白いスケーリーフットもあらわれた


前回の記事では、「黒スケ」こと黒いスケーリーフットの生きた姿をご紹介しました。

Twitterでも、黒スケかわいい!の声や“深海のアイドル”へのツッコミをいただき、ありがとうございます。

 

世界で唯一、身体の一部が硫化鉄でできていることが黒スケの最大の特徴。

硫化鉄で、足の側面についたうろこは黒々としています。殻も黒光りしていて、赤い触角以外は全身真っ黒です。

真っ黒な黒スケ。誰がなんと言おうと深海のアイドルです。生きています。

 

でもなぜ、わざわざ“黒”スケと呼ぶのか。それは、こいつがいるからです。

さあ、紹介しましょう。

白いスケーリーフット、つまり「白スケ」です!

 

逆さまで手の上にのる白スケ。こちらは標本です。

 

このとおり、足のうろこが白く、貝殻も茶色!

白スケは、硫化鉄のないスケーリーフットなのです!

 

硫化鉄がないので、白スケのうろこは磁石につきません。

左:黒スケのうろこは磁石につく  右:白スケのうろこは磁石につかない!

 

白スケが発見されたのは、黒スケが見つかった9年後の2010年。

海洋研究開発機構(JAMSTEC)らの研究チームは、有人潜水調査船「しんかい6500」を使い、海底地形や海水成分のデータをもとに、海底から熱水が出ている「熱水噴出孔」を探していました。その時、新たに見つかった熱水噴出孔に、白いスケーリーフットがいたのです。

白スケの発見は偶然でした。JAMSTECのプレカンブリアンエコシステムラボラトリーのページで発見当時の映像が見られます。映像とともに入っている、研究者たちのリアルな声。その超ハイテンションな様子から、これがいかに驚きの出来事であったかを感じます。

この日を境に、新しく見つかった白いスケーリーフットは白スケ 、それまでの黒いスケーリーフットは黒スケと区別して呼ばれるようになりました。

これまで硫化鉄が最大のアイデンティティーだった、スケーリーフット。

それがないヤツが見つかったので、さあ大変です。

しかし、同時に期待もふくらみます。

黒スケと白スケを比べれば、黒スケが硫化鉄を持つ理由が見えてくるからです。

 

黒スケと白スケ、比べてみると……

黒スケが発見された場所は、インド洋マダガスカル島沖の「かいれいフィールド」。

対して、白スケが発見されたのは、600km離れた「ソリティアフィールド」。船で移動するにも2日かかる距離です。

どちらも海底から熱水が出ている場所。

ですが、様子は大きく違います

黒スケがいる熱水噴出孔は、「ブラックスモーカー」と呼ばれる、黒い熱水を噴き出すものです。

その垂直の壁の部分に、黒スケがくっついています。熱水が出ている場所ですが、すぐにまわりの冷たい海水に混ざって冷えるので、黒スケのいるあたりの水温は10度~20度ぐらいです。

福田の記事にもあるように、黒スケはエビやユノハナガニに囲まれて生活しています。

一方、白スケがいる熱水噴出孔は、ほぼ透明な熱水が、なだらかな海底からしみ出ているような場所。白スケのいるあたりの水温は少し高く、20度~30度ぐらいです。

白スケはそこにコロッと寝転んで暮らしています。寝転んだ白スケの上に白スケがくっついて、さらにまた……と、白スケが塊状になっています。

採集した時の様子も、「黒スケはバケツの壁にくっついて、隙あらば脱走を試みます。でも、白スケはコロンと寝転んだまんま。」なのだそう。

へー、そんなに生き方が違うってことは、だいぶ違う生き物なんですね!

と、思ったら。

DNAを調べた結果、黒スケと白スケは同じ種でした。」

ええええええ!?

そんなに違うのに、同じ種なの!?

じゃあ、なんで黒スケには硫化鉄があって、白スケには硫化鉄がないの??

決め手は何なの?熱水の環境の違い?周りの生き物?それとも??

とめどなく疑問があふれてきます。

 

この疑問を解く鍵を見つけることが、しんかい6500の世界一周航海「Quelle2013(クヴェレ2013)」の使命の一つ。

そこで、あるユニークな作戦が行われました。

その名も、「黒たまご作戦」!

一体どんな作戦なのか?それは……次回の福田の記事をお楽しみに!

 

おまけの豆知識(?)

前回の記事に書いた疑問、「水槽に磁石を近づけたら、黒スケはくっついて動けなくなるのか?」を、JAMSTECの高井研先生に聞いてみました。

「うろこの磁力は弱いから、普通の磁石じゃ一匹丸ごとくっつくとは思えない。スクラップ工場で使うような、超強力ででかいやつだったら、くっつくんじゃないかな。一回、そうやって採集できるんじゃないかって思ったことがある。」

水槽の壁に吸い寄せられて動けなくなる黒スケ、見てみたかったなぁ。

巨大磁石で黒スケががっぽり!も圧巻でしょうね。

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この記事への2件のフィードバック

おおっ!今度は白スケですか!

ずいぶんと生き様が違いますね(笑)。

「黒たまご作戦」とはいかに?

次回の記事が楽しみです!

はらぺこラッコさま

そうなんです!今度は白スケもあらわれたのです。

硫化鉄だけでなく生き様もこんなに違うのに、同じ種だという結果はびっくりです。

きっと今も、調査で得られたサンプルやデータをもとに、研究が進んでいることでしょう。どんな結果が出てくるか、楽しみです。

最後に触れた「黒たまご作戦」の記事は、こちら↓です。

気になる作戦の内容、ご覧ください!

「黒スケはどのように鎧をまとったか」

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