アイソン彗星撮影記(11月17日分)

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期待ほどの大彗星では、今のところはありませんでした。でも、ようやく自分もその姿を写すことができ、やっぱり楽しかった。本日、速報として紹介したアイソン彗星の写真の、撮影記をまとめました。

「ようやく増光してきたらしい」。続々とそんな情報が入ってきたのは、15日から16日にかけて。うずうずしてきたので、学生時代の天文同好会の後輩と4人で17日の夜明け前、出かけることにしました。というか、車を出してもらいました(ありがとう)。

撮影できるのは夜明け前。前夜10時から仮眠を取り、2時に迎えに来てもらいました。都内(の端っこ)の自宅を出た時は曇り空。ですが、GPVの気象予報では晴れそうな感じだったので、そのまま決行です。

アクアラインから房総半島に抜け、4時前に東の空が見渡せる観測地に到着。西に残った大きな月が夜空を明るく照らしていますが、東は晴れています。高台に上がったことで、空の透明度も良くなりました。何組かの天文ファンがすでに星空を散策中。こちらも機材を組み立てます。星の動きに合わせてカメラを動かす赤道儀の上に、ちょっと貧弱なズームレンズを付けたカメラをセットしました。

スカイメモ            三脚に赤道儀を載せ、その上にカメラをセット

 

アイソン彗星はまだ昇っていないようなので、同程度の明るさになっているラブジョイ彗星を探すことにしました。スマートフォンで彗星の位置を確認し、肉眼で探してみましたが、暗い彗星は見えてきません。そこで、「しし座の頭部と、おおぐま座の足元の、ちょうど真ん中あたりにあるはずだから」と、星座の位置からだいたいの見当をつけて高感度で写真を撮ってみると……写りました。デジカメのモニターの端の方に、彗星独特の青緑色の光の広がりが、意外とハッキリ見えます。視野の真ん中に導入して、ラブジョイ彗星を撮り直しました。

ラブジョイ440

ラブジョイ彗星 D600 300mm F6.3 50秒 ノートリミング

 

やがて、東の空低くににおとめ座のスピカが昇ってきたので、近くにあるはずのアイソン彗星を探すことにしました。先ほどと同じ方法を試みます。スピカを入れて写した画像。モニターを拡大して良く見ると……、かすかに尾を伸ばしているように見える星があります。

【修正】アイソン縦

低空にあること、そして月明かりの影響もあったでしょう。正直、思っていた以上に貧弱な姿でした。「これかなぁ…?」。半信半疑ながらズームアップして撮り直すと、確かに尾があるので間違いはなさそうです。

彗星が少しずつ高く昇ると同時に、空を明るく照らす月が西に沈んでいきます。繰り返し撮影すると、少しずつ尾が長く写るようになってきました。同時に日の出も近づきます。地球の自転を感じながらの撮影。結局、5時過ぎぐらいが一番綺麗に写りました。ラブジョイ彗星と比べ、頭部は小さいものの、尾が長く伸びているようです。

アイソン440

 アイソン彗星(中央左寄り) D600 300mm F6.3 20秒 ノートリミング

 

空が色付き、その真ん中に水星が残りました。「アイソン彗星もこっちの『すいせい』と同じくらい明るかったら良いのに」と何度も思いました。眼下の山並みの間に朝霧が漂います。「今日は彗星より、こっちの方が綺麗だね」と口々に言いながら、朝焼けを撮って撤収。帰宅して彗星の画像を加工し、さっそく展示フロアでのサイエンス・ミニトークで紹介しました。

朝焼け

房総半島の山並みと朝焼け=5時40分ごろ

 

この日の2つの彗星は、スマートフォンやデジタルカメラがなければ、私には存在を確認することすら難しかったと思います。数年前、目当ての天体の位置を事前に星図にプロットし、暗くて見えなくても「ここにあるはずだ」と信じてシャッターを押し、フィルムの現像をドキドキしながら待ったことを思い出すと、まさに隔世の感。さまざまなテクノロジーの恩恵を感じました。

