うん…うん… と りうむ

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みなさん、こんにちは。

今日もいいうんこでましたか?

 

久しぶりのうんこブログ…とおもいきや、もうしわけありません。

今日は「うんうんとりうむ」のおはなしです。

 

新種のうんこでも、うんこを出すときのおまじないの呪文でもありません。

 

「うん」は1。「とり」は3を表しています。

うんうんとりうむ、数字で書くと113。日本の理化学研究所が生み出した新しい元素です。

名前はまだありません。うんうんとりうむ(仮)です。

数字の113は「原子番号」を表しています。

原子番号は、ざっくりいうと、元素をつくっている素粒子というブロックの、

陽子ブロックを数えた物です。

原子番号1の水素は陽子ブロックを1個。

原子番号2のヘリウムは、陽子ブロックをふたつもっています。

 

 

このブロック同士は、近づけるとものすごい力で反発します。

さらにすごい力で押さえつけると、ブロック同士がくっつきあい、新しい元素ができます。

ブロック同士をぎゅーっとくっつけて新しい元素ができる場所は、おもに太陽など自分で光っている星の中です。

夜空に瞬く星の中では絶えず、大きなブロックのかたまり=重い元素が作られています。

 

ここまで、大丈夫ですか? ついてきてますか?

 

さて、原子番号が大きい元素ほど、ブロックがたくさんくっついてできています。

もともと反発しあうブロック同士、相当な力で押さえつけないと大きなブロックはできません。

 

地球上でみつかる天然物の元素で一番大きい元素は原子番号94のプルトニウム。

95以上の元素も星の中などでは生まれてはいるのでしょうが、すぐに壊れてしまいます。

地球でしらべようとしたら、人工的につくるしかありません。

 

では、どうやって新しい大きな元素をつくればいいのでしょうか?

答えは簡単。ものすごい力でブロックをつなげればいいのです。

その方法は水素爆弾を爆発させたり、原子炉の中に材料を入れたりと実にさまざま。

今回113番目の元素、うんうんとりうむ(仮)を生み出したのは

 

「ものすっごい速さでぶつける」

 

という方法でした。

うんうんとりうむ(仮)の場合は、ビスマス(原子番号83)の的に

亜鉛原子(原子番号30)のボールをぶつけて作られました。

83個のブロックに30個のブロックを足すと、…ほら、113個になります。

 

さて、この亜鉛原子のボールをビスマスにぶつけるための「ものすごい速さ」ってどれくらいだと思いますか?

なんとおよそ秒速30000km 光速の10%にもなります。

 

この亜鉛のボールを投げる装置を「加速器」といいます。

世界中にある加速器の中で人間にとって未知の元素がうまれたり、

宇宙誕生の謎をとく素粒子が観測されたりしています。

 

では。ここで質問です。

 

バレーボールと野球のボール。5m先の的にあたりやすいのはどっち?

 

バレーボールですよね。ボールが小さくなればなるほど、目標にはあたりにくくなります。

 

今回投げるのは亜鉛「原子」のボールです。もちろん目でみることなどできない位の小ささです。

さらにさらに。

命中させなければならないのはビスマスの「原子」です。

私たちの世界からは金属の塊に見えるビスマスも、亜鉛原子から見ると、

ものすごく目の粗い網のようなもの。

目の粗い網にものすごく小さな物をぶつけるのは、とても大変。

すかすかと貫通してしまいます。

また、うまくあたらないと、ブロック同士がくっつくことはありません。

 

そんなわけで、理化学研究所は1秒間に2.5兆個の亜鉛原子を

ビスマスの的に向かって80日間打ちこみ、

2004年にようやく1個、うんうんとりうむ(仮)らしきものができました。

 

が。

 

みなさん。

反発しあう83個のブロックと30個のブロックの塊を強引に衝突させて

たまたま113個の塊ができたところを想像してみてください。

ものすごく不安定なブロックの塊です。すぐにぼろぼろと壊れ始めます。

 

このうんうんとりうむ(仮)もすぐに壊れ始めました。

ちいさなブロックのかたまりがぽろぽろとこぼれ落ちます。

かけらが落ちたブロックの塊はすでにうんうんとりうむ(仮)ではなく、違う元素です。

 

うんうんとりうむ(仮)から1個のヘリウム(原子番号2)のかけらがはずれて、

レントゲニウム(原子番号111)へ。この間わずか344マイクロ秒(マイクロ秒は100万分の1秒)。

できたうんうんとりうむ(仮)は一瞬でほかの原子に姿をかえます。

さらにレントゲニウムからヘリウムがはずれて、原子番号109のマイトネリウムへ。

マイトネリウムからヘリウムがはずれて、原子番号107のボーリウムへ。

ボーリウムからヘリウムがはずれて、原子番号105のドブニウムへ。

ここまで行ったところでばかっとブロックが割れてしまいました。

うんうんとりうむ(仮)からドブニウムになって壊れるまで、およそ43秒ほど。

 

さて、こわれたブロックから何がわかるでしょうか?

