21, 22, 23…そして、ついに!

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「まいどーっ!」

……と、お約束の「マネ」をしてみた科学コミュニケーターの野副です。なかなか「まいどのお兄さん」っぽくはできませんねぇ。本場関西には勝てません(なんのこっちゃ!?)。

さて、そのまいどのお兄さん(とお姉さん)が無事にリベンジを果たしたところで、イプシロンの打ち上げ前には取り上げたくても取り上げられなかった話題をひとつ。ええ、打ち上げが延期になってヤキモキしていた人間がここにも。

え、取り上げられなかった理由!?

それは「縁起でもない」から。

下の写真は、ご存じ「サンダーバード3号」です。

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(C)ITC

主な役目は宇宙にいるサンダーバード5号へ物資や交代の滞在要員を運ぶことで、5号と地球を往復します。それ以外にも、宇宙空間での救助にも出動します。今回ご紹介するのは、サンダーバードのテレビシリーズで最終話となる第32話です。サンダーバード博は、残すところあと数日。9月23日が最終日です!

最終日を前にして最終話に関するお話。

ベタですね~。

このお話、実は「全自動で打ち上げるロケットの失敗」が原因で、大変なことが起きるんです。あ、この3号ではなく、別のロケットですけど。なんとそのロケット、イプシロンロケットに何となく似ているんです。気になる人は作品を見てね♪

…ね、「縁起でもない」でしょ? 

無事に成功したので遠慮なくこの話、行っちゃいましょ~。

舞台は2065年。イプシロンロケットよりもさらに進んでいて、ロケットの打ち上げが全自動化されています。国際救助隊の隊長であるジェフ・トレーシーも、

「全自動になると感激しないな」

という内容を本編でつぶやいています。確かに、ロケットの打ち上げがもっと当たり前になったら、まいどのお兄さんの体が保ちま…いや、毎回イベントにするようなことではなくなるのかもしれません。

それでも、打ち上げにトラブルは起きるようです。しかも今回は「打ち上げてから」です(エライこっちゃ!)。結局、手の施しようがなく、宇宙空間での爆破処理となります。その際、「国際宇宙コントロール(管制塔みたいなもの)」からの指示で、「他に衛星がいない安全な空間」まで飛んでから爆破します。

ところが…!

なんと、その近くに「無許可の宇宙放送を行っている衛星」があって、爆破の影響で制御不能となり、2人の乗組員を乗せたまま地球に落下するという危機に! 無許可だから国際宇宙コントロールも把握していなかったんですね。

……さて、これ以上はネタバレになってしまうので、ここまでにしておきますが、「宇宙で何かが爆発するとどうなるか」というのが今回のテーマ。宇宙空間で何かが爆発すると、大量に発生しちゃうんです!

「スペースデブリ」が!

「スペースデブリ」ってなんぞや?という人もいるかもしれません。「デブリ」は「ゴミ」のこと。つまり「宇宙のゴミ」です。実は、地球の周りには、たくさんのゴミがグルグル回っています。その中には、爆発で飛び散った部品だけでなく、古くなった衛星、ロケットの打ち上げの際の使用済み部品や隕石の破片なども含まれます。そして、それらのゴミは秒速約8kmの速度(低軌道の場合)で飛び回っているのです。

めちゃくちゃ速い!

下の画像は、1983年に打ち上げられたスペースシャトル・チャレンジャーの窓に、スペースデブリがぶつかった様子。このとき衝突したのは、小さな塗料片と考えられているそうです。そのような小さなスペースデブリでも、猛スピードでぶつかったら弾丸のような破壊力があるのです。

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(C) NASA

もし、当たり所が悪かったら。

もし、もっと大きなスペースデブリがぶつかったら。

大惨事です。

国際宇宙ステーションは、スペースデブリ衝突の危険性が高まったら高度を変えて回避することもあります。それでも被害を避けられない場合は、乗組員が安全な区画へ避難することになっています。最近では2009年3月12日に、スペースデブリが迫っているとして、国際宇宙ステーションの乗組員が、ドッキングしていたロシアの宇宙船「ソユーズ」に避難する事態となりました(実際には衝突しませんでした)。

下の画像は、低軌道を飛び回るスペースデブリの様子を描いたもの。実は、すごくたくさんのスペースデブリが地球の周りを回っています。

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(C) NASA

もしこれらのスペースデブリが何かにぶつかって爆発が起きたら、その部品もまたスペースデブリになります。このように連鎖的にスペースデブリが増えることを「ケスラーシンドローム」と言います。もし、そうなってしまったら地球の周囲の宇宙空間はスペースデブリだらけとなり、宇宙空間へものを運ぶことはおろか、地球へ宇宙から何か届けることもできなくなります。

地球は完全に孤立してしまうのです。

ケスラーシンドロームに関する詳しいお話は「まいどのお兄さん」に譲るとして、第32話での爆破処理は本当ならやってはいけません。大量のスペースデブリを巻き散らすことになります。作品が製作された当時は、月に人類すら到達していなかった時代なので、そこまで考えていなかったのだと思いますが。

わたくしたちの現実世界では、過去にアメリカや旧ソ連が人工衛星の破壊実験を行い、大量のスペースデブリを巻き散らしました。近年では2007年に中国が衛星をミサイルで撃ち落とす実験を行って、国際的な非難を受けました。さらに、最近では民間の宇宙船の開発など、宇宙開発への民間企業参入も活発になっています。こうした状況を受けて、2013年6月には、国連の「宇宙空間平和利用委員会」が宇宙関連の法整備を急ぐよう、各国に勧告を出しています。事故が起きたときの補償やスペースデブリの削減や回収の義務付けなど、宇宙の乱開発を防ぐ体制作りが必要なのです。

近い将来、今よりもっと宇宙が当たり前になるときが来ます。そのとき、どんな未来になっているのか。わたくしたちがどんな未来にすべきなのか。それを考えるきっかけとして、サンダーバード博を見てもらえたら幸いです。サンダーバード博は9月23日までです。見逃した方、今週末にぜひ! 未来館の1Fで国際救助隊が待っています。

21日、22日、23日の三連休が最後です。

 

「ほなまたね~♪」(最後も一応マネてみた)

 

企画展概要

TB

サンダーバード博~世紀の特撮が描くボクらの未来~

会期:2013年7月10日(水)~9月23日(月・祝)

会場:日本科学未来館 1階企画展示ゾーン

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