2013年ノーベル賞 皆さまの予想~生理学・医学賞その1

このエントリーをはてなブックマークに追加

まずは、お詫びを。

わたくし詫摩は、はっきり言って、読者の皆さまをなめておりました。

今年のノーベル賞をどなたが受賞するか? このブログを中心に科学コミュニケーターたちの予想を紹介してきましたが、特設サイト「ノーベル賞を予想しよう!2013年」では、皆さまの予想も募集しておりました。

でも、実を言うと、そんなに書き込みは来ないだろうと予想していたのです。だって、ノーベル賞の予想ですよ?! そんな予想を楽しむなんて、どこの科学オタクなのかいったいどういう方なのだろうかと、思うではありませんか!書き込みがあったとしても、例えばお笑い芸人さんの名前とか「俺」とか、そういうのがきっとあるだろうなと思っておりました。

完全に間違っておりました。けっこうな数の書き込みがありました。

それもガチなのばかり

挙がっているお名前は、もう、そりゃあそうそうたるメンバーとしかいいようがありません。これには、この通称・投票サイトをつくった科学コミュニケーター鈴木真一朗も驚いています。

NobelVote

お詫びを兼ねて、挙がっているお名前とその業績を簡単にご紹介しましょう。人数が多いので、まずは生理学・医学賞から。

なお、9月25日に、トムソン・ロイター社からも毎年恒例の「ノーベル賞有力候補者(トムソン・ロイター引用栄誉章)」が発表になりましたが、以下に挙げる皆さまの予想は、このトムソン・ロイター社の発表よりも先に寄せられていたということを、付け加えさせていただきます。

Adrian Bird

脳の細胞も足の細胞も、同じ人からの細胞であれば中にあるDNAは同じです。それでも、神経細胞と筋細胞では形も機能もまったく違います。それは、どの遺伝子が働くのかを調節しているから。その調節の仕組みの1つがメチル化で......。「あれ?どこかで読んだぞ」と思ったあなた。いつもご愛読いただき、ありがとうございます。そうです。科学コミュニケーター西原潔が、今年はこの研究が受賞するだろうと予想した内容です。西原は、Cedar博士の単独受賞にするか、Bird博士との同時受賞にするか、さんざん悩んでおりました。トムソン・ロイター社の今年の予想でも名前が挙がっていましたね。

 

Brian J. Druker

慢性骨髄性白血病の治療薬「イマチニブ(商品名グリベック)」を開発した人です。イマチニブは病気の原因となっているタンパク質(分子)だけをターゲット(標的)にして作用することから「分子標的薬」と呼ばれるタイプの薬です。グリベックが最初の分子標的薬だとは言い切れないのですが、この薬により、それまで治療の難しかった慢性骨髄性白血病が救えるようになり、その劇的な効果から、分子標的薬の威力を世に知らしめた薬だといってよいでしょう。去年、西原がお名前を挙げていました。詳しくは去年の西原のブログの最後の方をご覧ください。

 

Randy Scheckman and Joel Rothman

タンパク質は細胞の中で作られます。もう少しくわしくいうと、粗面小胞体という膜構造体の表面で作られます(粗面小胞体の表面のつぶつぶがタンパク質合成の場となるリボソーム分子です)。できあがったタンパク質は、その種類によって働く場所が違います。ホルモンのように細胞の外へ分泌されるものもあれば、細胞膜に埋め込まれているもの、細胞質を浮遊しているもの、細胞核の中で働くものもあり、さまざまです。できあがったタンパク質が粗面小胞体から目的地まで、膜構造体の連係プレー(小胞輸送)で運ばれていることを明らかにしたのがこのお二人です。複数の方がこのテーマを挙げていました。

 

遠藤章

健康診断で血中コレステロール値が引っかかる人は多いはず(実は私もそうです)。あまりに数値が悪いと、スタチン(=コレステロール低下薬)の服用を進められてしまうかも。スタチンにはいくつかの種類がありますが、最初のスタチンであるメバスタチンの発見をしたのが遠藤先生です。スタチンは世界で最も服用者が多い薬のひとつ。実は遠藤先生のお名前は私たち予想チームも挙げておりました。ただし、生理学・医学賞ではなく化学賞として。今年の生理学・医学賞から仮に外れたとしても、がっかりするのはまだ早い!10月9日(水)の化学賞の発表を待ちましょう。

 

片岡一則

薬が身体の中に入ってくると、身体はこれをすぐに分解して、排泄しようとします。これでは、薬の効果が得られなかったりします。また、副作用などを考えても、分解されにくいカプセルのようなものに入れて、患部に到着して初めて中の薬が出てくるようにできれば理想的です。こうした仕組みをDDS(ドラッグデリバリーシステム、薬物伝達システム)と呼びます。片岡先生は、DDSとして使える小さな中空粒子をいくつも開発した人です。片岡先生も、遠藤先生と同じように、化学賞で受賞してもおかしくないお仕事をしていらっしゃいます。生理学・医学賞でも化学賞でも、複数の方が片岡先生のお名前を挙げていました。

 

大隅良典

細胞の中では日々、せっせと新しいタンパク質が作られています。でも、もういらなくなったタンパク質は? 家や部屋に掃除が必要なように、細胞にも不要ななったタンパク質を処分する仕組みが必要です。それが「オートファジー」で、大隅先生はその発見者です。私たちはどうしても新しく作ることに興味が向きがち。でも、実際にはメンテナンスや処分といった地味な仕組みがきちんと働かないとシステムはすぐに立ち行かなくなります。大隅先生は、見落としがちな仕組みに目を向け、それを解明した方なのです。複数の方が大隅先生のお名前を挙げていました。

 

Daniel J. Klionsky

大隅先生と同じくオートファジーの研究をしている方です。大隅先生と共同受賞という形でお名前が挙がっていました。

 

皆さまが予想する2013年ノーベル生理学・医学賞編はまだまだ続きます。

(管理画面を確認するたびに、新しい名前が増えていたりするんですよ。がんばれ、わたし!)

何といいますが、こういう予想を楽しむお仲間がこんなにいらしたしたんだということが、とっても嬉しいです。

そして、生理学・医学賞の発表は10月7日(月)18時30分(日本時間)です!

 

 

※コメントをする際は「ブログへのコメント投稿について」をご覧ください

※「名前」は、ハンドルネームでも構いません

この記事への3件のフィードバック

今年は水島昇くんが取ります。期待しています。

お!

あたりましたね!!

読者さんすごいです。

コメントありがとうございます。

そうなのですよ。

しかも、複数の方がロスマンさんとシェックマンさんのお名前を挙げていました。われわれのアンテナが届かないところで、何か大きな動きがあったようです。

リサーチ不足でした。今年の生理学・医学チームは完敗でした。

コメントを残す