モグラ!?……ジェットじゃないけど!【後編】

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ブログをご覧の皆様こんにちは。科学コミュニケーターの野副です。

さて、前回に続いて、今回はいよいよシールドマシンとご対面です。今回は、現場の雰囲気をお伝えしたいので、たくさんの写真が続きます。……とその前に。クルマで連れて行ってもらった工事現場はこちら。

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未来館の近くの東京港トンネルです。この場所にはもともと首都高速湾岸線のトンネルがありますが、湾岸線と並行して走る国道357号線はトンネルがなく、お台場と対岸の大井はつながっていないのです。このトンネルが完成すると「お台場→大井」を一般道で移動可能となります。湾岸線の東京港トンネルは渋滞の発生ポイントですが、並行して別のルートができることで渋滞の解消が期待されます。またお台場は、大型トラックやコンテナを載せたトレーラーもたくさん走ります。トラックはもちろん、都心から羽田空港へのアクセスを向上という目的もあります。

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さて、いよいよ見学開始。前回ご紹介したように、掘っている最中からクルマの通ることができるので、そのままトンネルに入っていきます。

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どんどん進みます。大きなトラックともすれ違いました。

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到着すると目の前には大きなダンプが! これは掘り出した土を運び出すダンプです。わたくしたちを奥までワゴン車で連れて行ってもらえたのももちろんですが、建設資材を運び込んだり土を運び出したりするのも、トラックやダンプカーでそのまま運べるんです。これも、道路がすでにあるおかげ。

そして、ヘルメットを被り軍手をはめて、いよいよシールドマシンに近づいていきます。

まず最初に見せていただいたのは、掘り出された土が運び出されてくるところ。

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……というか、土じゃなくて「泥」です。同行した未来館スタッフの一人は「いい焼き物ができそう」なんて言っていましたが、こんなドロドロしたところに直径12mものトンネルを掘ってるって、考えただけですごい!

そしてそのまま進むと、いよいよシールドマシンの本体に入ります。狭い階段を上がり、天井の低いところに頭をぶつけないように気をつけて入ると、正面にはなにやらモニターが…。

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マシンのいくつかの場所を監視しているカメラの映像がまとめて映されています。さらに奥にはコントロールルームがありました。ここで、シールドマシンの制御を行っているんですね。

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……で、その制御はものすごいことをやっているのですが、それは後述。

先ほどのモニターが見える位置から後ろを振り返ると、「重りを敷き詰めた道路の基盤」の先端が見えます。中央に見える穴が、道路の下の避難通路です。その手前にあるコンクリートの部品が「セグメント」です。トンネルの壁として使われるのを待っている状態です。

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前回のおさらいになりますが、「セグメント」はトンネルの壁を構成する部品です。これをシールドマシンが掘りながら、ひとつずつつなげていくことでトンネルができあがっていきます。掘っている最中から、頑丈な壁を作っていくので、ドロドロの中でもトンネルを掘ることができるんですね。そして、重りとなる部品も置いていくことで、トンネルの浮き上がりを防いでいます。

さらに進むとセグメントの先端が見えました。「銀色の棒」の左側が、セグメントのつながった「トンネルの壁の先端」です。銀色の棒は、油圧ジャッキのパイプの部分です。

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掘り進んでセグメントを一周分ぐるっと填めてつなげたあと、この油圧ジャッキがぐぐぐっとシールドマシンを押します。その押す力で掘り進みます。進むスピードは1分間で4cm。セグメントの幅は2m。2m分掘り進んだら、油圧ジャッキを縮めて、そこに空いたスペースにセグメントをつないでいきます。この繰り返しで、トンネルの壁を造りながら掘り進んでいるわけです。

……で、この油圧ジャッキで押しているときの制御がすごい。実はその力のかけ方を、先ほどのコントロールルームの担当者が常に監視していて、微妙に調節しながらシールドマシンの先端を押しているのです。

なぜそのようなことをするか。例えば上半分は柔らかいけど下半分は固いというような場所を掘るとします。シールドマシン全体を同じ力で押してしまうと、柔らかいところのほうが掘りやすいため、押す力が偏って、シールドマシンが傾いてしまいます。

長いトンネルを掘り進んでいつの間にか向きがずれて、それこそ船の科学館の下に出てきちゃった!なんてことがあったら大変ですよね(もちろん実際にはそんなことが起こるはずもありませんが)。狙い通りに目的地まで掘り進めるために、微妙な調整を人間がやっているのです。これだけ機械やコンピューターが発達していても、やっぱりそこは「人間の判断力」が重要だそうです。

そしてさらに奥に進むと、なにやら「キーン」と高い音が聞こえてきました。

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この写真の中央に写っているちょっと青っぽい部分が、シールドマシンの歯を回している「動力機」です。ものすごい力で回しているので、「キーン」という音が出ています。これ以外にあと8つあって、全部で9つの動力機で回しています。

そしていよいよ!

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ここが、シールドマシンの先端部分(写っているのは、今回ご案内いただいた東京港トンネルJV工事事務所の佐藤卓哉さん)。今まさに動いているはずなのに、先ほどのキーンという音以外は聞こえませんし、振動を感じるわけでもありません。説明がないと、壁の向こうでシールドマシンの歯がまさにゴリゴリと掘っているというのはわかりません。それだけ、淡々と確実に掘り進んでいるんだと実感させられました。

ここで見学は終了。再び、ワゴン車でトンネルの外へ向かいます。

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外へ出たあとは、トンネルの上にある海の近くへ。

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対岸に船の科学館と、ちょっとだけ未来館が見えます。この海の下でまさにトンネルを掘っているなんて、まったくわからないです。もちろん、船だって普通に通ることもできますし、地面の中ですぐ近くを走る湾岸線を通るクルマだって、全く影響を受けません。

周りにできるだけ迷惑をかけずに工事を進める技術。改めて、日本の土木技術は「思いやり」があって、そこには機械の力だけでなく、職人技や情熱がたっぷり詰まっているなんだなぁと実感させられました。トンネルの開通は2015年度の予定です。開通したらまたお台場の人の流れが変わるかもしれません。未来館に来てくれる人が増えたらいいなと思いつつ、現場をあとにしました。

最後に…。

工事期間中にもかかわらず、トンネルの見学を引き受けていただきました国土交通省川崎国道事務所の西尾文宏さんと畦地拓也さん、現場をご案内いただいた東京港トンネルJV工事事務所の佐藤卓哉さんと吉田英信さん、ご協力いただいた皆様に、この場をお借りしてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

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