文字ばかりの「エネルギー基本計画」を読み解く

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(NASA提供)

この光は国際宇宙ステーションから見た、関東地方の明かりです。

人間活動の光は、宇宙からでも分かるほど、強く輝いています。

それだけたくさんの、エネルギーを使っています。 

日本の将来のエネルギーの方針をまとめた「エネルギー基本計画」震災後初となる政府の計画案が2月25日、発表されました。70ページ中イラストは1つで、文字ばかり気になるけど読む気になれない。今回のブログは、そんな人に向けて書きたいと思います。

 

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エネルギー基本計画は、約3年ごとにまとめています。2010年に原発を基幹エネルギーに位置づける第3次エネルギー基本計画」が発行されました。しかし、東日本大震災で福島第一原発事故が発生。脱原発に大きく舵を切った「革新的エネルギー・環境戦略」がまとめられました。その後、民主党から自民党への政権交代があり、再び原発を「重要」とする今回の「第4次エネルギー基本計画」ができました。震災の前後で、日本のエネルギー政策が大きく揺れ動いています。

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それでは、さっそく中身を見てみましょう。下の表は「各電源の位置づけ」です。すべての電源に「重要」や「有望」と書かれていますね。注目された原発は、最初の原案では「基盤となる重要なベース電源」としていました。しかし、政府案では「重要なベースロード電源」と変わりました。

「ベースロード電源」 って何?

計画によると、ベースロード電源とは、「昼夜問わず安定的に稼働できる電源」としています。石炭火力や水力、地熱などもベースロード電源に位置付けられています。「基盤」という文字は消え、表現が弱められたように感じますが、実際はどうなのでしょうか? 毎日新聞によると、「政策としてやることは素案段階と変わらない」(経済官庁幹部)と話しています。

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続いて、原発の政策のこれまでの流れを見てみましょう。震災による原発事故で「原発ゼロ」に大きく傾きましたが、政権交代により「重要」な電源に再び大きく揺れ戻されました。再稼働については、基準に適合した原発は再稼働を進める」と明記。新設については「確保していく規模を見極める」と含みを持たせました。核燃料サイクルについては、「増殖炉」の文字は消えたものの「推進」するとしています。これは「原発の依存度を可能な限り低減させる」という自民党の公約と矛盾していると思います。

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私が一番気になるのは、「対話の場が少ないこと」です。前回の基本計画の策定のときには、事前に全国10カ所で、市民の意見を直接聞く「公聴会」を開催しました。震災後の20129月にまとめられた、革新的エネルギー・環境戦略の策定のときは、公聴会だけでなく、文章で意見を募る「パブリックコメント」を募集。さらに、テーマについてじっくり学んだ後の意見を調べる「討論型世論調査」も実施しました。しかし、今回の基本計画は、ハブリックコメントのみ。公聴会を開くべきという意見に対して、「公聴会の開催は予定していません」 (パブコメ92ページ)と素っ気なく答えています。

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震災前の原発政策は、一握りの人間が密室で決めてきました。さらにデータの捏造などで信頼を失い、原発事故で不満が噴出して、現在の"推進派"と"脱原発派"の対立を生み出しました。一部の専門家は、混乱の原因を「国民の原子力の理解が足りないからだ」と思っているように感じます。「正しい知識を得れば、市民は専門家の意見を受け入れるだろう」と。

しかし、それでは市民と専門家との距離は、開く一方だと思います。大切なのは「価値観が違う人たちが同じテーブルを囲み、技術のメリットとデメリットを話し合った上で、将来のエネルギーのあり方を一緒に考える場」。私はそんな対話の場を作ることが必要だと思います。パブコメしか集めない今の流れは、広く開かれた場作りとは逆行していると思います。

 

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このブログを読んで興味を持った人は、ぜひ原本を見てみてください! 冒頭に書いたように、70ページ中イラストが1つで文字ばかりですが・・・。今回集まったパブコメもぜひご覧ください

さらに以前の計画はこちらです。

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