 

のこった大きな塊と、ぽろぽろ落ちたブロックのかけら(ヘリウム)が数えられるなら、元の姿がわかります。

さらに、途中姿を変えた元素は名前がついていることからもわかるように、すでに研究されている元素です。

うんうんとりうむ(仮)から姿を変えた「なにか」がすでに知られている元素と同じ壊れ方をすれば、その「なにか」の正体がわかります。

 

理化学研究所はぽろぽろとこぼれたブロック=ヘリウムの数ととびだした時間、飛び出した方向を正確に計測する機械をつくり、ブロックをひろいあつめました。そして数を数え、うんうんとりうむ(仮)をみつけた!と主張をしたのです。

 

しかし!

 

この時点で合体に成功したうんうんとりうむ(仮)は2004年に1個、2005年に1個成功しただけで、わずかに2個。

 

「2例しかおきてないんだろ?それで正しいっていえるの?」

 

といわれてしまいました。

じゃあ3例目をつくったるわ!と研究をつづけて、今年の8月。

ようやく3個目のうんうんとりうむ(仮)ができました。

しかも、今回は壊れ方が以前とはちがったのです。

 

うんうんとりうむ(仮)からレントゲニウムへ。レントゲニウムからマイトネリウムへ。マイトネリウムからボーリニウムへ。ボーリニウムからドブニウムへ。

ぽろぽろとヘリウムが外れながら、うんうんとりうむ(仮)は以前到達したドブニウムまで姿を変えました。

そしてさらに、今回はばかっと割れることなく、

ドブニウムからヘリウムがはずれて、原子番号103のローレンシウムへ。

ローレンシウムからヘリウムがはずれて、原子番号101のメンデレビウムまで到達しました。

 

113番元素がアルファ崩壊する様子(理化学研究所プレス発表より)

 

ドブニウムとローレンシウムがどんな壊れ方をするかは今まで研究されていました。

特に鍵となるのはドブニウムです。

ドブニウムの壊れ方はばかっと大きく割れてしまう壊れ方と、ぽろっとヘリウムのかけらが外れる壊れ方の2種類があることが知られていました。

さらにローレンシウムからヘリウムが外れてメンデレビウムになることもすでにわかっていることです。

 

①    理化学研究所の作った何かが、ヘリウムの原子を6個おとして、よく知られているメンデレビウムになった。

②    さらにこわれる途中でできた「もの」はどうやらドブニウムからローレンシウムになって、メンデレビウムになった。

 

この二本立てでうんうんとりうむ(仮)ができた!と証明できる、と理化学研究所は見込んでいます。

 

さて、このうんうんとりうむ(仮)。世界に認められて、新しい名前がつくのでしょうか。

もし名前がつくとしたら、みなさんはどんな名前がいいと思いますか?

 

ちなみにニッポニウムという名前は明治40年、小川正孝博士により43番目の元素として発見の発表がありましたが、後で間違いだったことがわかり取り消されています。(実際に見つけたのは原子番号75のレニウムだったと言われています)

仮にニッポニウムになったとしても元素記号Npはすでに原子番号93のネプツニウムに使われてしまっています。

 

ぜひ、じっくりと腰を据えて考えられる場所…トイレとかで、うんうんうなりながら、うんうんとりうむ(仮)の名前を考えて見てくださいね。

 

 

それでは、明日もいいうんこと、そして人類にとって未知の元素がうまれ、世界の謎がとけますように!

さようなら。

 

 

<参考文献>

元素111の新知識 桜井 弘編 講談社

理化学研究所ホームページ:

新発見の113番元素(プレスリリース)

3個目の113番元素の合成をあらたな崩壊経路で確認

未来館ホームページ:

DeepScience 世界で加熱 新元素の合成合戦

さらに小さな世界の話は→素粒子的人生論

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この記事への1件のフィードバック

ちなみに、一部の人たちの間でウンウントリウムの呼び名が(勝手に)検討されていたようですよ。私も中に入ってますが(笑)

http://togetter.com/li/382798

いや、ネタです(笑)

ちなみにニッポニウムでリベンジなら、元素記号はNuでもNmでもありです(笑)

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