【速報】STAP細胞とはなんぞや!?~生物学・医学の常識が変わるかも~


管理人による加筆(7月28日)
STAP細胞に関する2本の論文は7月2日に撤回されました。著者たちによる検証実験が理研で行われていますが、現時点でSTAP細胞の存在を証明できるデータは何もない状態です。また、以下の記事もご覧ください。
・STAP細胞があったとしても

管理人による加筆(4月10日、14日)
ご存知のように、論文には不適切な行為があり、これをめぐって揺れております。
この点に関しては、以下の記事もごらんください。
何をもって「事実」といえるのか~STAP細胞の論文を通して見る科学の作法~
STAP細胞はあったのか?
STAP騒動で私が感じた「感覚の違い」

『こんなに簡単な方法で、私たちの役に立ちそうな細胞がつくれちゃうの?』

未来館では、朝から「STAP(スタップ)細胞」の話で持ちきりです。

「STAP細胞」とは、「人為的な操作によって、いろいろな細胞になれる能力をもつようになった細胞」です。

色々な細胞になれる・・・といえば、iPS細胞があります。

http://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/20130627ips-9.html

iPS細胞は、再生医療や薬の開発での応用が期待されている細胞です。 そんな「役に立ちそうな細胞」を、「ものすんごく」簡単な方法でつくったのが、STAP細胞なのです。

開発したのは、理化学研究所の小保方晴子(おぼかた・はるこ)チームリーダーらのグループです。

どうやって、STAP細胞を作ったのか、見てみましょう。

 

① 生後1週間のマウスの脾臓からリンパ球を取り出します。(※1)

② このリンパ球を弱酸性の液体に25分間つけます。(※2)

③ LIFというタンパク質を含む培養液で1週間培養します。

以上。

 

 

・・・えっ、終わり!? と、いうのもiPS細胞をつくるには、いくつかの遺伝子を細胞に入れてあげなきゃいけないのに、STAP細胞では酸性の液体につけるだけなのです。

「じゃあ、その酸性の液体とやらに秘密があるのでしょう?」と思ったそこのあなた! 驚くなかれ、溶液の中身は、ミネラルとお砂糖(グルコース)と酸性(pH5.7)にするための塩酸だけなのです!(HBSS液という生物学では一般的な液体です。)

このSTAP細胞を培養皿で培養すると、神経の元になる細胞(外胚葉)や筋肉の元になる細胞(中胚葉)などいろいろな細胞ができました。 さらにマウスの胎児の元(胚盤胞)にSTAP細胞を入れると、STAP細胞を元にしたマウスの子供が生まれました。

20140130_shimizu_01.jpg

では、iPS細胞とSTAP細胞の違いはなんでしょうか?

最も大きな違いは「STAP細胞は遺伝子を加える必要がない」ということです。

iPS細胞をつくるには、細胞にいくつかの遺伝子を加える必要があります。 その結果、iPS細胞から腫瘍がつくられることがあります。その点、STAP細胞では腫瘍の心配は少ないと考えられます。
(今回の研究でも、STAP細胞を元にしたマウスでは「腫瘍がつくられるリスクは十分に小さかった」そうです。)

また、小保方さんらは効率の高さを挙げています。

iPS細胞の課題の一つはコストです。 臨床研究が進む網膜色素上皮細胞の場合、一人あたり2千万円~3千万円かかるとされています。

うーん、自分が使う場合、考えてしまうかも。

その原因の一つはiPS細胞の効率の低さなのです。 体の細胞からiPS細胞を作ろうとしても、現在せいぜい1~2%程度しかiPS細胞になりません。よいiPS細胞を選び出すのにも手間がかかります。 しかしSTAP細胞を作る場合では、元の細胞の10%程度がSTAP細胞になったそうです。

(2/16追記)
iPS細胞の効率についてこのようなご紹介をしましたが、実際は2009年に京都大学のグループから効率を20%に向上できたとの報告があります。また、昨年10月にはイスラエルのHannaらはグループがほぼ100%の効率でiPS細胞の作製に成功したとの報告があります。訂正して、お詫びいたします。

 

夢のようなSTAP細胞ですが、まだまだ課題もあります。

今回の研究では、マウスの新生児からしかSTAP細胞を作れませんでした。 成長したマウスからは上手くいかなかったそうです。 ヒトの細胞でもまだ試験していません。 そこは、ヒトの大人から作れるiPS細胞と違いますね。

 

また、STAP細胞が万能すぎるがゆえに考えなければならないこともでてきました。

「クローン個体」の問題です。

STAP細胞をマウスの胎児の元に入れて、子宮に戻したところ、胎盤が作られました。 なぜ、このことが「クローン」につながるのでしょう?

