地球温暖化の「確からしさ」を考える

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(NASA提供) 

これは昨年フィリピンをおそったスーパー台風「ハイヤン」。

国際宇宙ステーション(ISS)から撮った写真です。

地球温暖化が将来進むと、

このようなスーパー台風が日本を襲うことはあるのでしょうか?

こんにちは、福田大展です。研究者と新聞社やテレビの記者が地球温暖化の報道について考える「温暖化リスクメディアフォーラム」が1月28日、港区のコクヨホールで開かれました。今回のブログは、イベント内であったシンポジウムの一幕をご紹介します。トピックは以下の3つです。

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 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」という組織の名前を耳にしたことはありますか?新聞やテレビの報道で見聞きしたことがあるかもしれません。この組織には、気候変動を専門とする世界中の研究者が集まっていて、主に地球温暖化のデータを集めて整理しています。5、6年に1回のペースで最新データを公表しています。そして、昨年から今年にかけて、5回目となる「第5次評価報告書」を発表しています

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これらの3つのワーキンググループ(WG)ごとと、統合報告書の計4回に分けて発表されます。今年はなんと、そのひとつのWG2の報告書が、日本で初めて発表されるんです!舞台は横浜市です

 

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シンポジウムは、ひとつのデータへの疑問から始まりました。まずはそのデータを紹介します。

 

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 これは「21世紀末に強い台風はますます強くなっているか?」をIPCCが予測した結果です。2007年に発表された第4次評価報告書では、「可能性が高い」としていました。しかし、昨年の第5次評価報告書では「北西太平洋と北大西洋でどちらかといえば」と、表現が弱められたのです。

一方、日本の研究プロジェクトでは、「将来強い台風の強度は強くなる」と予測しています。なぜIPCCと日本のプロジェクトの評価が分かれたのでしょうか。

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 どうやら2つの評価が分かれた理由は、「IPCCでは研究例が少ないデータは評価の対象にすることができないため」のようです。IPCCの評価は主に、研究例が多い世界全体のデータを対象にしています。一方、日本などの限定された地域のデータは研究例が少ないために、高い信頼性を得られずに評価の対象にならないようです

ただ、参加していた日本の研究者たちは、「将来日本において、強い台風の強度は強くなる」という予測はかなり確からしいと考えていました。

 

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 昨年フィリピンを襲ったスーパー台風や北米の大寒波、連続して水揚げされた深海生物のダイオウイカ──何でもかんでも「温暖化のせい?」という疑惑が持ち上がりますが、実際のところどうなのでしょうか?

 「個別の事象について温暖化が原因かを判定するのは難しい」

これまでの科学界の定説はこうでした。しかし、今回のシンポジウムで新たな研究者の"挑戦"が伝えられました。

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 例えば、「スーパー台風 温暖化が原因」という見出しの記事が将来見られるかもしれません。そのとき、私たちは冷静に情報を受け止める必要がありそうです。その現象を引き起こした原因のうち、温暖化が原因となったのは全体の何%なのか。それはどの程度の確からしさの情報なのか。

 

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 最後に、シミュレーションに対する厳しい問いが研究者にぶつけられました。

「シミュレーションは社会に公表するレベルにあるのか」

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時間は止まってくれません。こうしている間にも私たちはエネルギーを使い続け、年間97億トンの二酸化炭素を出し続けています。「100%正しいとは言い切れないが、伝える意味がある情報を伝えたい」。研究者の言葉からは、情報の「確からしさ」との葛藤が垣間見えます

行政や私たちは、その不確実性のある情報を元に、行動を判断しなくてはいけません。そのときには、次のようなことが大切だと感じました。

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研究者の葛藤が詰まった「IPCC第5次評価報告書」。興味を持った方は、ぜひ原文を読んでみてはいかがでしょうか。政策決定者向けの日本語要約版もあります。

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