邦画を科学する ~ガメラ編~ ガメラVS生物多様性

このエントリーをはてなブックマークに追加

こんにちは、科学コミュニケーターの久田です。

みなさん、生物多様性って知っていますか? 来月(2012年10月)インドで行われる生物多様性条約第11回締約国会議COP11、そこで話し合われるテーマが生物多様性です。

生物多様性とは、なんなのでしょうか?

世界の国々が話し合わなければならないほど、大切なものなのでしょうか?

そんな疑問に答えるのが今回のお話、生物多様性のありがたみが分かる怪獣映画『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)のご紹介です。ゴジラと並び、日本を代表する大怪獣ガメラを倒す鍵は生物多様性にあった!?

今回は、宇宙怪獣になったつもりでお楽しみください。

私物のガメラ2特集号

 私物の映画特集号

(以下、映画のストーリーについて触れています。)

『ガメラ2 レギオン襲来』のあらすじ

宇宙から謎の隕石が日本へ落下。やがて巨大な植物が近くの街に現れ、周囲の環境を変化させていく。このままでは地球の生物が住めなくなってしまう。退治に乗り出す人類とガメラ。しかし、それを阻むように無数の宇宙生物が出現する。そして…。

これまでもたくさんの映画で宇宙からの侵略者に襲われてきた地球ですが、この映画の宇宙怪獣レギオンはそれまでの侵略者とは一味違います。何が違うかと言うと、この怪獣、植物と共生関係を作っているのです。共生関係とは、種類の異なる生物が互いに相手を助けあう関係のこと。この怪獣の場合、草体レギオン、群体レギオン、女王レギオンと呼ばれる三種類の怪獣が共生しています。それはいわば一つの生態系。そしてなんとこの怪獣達、草体が宇宙に発射する種に乗って星から星へと移住するのです。つまり、宇宙規模の外来種による侵略です。

さっそくそれぞれの役割を見てみましょう。

・草体レギオン…群体と女王に、住みやすい環境と宇宙への移動手段を提供する。

・群体レギオン…草体と女王をまもる。

・女王レギオン…草体を守り、群体を生みだす。

この共生関係にガメラは苦戦させられます。群体は蟻の群れのようにガメラを攻撃し、草体は種を発射する衝撃でガメラを吹き飛ばします。さらに、強力な女王までいるのだからガメラも大変です。

しかし、ガメラにも地球の生態系の仲間がいます。人間です。

人間は敵の習性を見抜き、群体の弱点をついたり、防衛線を張ったりして宇宙怪獣に対抗します。そして気になる戦いの行方は…、映画をご覧ください!

…さて、ここからは宇宙怪獣の立場に立って地球を侵略してみたいと思います。正しい(?)地球侵略プランを考えると、生物多様性の大切さが見えてきます。

まずは反省点を探してみましょう。すると、次の三つが浮かびあがってきます。

1.群体全員が同じ弱点を持っていて、そこを人間に突かれてしまった。

2.仲間が三種類しかいないため、一つ欠けただけでも生態系が崩れてしまった。

3.ひとかたまりで動くため、防衛線を張られてしまった。

そこで、改善策としては、次のような手が考えられます。まずは一つ目、弱点を分散すること。もし、一匹ずつの弱点が違えば、全員が同じ弱点を突かれることはなくなります。これを生物多様性の言葉に言い換えると、遺伝子の多様性』。同じ種族の中に、少しずつ性質の違うものがいることで、その種族は環境の変化に強くなる、という一つの例です。

2つ目の改善策は、もっとたくさんの種類の生物で生態系を組むこと。この怪獣の場合、女王がやられてしまえば、群体も生まれなくなり、草体を守る生き物がいなくなってしまいます。つまり共倒れです。しかし、もし他にも草体を守る怪獣がいれば、草体は生き残れそうです。つまり、一つの生態系がより多くの種で構成されている方が、言い換えれば、種の多様性』が豊かな方が、生き残れる可能性が高くなるということです。

そして最後は、もっと多様な場所で生きる生態系とともに移住すること。生態系が一つだけでは、防衛線を張られてしまいますが、様々な場所に住む生態系と一緒に地球の環境を改造していけば、集中攻撃されることを防げます。これは、生態系の多様性』が大きな生活環境を作っていることを反映しています。

こうして見ると、たとえ強大な宇宙怪獣であっても多様性の乏しい生態系は弱いということが分かります。

ここで映画から現実に目を向けましょう。

私達の住む世界では、世界規模で生物多様性が劣化していっています。例えば、脊椎動物の個体数は、過去30年間で3分の2まで減少し、今も減り続けていると言われています。消えてゆく種族は、今すぐ私達に必要なものではないかもしれません。しかし、宇宙怪獣の例で見たように、生き物同士は複雑に絡み合っていて、いずれは私達にも影響がはね返ってきます。そうなる前に、私達がすべきことや、実際にできることは何なのでしょうか。

そんな話し合いが、9月15日に世界同時で行われます。世界市民会議World Wide Viewsです。

この会議では、世界各国のふつうの市民が、同じ日に、同じ方法で、地球規模課題の解決方法を考えます。そして、そこで話し合われた意見はCOP11の政策担当者に届けられます。

今回はガメラをテーマに生物多様性が失われることの意味を考えてきました。しかし、生物多様性にはもう一つ重要テーマがあります。それは遺伝資源の利用の問題。今、多様な生物の遺伝子が資源として注目されているのです。そこではどんな問題が起きているのでしょうか?

そのお話はまた次回、映画を例にご紹介したいと思います。

次回の主役はゴジラです。

World Wide Viewsの詳しい話は次の記事でも取りあげています。こちらもあわせてお楽しみ下さい。

9月15日 世界同時開催イベント!

※コメントをする際は「ブログへのコメント投稿について」をご覧ください

※「名前」は、ハンドルネームでも構いません

コメントを残す