胎盤はお母さんの栄養を胎児に届けるための組織です。 iPS細胞の研究では胎盤を作ることができなかったため、iPS細胞をお母さんの子宮に入れても栄養が届かず、胎児になることはありませんでした。

しかしSTAP細胞から胎盤が作られたことで、クローンが作られることも考えなければならなくなりました。

新しい技術とどのように付き合っていくべきか、私たちも考えていかなければなりませんね。

 

STAP細胞はまだ研究が始まったばかりです。 なぜ酸性の液体につけるだけでSTAP細胞ができるのかさえ分からないのです。(研究当初、多くの科学者が「こんなこと、あるはずがない!」と思っていたのです。)

しかし、iPS細胞やES細胞と並ぶ新たな技術になる可能性を秘めています。STAP細胞が生物学や医療を変える日が来るかもしれません。

 

※1 リンパ球以外でも、皮膚や筋肉などの細胞からもSTAP細胞はつくれました。今回はマウスの細胞を使っており、ヒトの細胞では実験はしていません。

※2 酸性の溶液につける以外にも、細胞を細いガラス管に何回か通したり、細胞膜に穴を開ける化学処理をしたりしてもSTAP細胞をつくれました。

 管理人による加筆(3月17日)
すぐ上の※1、※2は、ほかの細胞や刺激で実験をしたことが論文に明記してあり、万能性の最初の一歩を示すデータはありますが、テラトーマの形成やキメラマウスの形成など、万能性を示すすべての実験結果を示したデータはありません。

管理人による加筆(4月10日)
ご存知のように、論文には不適切な行為があり、これをめぐって揺れております。
この点に関しては、以下の記事もごらんください。
何をもって「事実」といえるのか~STAP細胞の論文を通して見る科学の作法~
STAP細胞はあったのか?
STAP騒動で私が感じた「感覚の違い」

管理人による加筆(7月28日)
STAP細胞に関する2本の論文は7月2日に撤回されました。著者たちによる検証実験が理研で行われていますが、現時点でSTAP細胞の存在を証明できるデータは何もない状態です。また、以下の記事もご覧ください。
・STAP細胞があったとしても

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この記事への12件のフィードバック

STAP細胞の解説、待ってました!早速ありがとうございます。

小保方さんが細胞を漬ける弱酸性の液体を“すっぱめのオレンジジュースのようなもの”とおっしゃってました。
実験のプロセスも素人でもわかりやすい。
新聞記事やTV報道で、ある程度の機材があれば簡単に出来ちゃうの?!と思いました。設備の整った高校の実験室でもできるのかしら…。
この技術が進めばクローンを手軽に造れるのではとも考えましたが、私の読みは間違ってなかったようですね。
この技術が倫理的にも、より良い方向に進化することを願います。

マスコミでは研究の革新性だけでなく、小保方さん個人についての報道が過熱しており、おいおいって感じですね…。
彼女が地味で、研究室が普通の雰囲気で、割烹着を着ていなかったら…、報道はずいぶん違っていたのでしょうか?ううむ。
小保方さんが研究に没頭できる環境を一日も早く取り戻せますように。

はらぺこラッコさま

いつもご愛読いただき、ありがとうございます。

実験は簡単にできてしまうかもしれません。
生命の神秘を、より多くの方が実感できるというのはいいですね。
ただ、iPS細胞でさえ、作業が簡単であるがゆえに、
倫理的に問題がある実験が行われないような対策が必要とされるそうです。
STAP細胞も今後どのように扱うか、ルールづくりが必要でしょう。

もう一点、報道についてですが、サイエンスの部分にもっと注目が集まってほしいなあ、と私も感じています。
実は本日2/2(日)より未来館でもSTAP細胞のサイエンスミニトークをはじめました。
サイエンスの部分に驚きを感じていただけるようなお話を目指しております。
また、小保方先生以外の先生方のご活躍もお伝えしたいです。
(理研におけるマウス、ES細胞、発生学のプロが結集したからこその成果です)
もし機会がございましたら、是非お越しください。

STAP細胞は刺激してやらないと試験管内で増殖しないのに、ES細胞やiPS細胞より優れた万能細胞と報道される視点がよくわかりません。教えてください。

また、弱酸性の温泉に浸かった後、LIF入りクリームを塗ったら、お肌が若返るということですか?しないなら、なぜですか?

本日、ミニトークに参加させていただきました。
ありがとうございました!!
とてもわかりやすかったです!!
子どもたちが目をキラキラさせていたのが印象的でした!

ピラミッドハンターさま

ご質問ありがとうございます。

まず、一点目。
STAP細胞はES細胞やiPS細胞より優れているとの論調について。

私も、優劣の比較には意味がないと感じております。
「生物学や医学において重要な技術が一つ増えた」との認識でいます。

メディアで言われているSTAP細胞のメリットは
①簡単に作製できる
②作製効率が高い
といったところでしょうか。

ただSTAP細胞は新しい技術なので、まだまだ課題があります。
ご指摘の通り、『STAP細胞は刺激してやらないと試験管内で増殖しない』ですし、
マウスの新生児でしか作られなかった、という課題もあります。

