2012年ノーベル賞を予想する!~物理学賞その1~

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まいど!

皆様いかがお過ごしでしょうか?

ご無沙汰してます、科学コミュニケーターの本田です。

さて、秋と言えば、食欲?睡眠?いいえ、ノーベル賞でしょ!(ほんまかいな)

とはいえ、まさか自分が予想師になるとは夢にも思いませんでした。

しかし、指名されたからには、がんばって考えましたよ。

長い目と、広い心でご覧ください(ちなみに、私の専門は地学です)。

 

本田の予想する物理学賞

受賞者: Yakir Aharonov(イスラエル)、Sir Michael Berry(イギリス)

受賞テーマ: 量子力学における幾何学的位相に関する貢献

(アハラノフ=ボーム効果、ベリー位相の発見)

アハラノフ博士©Chapman Univ. ベリー博士©Bristol Univ.

この研究のここがスゴイ!

普段私たちが見ることのできない、極小の世界の物理「量子力学」ならではの現象を発見したということです!

光通信半導体といった現代の社会を支えるナノテクノロジーの発展に貢献しています。

 

◆この世界は粒であり、波である◆

この世界にある物質はすべて、分子や原子などの小さな「粒子」からできています。

しかしさらに小さい電子や素粒子といった粒子を見てみると、私たちのイメージするかっちりした「粒子」としてだけでなく、ゆらゆらする「波」としての性質も持ちあわせています。

また、私たちが「波」だと考えていた光や電波にも、よく見るとなんと「粒子」としての特徴があるのです。

これらのような「粒子」であり「波」でもある性質を持つものを「量子」と呼び、この不思議な振る舞いを考える物理学を量子力学といいます。

極小のものを扱う量子力学の世界では、目に見える世界で使う物理では考えられない現象がおきます。

そんな不思議な現象を理論的に発見したのが彼らの研究です。

現在私たちが使っている光通信半導体超伝導技術はとても小さい世界のテクノロジーであり、量子力学の知識が欠かせません。

彼らの研究成果は、これら技術の発展に大きく関わっています。

 

◆「見えない何か」が存在する!◆

今回取り上げたうちの一つ「アハラノフ・ボーム効果(以下、AB効果)」を理論的に予測した論文が発表されたのは1959年のこと。

当時イギリス・ブリストル大学の教授だった物理学者デヴィッド・ボーム博士 (David Bohm、1917-1992)と、その生徒であったアハラノフ博士により発見されたので、こう呼ばれています。

このAB効果、どんな効果というと「電場・磁場が存在しない空間でも、電子が電磁ポテンシャルの影響を受ける現象」を言います。

電子が電場・磁場の影響を受けることは、古典物理でもわかっていました。

しかし、電場・磁場がゼロでも、電子に影響を及ぼす何かがあるというのです!

しかも、その「何か」が、なんとこれまで数式に出てくるだけの「ただの便利な数字」と思われていた「電磁ポテンシャル」という量だというのです!!

……こほん(咳払い)。

さてみなさん。

電子は聞いたことあるけど、「電場」「磁場」「電磁ポテンシャル」と聞き慣れない言葉が並びましたね。

これをどうやって説明すれば、みなさんにわかりやすく、簡潔に伝えることができるのだろう。

んむー、どうしよう。

(ほんだが悩むこと、3日)

ともかく!

人間にとって見えない世界では、私たちがイメージできないようなことが起こります。

イメージできないことなので、それが本当に起こるのかどうか確かめるのも、はたまた人にどうやって起こるのか説明するのも大変ですよね。

しかし、今の社会に欠かせない光通信や半導体などは、ミクロな技術の進歩によって進化しています。

小さすぎて見えない世界の不思議な物理法則が、これら技術の発展には欠かせないのです

(で、結局どうやって説明すればいいのやら、まだ見つかりません。泣きそう。)

 

◆日本人の、とても大きな貢献◆

実は、この「AB効果の発見」には、日本人がとても深く関わっています

1959年に理論的に発表されたAB効果は、「元々数式上にあるただの数字だったものが、実は大きな物理的意味を持つ」という物理学の根幹に関わる発表でした。

そのため、本当に存在するのかを疑う研究者も大勢いました。

物理学の世界では20年以上にわたってあるかないかの激論が交わされたのです。

この論戦に終止符を打ったのが日本人の故・外村彰博士でした。

外村博士は、日本が誇る微細加工技術ホログラフィー電子顕微鏡を使って1986年、これまで数々の著名な物理学者が不可能だと言った「AB効果を測定する」という実験に成功したのです。

外村博士が物理学の世界に与えた影響は大きく、その業績は紛れもなくノーベル賞級と言われていました。

しかし、残念ながら今年5月にお亡くなりになられ、ノーベル賞を受けることはかないませんでした。

今回私が予想でこの研究を取り上げた理由には、外村博士の業績にもう一度光を当てたいという気持ちが入っています。

 

◆隠れた業績?◆

もう一人取り上げたベリー博士も、アハラノフ博士と同じく量子力学に大きな貢献を果たしています。

しかし、ほんだがベリー博士に賞を取ってほしいと思う理由は、個人的にもう一つあります。

ベリー博士は2000年に「超電導磁石でカエルを浮かせる」という研究で、ノーベル賞のパロディー版とも言える「イグ・ノーベル賞」を受賞しています。

この賞はマンチェスター大学のアンドレ・ガイム博士と共同で受賞しているのですが、なんとそのガイム博士は2010年に「グラフェン」の研究でノーベル物理学賞を取っているのです。

一緒に研究したガイム博士は両方とっているのに…ベリー博士にもぜひノーベル賞を取らせてあげて!と、面白いこと好きなほんだは、密かに思っています。

(イグ・ノーベル賞については、詫摩が昨年の未来館ブログで少し触れています。ガイム博士もちょろっと出てます)

 

さて、今年の未来館予想は、一体どうなるのやら。

ノーベル物理学賞の発表は10月9日(火)日本時間の18時45分から。

みなさま、こうご期待!

ほな、またねー!

ほんだ

 

<リンク>

2012年ノーベル物理学賞 「重ねて、もつれて」?

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