2014年ノーベル賞受賞者を予想する!番外編 そもそもノーベル賞はなぜすごい?

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私たち科学コミュニケーターによるノーベル自然科学3賞予想、物理学賞3人目の予想をもって無事出そろいました。

そして、特設サイトも開設されました。この特設サイト、私たちだけなくみなさまにもノーベル賞を予想してもらおう!というわけで、私たちの予想に投票するもよし、新たに受賞者を予想するもよし、というサイトになっております。10月6日の生理学・医学賞、7日の物理学賞、8日の化学賞の発表まで、みなさんとともにワクワクドキドキしながら待つ私たち。発表当日は、その日のうちに受賞内容の詳細解説記事を公開すべく、ノーベル賞受賞者予想隊メンバーが一丸となって情報収集などを行う、まさにお祭りが待っています!(去年の様子はこちら

 

なわけですが。

ある夏の日。松浦はふと思ってしまったのです。

 

「つか、なんでこんなにノーベル賞で盛り上がってるんだ、私。」

 

・・・なんでだ。冷静になってしまった。このままではお祭りで騒ぎ損なう

そんなの嫌だ!!!(お祭り女松浦。)

 

というわけで。

ノーベル賞って一体ナニモノなのか。騒ぐに値するのか。

ちょいと調べてみました。

★スゴイと言われる国際賞はたくさんあるのに。

言わずもがなですが、世界中の誰もが一度は聞いたことがあり、特に科学分野では大変栄誉のある賞として扱われるノーベル賞。しかし世界中を見回せば、科学技術に貢献した人に贈られる賞は、ウルフ賞、フランクリン・メダル、プリーストリー賞、ラスカー賞等数多くあります。最近で言えば、9月初めに京都大学の森和俊博士がラスカー賞を受賞しました。(これについては誰か書いてくれる・・・はず。)

そのラスカー賞も含め多くの国際賞を総ナメにし、2012年ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥博士のことは、みなさんもよくご存じかと思います。ここで松浦は思うわけです。

 

ノーベル賞と他の賞の受賞時、受賞理由や周りの反応に違いはあったのかしら。

 

山中氏が所長を務める京都大学iPS細胞研究所国際広報室の和田濵裕之さんにお話を伺いました。和田濱氏によると、山中氏に関しては受賞理由に大きな違いはなく、違うのは周囲、特にメディアの反応だそう。一般的にどの国際賞も事前に受賞を予測してメディアが動くことはまずないのだとか。でも、

 

「ノーベル賞だけは毎年、メディア関係者がノーベル賞候補者のところへ出向き、発表の瞬間を待っている」

 

と和田濱さんはおっしゃいます。実際、山中氏の受賞時は100名近いメディア関係者が集まり、準備した会議室が満員になったとのこと。またノーベル賞だけは、発表の直前に予兆がないか、誰が受賞しそうか等、多数の問い合わせがあるんだとか。

 

ふーむ。メディア関係者がノーベル賞を特別扱いしてるってことはわかった。

じゃぁ、なんでそんなに特別扱いするんだろう。

 

★ここ10数年の日本人受賞者ラッシュ?

科学雑誌『Newton』の高嶋秀行氏は「ノーベル賞に関しては、受賞発表直後の記事では、誌面は3賞合わせて1~2ページ程度で大きな特集にはなりません。ただ、日本人が受賞すると発表後インタビューをしたり特集を組んだりして誌面で取り上げます」と話してくださいました。

確かに、ここ10数年、ノーベル賞に関連したニュースを多く目にするようになった気がします。

それは2000年、1987年の利根川進博士の生理学・医学賞受賞以来10数年ぶりに、白川英樹博士が化学賞を受賞したこと、そしてその後、2001年に野依良治博士が化学賞、2002年に小柴昌俊博士が物理学賞、田中耕一氏が化学賞と日本人受賞者が続いたことが理由のよう。実際、自然科学3賞の日本人受賞者は2013年までで16人。うち11人が2000年以降の受賞なのです。

 

★信頼できる?

今までノーベル自然科学3賞は、物理学107個、化学105個、生理学・医学104個の賞が贈られ、返還されたものはありません。けれども、受賞内容に物言いがついた例としては1926年のヨハネス・フィビゲルによる「寄生虫発ガン説に関する研究」や1949年のエガス・モニスによる「ロボトミー手術」があります (ともに生理学・医学賞)。しかし、ロボトミー手術のことを「その当時、(ロボトミーは)代替のない治療方法だった」とノーベル財団は受賞理由にしています。

 

高嶋氏曰く「(最近の)ノーベル賞は成果を上げて受賞するまで時間がかかり、『間違いない』と確証が得られるまで授与されない慎重さが特徴の一つかも」と。前述の経緯があり、ますます授与に対して慎重になっている、ということが背景にあるのでしょう。決め手となる功績の発表から受賞までの時間がかかるものが多く、最長記録では約55年。慎重に保守的に受賞者が選定されていることから、信頼度が高い賞と言って良いのかも知れません。

 

「ノーベル賞を振り返れば科学の歴史がわかる、と言ってもいいかもしれませんね」(高嶋氏)

 

確かに!

