祝!イグノーベル賞・日本人受賞

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9月12日、イグノーベル賞の発表がありました!

今年は10部門(化学、医学、物理学、平和、安全工学、確率、生物学および天文学、心理学、考古学)の授賞がありましたが、そのうち2部門で日本人が受賞しました。日本人の受賞は7年連続です! タマネギと涙に関する常識を覆した化学研究と、音楽の力を示した医学研究です。

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【化学賞】 ハウス食品の研究グループがタマネギの催涙因子生成酵素(LFS)を発見した功績(2002年 Nature)で受賞

(ハウス食品の公式リリース:http://housefoods.jp/company/news/dbpdf/582478291567cc.pdf

【医学賞】 帝京大学の新見正則先生が心臓移植後のマウスにオペラを聞かせ、音楽による延命効果を報告し、受賞

(受賞対象の論文:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22445281

その他、全部門の受賞概要はフィントンポストのこちらの記事 にまとめられています。

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今回の受賞ニュースを知って、私が最初に思ったことは・・・

「タマネギが目に染みて…うるうる」っていうベタな芝居ができなくなるじゃないか!

イグノーベル2013-図1

 え?腹黒い?未来館のブログなのに、ふざけている?

いえ、イグノーベル賞ですから!!!(ちっとも理由にならない。)

イグノーベル賞は「人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に対して贈られます。つまり、科学的かどうかよりも、面白いかどうか、世の中に一石投じているかがポイント。過去の受賞対象には、いわゆるエセ科学や、皮肉を込めた不名誉な受賞も…(たとえば、今年の平和賞は、国民に拍手を禁じた独裁者に贈られました)

ですが

今回受賞した日本人の2グループは科学的な立証も見事に果たしているのです!

ではまず、化学賞。

こちらの研究は、タマネギを切ったら涙がでるという常識を覆しました!!タマネギを刻んだら最後、涙流すのは必至。これは、タマネギに含まれる“アリイナーゼ”という酵素の働きによって、タマネギの成分(主要硫黄化合物)が分解されたらば、催涙成分になることは止められないと考えられてきたからです。しかし、ハウス食品の研究者らは、新たに催涙成分合成酵素を発見しlachrymatory-factor synthase: LFSと命名。この酵素をブロックすれば、アリイナーゼで分解された後でも、タマネギの成分が最終的に催涙成分になる手前で止めることができるのです。

あとは、催涙成分合成酵素LFSの活性を抑えられれば、もうタマネギに泣かされることはない!

(じゃあ、そもそもアリイナーゼを阻害すればいいじゃないの?するどーい!でも、タマネギの風味の成分や生理活性の成分が出るのもアリイナーゼの働きなのです。これを阻害すると、タマネギのいいとこまでなくなっちゃうんです。)

イグノーベル2013-図2

 

さて、科学的に根拠があるか否かグレーなことは様々ありますが、音楽の効能もたびたび話題に上ってきました。(たとえば、私の母が、娘の頭がよくなるようにとモーツアルトを聞かせていたことに意味はあったのか??あえて立証しないでおきましょう…)

では、新見先生は、どんな実験をして、どんな結果から、音楽の力を示したのでしょうか?

私たちの身体は、外部からの異物を認識して、防衛のために排除しようとする免疫機能をもっています。他者のものが体内に入れば異物とみなし、攻撃します。しかし、この拒絶反応が臓器移植の際には大きな問題となります。そこで、新見先生はマウスで2つの実験をしました。

♪ どんな音楽が一番効くか?

あるマウスAに別のマウスBの心臓の一部 を移植。手術後のマウスAに、オペラ(♪ヴェルディの椿姫)、モーツアルト、エンヤ、単一の周波数を聞かせました。何もしなかった場合の平均生存日数は、手術から7日に対し、オペラは26.5日、モーツアルトが20日、エンヤは11日と、何もしない場合に比べて生存日数が延びました。

→ オペラ「椿姫」に延命効果があることが認められた!

では、ここからは椿姫を聴きながらまいりましょう。(誰もが知っている、あのフレーズは09:45から!)

♪♪ オペラの効果は伝達する?

この研究はまだ続きます。 手術後にオペラを聞かせて生存している10日目のマウスAから、細胞を取り出します。この細胞を、便宜上、“オペラ効果細胞”と呼ぶことにします。このオペラ効果細胞を、これから心臓移植手術を受けるマウスに事前に注入してみたのです。オペラ効果細胞を取り出したマウスAとそれを注入したマウスA’は同じ系統なので、免疫反応は起きません。そして、マウスA’が受ける移植手術は、前と同じようにマウスBの系統からの心臓移植です。すると、オペラ効果細胞を注入しなかった場合は、手術後の平均生存日数が10日だったのに対し、オペラ効果細胞を注入した場合は、36日と大きく生存日数を延ばしたのです!さらに、たくさんの種類のある免疫細胞のなかでも、特定の免疫細胞 をオペラ効果細胞として注入することで、生存日数は100日以上と大幅に延びたそうです。

→ 延命効果は、細胞注入により別のマウスにも及ぶ可能性!

イグノーベル2013-図3

新見先生はこれらの実験から、音楽が脳を介して免疫系に影響を与えていることを報告されました。 先生はご自身のホームページで「病気には医学的対処は勿論大切ですが、脳に影響を及ぼすような環境、希望や気合い、家族のサポートなどの大切さに通じる結果です」と述べられています。

 

さぁ次は、いよいよ、本家本元のノーベル賞が10月7日、8日、9日に発表となります! 未来館のノーベル賞の関連イベントはすでに始動しています!そして、今年もこちらの科学コミュニケーターブログでも、速報をお届けする予定です! (同僚の科学コミュニケーターたちが頑張ります!!!)

ぜひぜひ、ノーベル賞に注目していきましょう!

では、椿姫をエンディング曲にさようなら~♪

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この記事への2件のフィードバック

ユーモアに欠けると言われる日本人ですが、

授賞式に出ないと受賞が取り消されるイグノーベル賞に、

腹を立てずに喜々として出席する日本人は、充分ユーモアにあふれていると思います。

しかも、医学賞の新見先生たちは、ネズミの格好をして授賞式に出ていましたしね。

でも、分からないから研究する、ということが日本でできているという証拠でもありますよね。

役に立つから研究する、立たないのならしない、では淋しいですから。

ちゃろ様

コメント、ありがとうございます。

かつて日本人は基礎研究が弱い、マネが上手いと言われた時代もあったようですが、今回の研究内容・授賞式でのユーモアセンスは、ともに素晴らしいですよね!

「日本人はユーモアが通じない」ではなく、

「日本人は独特のユーモアセンスがある」と言われる時代がくると思います!

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