SF、アクション、ミュージカル、コメディー、アニメ、ドキュメンタリー。どんな映画にも人間ドラマがあり、科学的なエッセンスがつまっています。

え? 「科学はSF映画だけだろう」って?

そんなことはありません。今回はアクション映画(コメディー映画?)『踊る大捜査線』から、空間情報科学をご紹介します。

『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』のあらすじ

湾岸所管内で凶悪事件が発生。本庁の指揮のもと、主人公の青島刑事らは捜査に乗り出す。最新の監視カメラシステムを駆使して犯人を捜す青島達。しかし、彼らの組織捜査をあざ笑うかのように、第2、第3の事件が起こってしまう。

この映画では、部屋の壁一面に街中の監視カメラ映像を映し出す、架空の捜査システムが登場します。これを使えば、部屋にいながらにして全市民を監視することができるというのです。そのシーンでのセリフがこちら。

「この監視システムを運用すれば、警察が市民を包囲したも同然です」

確かに入ってくる情報量は多そうです。しかし、それを処理するのは数人の捜査員だけ。これほどたくさんの映像を把握しきれるのでしょうか...。

ここでキーワードとなるのは大容量。大量の情報を集められても、処理が追いつかなければ宝の持ち腐れというわけです。

さて、ドラマが進み、青島達は犯人達をあと一歩というところまで追いつめます。しかし、犯人達が逃げ込んだのは人ごみの中。様々な情報が錯綜する中、捜査を指揮する捜査本部長はある決断を迫られます。この場面での本部長の言葉がこちら。

「待ってよ。今考えているから!」

...事件も情報も待ってはくれません。

時間をかけて正しい判断ができたとしても、チャンスを逃しては意味がないのです。そして事態は急展開を見せ、この本部長は

「捜査を立て直す」

と言い放ちます。情報を整理して作戦を立て直すということでしょうか。こうしたやり方は「構造化」と呼ばれます。「構造化」とは、データの規格をそろえ、データベースにしてから解析する手法。例えば、「アンケートを全部回収してから、性別、年齢などのグループ別に整理して、傾向を分析する」などがそうです。しかし、監視カメラの映像データをはじめ、GPSの位置情報やカードを使った購入記録、ソーシャルメディアへの投稿やIDタグによる管理記録など、様々な情報を集められるようになった現在、これらの情報の規格をそろえるのは大変ですし、規格にあわなくて捨てられたデータの中にこそ、大事な情報が眠っているかもしれません。

ここまでで出てきた3つのキーワード、

・大容量

・スピードが大切

・規格がそろっていない

これが「ビッグデータ」の正体です。

さて、要点がつかめたところで、問題はその活用法。価値はあるけれども扱いの難しいビッグデータを、うまくチャンスに結びつける方法はあるのでしょうか...?

ありました!

それは、捜査方針を一新する映画のクライマックスシーン。

アナログ感あふれるある方法で、捜査員が力を合わせて犯人達を追いつめます。(ここに書けないのが残念!ぜひ映画をご覧ください)

でもこれは、アナログなやり方がIT技術に勝っているということではありません。例えば、東日本大震災の際、インターネット上に立ちあがった「安否情報確認サービス」。このサービスでは、各地の避難所の名簿を携帯電話のカメラで送信してもらい、それを大勢のボランティアが文字データに直して発信するという、まさに映画のような状況がIT技術を駆使して起きていました。

さらに、よりハイテクに、コンピューターによる自動処理を活かした例もあります。

それは、車の走行軌跡データ(フローティングカーデータ)を利用した「通行可能道路情報提供システム」。震災直後は各地の道路が寸断されていて、被災地を支援しに行こうにも、安全に通れる道がわからない状況でした。そこで活躍したのがこのシステム。先に通過できた車がいるならば、その道は今も通れるはず。そこで、一台一台の車の走行データをリアルタイムで集め、そこを「通行可能な道路」として地図に載せたのです。こうした、「そこにいるだけで生まれてくる情報」を共有して、私達の生活に役立てようという科学のことを「空間情報科学」と呼びます。

そういえば、劇中にこんな会話がありました。

「地図にないトンネルを車が走っているぞ!」

「この街(お台場)は未完成なんです。今も道路を建設中で増殖を続けているんです」

こんな混乱も、空間情報科学があれば解消できるのです。

「踊る街」お台場のように、情報社会も建設中で増殖を続けています。このように溢れかえる情報の渦の中で、私達も「踊らされている」のかもしれません。

でも、どうせ踊るならば自分から踊ってみませんか?

というわけで、最後にご紹介するのは、同じくお台場にある当館の人気展示「アナグラのうた」


この空間では、あなたの行動が情報になり、形になり、歌になります。

情報が生み出すパワーと未来を感じながら、私達と一緒に踊りませんか?

「踊る街」お台場で、レッツダンス!

 

ビッグデータの詳しい話は次の記事でも取りあげています。こちらもあわせてお楽しみ下さい。

・ ビッグデータ ~ 風が吹けば桶屋は儲かるのか ~

・ 続: ビッグデータ ~ 巨人を生み出す源泉 ~

 

そして、最後にとっておき(?)のおまけ情報を。

9月7日(金)より、「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」が公開されます。

この映画の重要場面に未来館が登場! (......カットされていなければ)

どの場面か、ぜひ探してみてください!

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