アイソン彗星は現状、それだけ暗いということでもあります。ただ、彗星が面白いのは、あるときは徐々に、またあるときは突然、姿を変えることです。「あんなに小さかった彗星がこんなにも」。そんな驚きと感動も、一度見たことにより大きくなるはず。見ごろと予想される12月の上旬を待ちたいと思います。次はもっと良い写真を紹介できますように。

アイソン131117440

11月17日のアイソン彗星 千葉県内にて

5:08 D600 ズームレンズを300mm/F6.3で使用 スカイメモR

ISO1600 20秒間露出の2枚を合成 彗星部分を拡大

参考サイト

AstroArts「アイソン彗星」特設サイト

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この記事への6件のフィードバック

毎朝月用の30倍望遠鏡でアイソン彗星を探しているまったく素人のわたしです。スピカの近くのはず!と今朝も探しましたがまったく見えず。それがスピカなのかもはっきりわからず。でも、谷さんの記事で、肉眼ではまだ確認が難しいことがわかったので、12月になったら、またトライしようと思います!

私も同じ日に、恐らく同じ場所に行っていました。(笑)

地元民なので、突然思い立って行ってみたという・・・。

そろそろ肉眼や双眼鏡程度で見えるんじゃなかったっけ?くらいな軽い気持ちで行ってみたら、全然見えませんでした・・・。

悔しいので、雲海を見て帰ってきましたが。

(あそこは秋冬は雲海で有名なところです。こんな機会がなければ私も朝早くに行くことはなかったのでしょうが。)

こちらでアイソン彗星の写真を見せていただいて良かったです。

もう少し、彗星がはっきり見える頃に再チャレンジしたいです。

写真、十分スゴイのが撮れているように思えますが、

12月はもっと期待できる(かもしれない)のですね!

冬場は星がきれいに見えますよね。

天体イベントも多いですが、とにかく寒さが(泣)

…今回は他力本願で、追加レポート楽しみにしています。

ますます冬が深まりますので、

観測でお体壊されませぬよう。応援しています!

ゆっこさま

毎日早起きして観測されているのでしょうか。天気が良いだけに、彗星が明るくならないのがもどかしいですよね。

11月は25日くらいまで観測できそうですが、よほどの急な増光などがなければ、月明かりと朝焼けの中で見つけるのは難しいと思います。「すでに肉眼で見える明るさ」という情報もありますが、それは空の条件が理想的な場合です。

30倍の望遠鏡をお使いなんですね。肉眼で彗星が見えるようになれば、望遠鏡での観測もきっと楽しくなってくるはず。彗星がより大きく見えるようになると、低倍率の双眼鏡も面白くなります。

朝は冷え込むようになってきたので、暖かくして観測してくださいね。

玲 さま

そうなんですか!朝焼け、ほんとに綺麗でしたよね。

明けていく空も、夜明けの直前に見える彗星を観測する時の楽しみの一つかな、と思っています。

アイソン彗星は、「街明かりが少ない場所で、月明かりや朝焼けがなどがない時間に、空高く昇っていれば、肉眼で見える明るさ」になっていた、という程度に解釈していただくのが良いでしょうか。「肉眼で見える明るさ」は必ずしも「肉眼で見える」ではないのですが、誤解を招きやすい形で使われているのが現実です。

12月には文句なしに「肉眼で見える」ことを期待しましょう。

田中あんこさま

一番の見ごろは12月になるはずです。でも、どんな風に見えるのかは、正直言って直前まで分かりません。これが彗星の面白いところでもありますし、期待できるかもしれないの「かもしれない」はとっても重要だと思います(笑)

応援、ありがとうございます!よろしければ、アイソン彗星が勝負どころで頑張れるよう、私に向けて以上のエールを、彗星に向けて送っていただければと思います。

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