さらに、ES細胞やiPS細胞はこれまでの研究成果の蓄積がありますが、
STAP細胞はこれから研究を進めなければなりません。

iPS細胞が発表された時も、ES細胞と比較されましたが、現在でもES細胞とiPS細胞の両方の研究が行われています。

STAP細胞は素晴らしい研究成果ですが、ES細胞やiPS細胞にすぐとってかわるものではないと思います。

そして二点目。
お肌も若返るのか、というご質問について。

皮膚でSTAP細胞がつくられるのか、分からないというのが正直なところです。
少なくとも、今回の論文では「個体の皮膚の上でSTAP細胞ができた」ということは報告されておりません。
また、STAP細胞が「若返り」なのかも未知数です。

仮にSTAP細胞ができたとしても、細胞がきちんと働くためには、その場所に合わせた細胞になる必要があります。
例えば、皮膚は何層もの細胞が重なってできています。
それぞれの細胞になるためには、適切な過程をふむ必要があります。
STAP細胞のようなまっさらな細胞が皮膚表面でいきなり皮膚表面の細胞になるということはないと思われます。

ただ、STAP細胞の研究ははじまったばかりです。
もしかしたら、将来、美容の分野でも役立てられる日が来るかもしれませんね。


未来館ボランティアさま

ご覧いただきありがとうございます。
お子さん達が生物学に興味をもつきっかけになればいいですね!

STAP細胞の培養液は、酸性溶液PH5位といわれています。
私の傷を温泉水でガーゼに浸ませて湿潤状態にすると、一夜で傷口がふさがり
傷が化膿することなく癒えました。2日で治り3日で包帯なしでOK 。
この温泉水で、培養してみたら、培養効果が上がるのではないかと推薦します。

大分県小国温泉地蔵の湯の温泉水PH3、効果ありますよ。

どういうわけか?ソフトバンクのメールアドレスは自分で
テストで送信すると受信しますが、他者には送信も受信もできないので、
携帯番号のショートメールでお願いします。でも、投稿できませんでしたので。。一応、softbakのアドレス書いてもう一度、試します

STAP細胞など、本当にそんなウマい夢のような細胞ができるのでしょうか?
笑 まだ、疑ってるtakokuroです。。

どうも。。世界的には、以下のテロ研究がすでに進められてることにより?nor 施行されてるから?それへの抵抗?力としてこういった実験をすすmwてるというのでhqないでしょうか?
お聞きしたく、質問させてもらいました。何卒、疑問に。。

質問内容ー
細胞から臓器を作るより、戦前から、nor人類社会が成立し、
支配者と被支配者という仕組みができてから以降、ずっと研究し続けてる不老不死や人工受精や受精の研究で、
臓器を取るための?出産?ということや子供の育成ってことの方が、技術的に簡単ではないのか?
かつ、奴隷制など支配欲、独占欲の強い人たちの文化では、
上記のテロリズムなぞ、こういうエゲツないことでも平気なんじゃないか?

石田益雄さま

pH3とはかなり強い酸性の温泉なのですね。
私は入ったことがありませんが、ぜひ一度入ってみたいですね。

小保方先生の論文では、pHの影響も調べています。
最もSTAP細胞が効率よくできたのはpH5.4~5.8だったそうです。
また、pH4.4以下あるいはpH6.0以上では、STAP細胞に全くならなかったそうです。
使う細胞の種類や浸す時間にもよるのでしょうが、
pH4~6くらいがSTAP細胞をつくるにはちょうどいいようですね。
(ちなみに、例えで使われる「オレンジジュース」はpH4.0くらいなので、
酸性度が強すぎると思われます。)

ですから、pH3だと少し刺激が強すぎるかなあ、とは思います。
温泉とSTAP細胞に関連があるのか全く分かりません。
STAP細胞に関係がなくとも、温泉で健康になるメカニズムが分かったら、興味深いですね。


親族に細胞医学を必要とする人がいて、はやい医学への応用を待ち望んでいます。医学が正確に、安全に、はやく進むような人事の移動はないものでしょうか。できる人材で、人間的にも期待されるうもれた人材はもういないものでしょうか❓細胞医療の発展がまだまだ期待できるのに、病気が治っていないのが現実みたいです。風邪薬のように安全で的があたる医療を今後,期待したいのですが、医療分野と違う科学者にできることはないのでしょうか?ちなみに、能力があって、飽和している分野で、過疎にとばされた若者が多いようです。

川田さま

コメントをいただき、ありがとうございます。

仕事柄、再生医療を目指す研究者の方々にお会いしますが、一日も早い治療への応用を目指しておられる方ばかりです。
(このブログでも、腎臓の再生医療を目指す、西中村隆一・熊本大教授のインタビューをご紹介しました。
http://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/20140128ips-11.html )


そのような研究者の方に加え、細胞培養のためのロボット技術を研究されておられる方であったり、資金などを調達される方、適正な環境を整えるための法整備に関わる方、などとチーム一丸となって戦っておられます。

現在、様々な分野の方が必要とされています。そのことを医学の研究者以外の方にも知っていただくことが再生医療を前進させるために必要なことではないか、と私は考えています。

私は門外漢ではございますが、奮闘なさっている皆様に敬意を表するとともに、一日も早い治療への応用を願ってやみません。

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