 

 

★世界初の国際賞。

ノーベル賞はダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルの遺言に従って1901年から始まった賞です。物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の5分野(※)で顕著な功績を残した人物に贈られます。※今は通例として、経済学賞もノーベル賞に含まれます。

1901年当時、学術賞と言われるものはすでに存在していましたが、自国民に対し与えられる賞であったのに対し、ノーベル賞はノーベルの遺言に「候補者の国籍は一切考慮されてはならず」と書かれていたため、世界初の国際的な賞となりました。

世界初の国際賞で、その歴史を振り返れば科学の歴史を垣間見ることができ、受賞の功績は信頼度が高い。

そんな賞を日本人が受賞すれば、国民として誇らしいのも事実。

 

★お祭りはもう始まっています

科学技術に関わる人間としては、やっぱり騒がずにはいられない賞ってことだ。納得。

というわけで。

 

安心して騒ごうじゃないの。

 

このブログで自然科学3賞の予想が出そろい、特設サイト「ノーベル賞を予想しよう!2014」も開設されたことは、冒頭でお伝えしました。

館内ではその予想をみなさんに解説するミニトークをすでに展開中。

           20140924_nobel_01.jpg

ミニトークをする科学コミュニケーター志水。彼の予想は当たるのか?!

 

そして発表当日。

まずは、ブログで恒例になった発表当日にわかりやすい解説記事を公開予定。

同時にノーベルスタジオ@Miraikanを設置!私たち科学コミュニケーターが常駐し、お客さまと一緒にノーベル賞を楽しみます。

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見たことのあるあの部屋がスタジオに・・・?!

 

自然科学3賞の受賞者発表は10月6日からの3日間。発表の時間が近づくと、科学コミュニケーターたちはわくわく、そわそわ。そして、いざ、発表されると、ブログでの解説だ、ミニトークだとドタバタが繰り広げられます。今年はそれをニコニコ生動画で生中継。応援、叱咤激励、なんでもござれ、です。

もちろん、発表翌日からは解説ミニトークを展示フロアで展開します。

 

去年は入社したてで、お祭りを外から眺めていた松浦。

今年は仲間たちと、そしてみなさんとたっぷり騒ぎます!!!!

ノーベル祭り、あなたも参加しませんか?

 

今年のノーベル賞関連イベントに関してはこちら

2014年ノーベル賞関連のブログ記事など

ノーベル賞を一緒に予想してみませんか?

2014年ノーベル生理学・医学賞を予想する
① 脳の働く様子が見える?!
② DNAの使い方を決める仕組みとは!?
③ 博士が見た「大きな夢」と「小さなRNA」

2014年ノーベル物理学賞を予想する
① 超伝導のあのお方~その2
② スピンを操るあの方!
➂ 高速・大容量光通信の実現で世界を変えた男たち

2014年ノーベル化学賞を予想する
① 超伝導のあの方
②~家族計画を可能にした男~
③ 分子1つを見る

2014年ノーベル賞受賞者を予想する!番外編 そもそもノーベル賞はなぜすごい?

2014年ノーベル賞を予想!今年もやります(この記事)

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この記事への8件のフィードバック

ノーベル賞って科学分野だけなのでしょうか?世界の為に役立っているのは科学だけ?平和賞とかってありませんでしたでしょうか。今の世界では平和に遠いに国などあります。そんな国の為に尽くすとか。そういう事も話題になってもおかしくないと思うのは自分だけだろうか?

StraySheepさま

コメントありがとうございます。

本文中にも書きましたが、ノーベル賞はダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルの遺言に従って1901年から始まった賞で、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の5分野で顕著な功績を残した人物に贈られます。今は通例として、経済学賞もノーベル賞に含まれます。

世界で役に立っているのはもちろん科学だけではありません。
平和賞、文学賞、経済学賞ももちろん話題になっていると思います。
ただ、私たちは日本「科学」未来館の「科学」コミュニケーターなので、
ここでは、「物理学、化学、生理学・医学」の3賞について注目しました。

この後も、自然科学3賞に限定した記事がアップされると思いますが、
ご理解いただければ幸いです。

 世界の平和、経済、政治を常に支えてきたのは、私たち人類の自然現象に関する理解と知識ですね。内界だけに目を向けていては、崖等のある外界で夢遊することになります。一見乱雑に見える自然には法則があり、時が経つにつれてより正確なモデルを作り上げる、それが科学。それを応用したのが科学技術。悪用されるよりもはるかに活用されてきました。

 約600万年前の2足歩行、石器、加熱調理から始まり、今日では平均余命の向上、大陸間飛行、インターネットなどの通信技術などを達成しています。これらの一つ一つが人類一人一人の生活、命に深く関わっています。

 今や人類は地球という規模の責任を担っています。地球の環境または太陽系は恒久的なものではありません。その視点からみると、つまり私たちの未来、子供たち、孫たち、動物界、植物界、生命等の全てを考慮すると、ノーベル物理学、化学、生理学または医学賞は、この上ないノーベル平和賞ですね。

Toneさま

コメントありがとうございます。

>ノーベル物理学、化学、生理学または医学賞は、この上ないノーベル平和賞ですね。
このコメントに、私を含めノーベル予想隊のメンバーが、改めて活動をがんばろう!と励まされました。ありがとうございます。
ノーベル賞発表、そしてその後もノーベル予想隊の活動は続きます。
引き続き応援していただけたらうれしいです。

「未来を考える」ということは、Toneさまのコメントのとおり、人類が地球の責任を担っている、という感覚が必要なのだと思います。
私は、来館してくださる方、このブログを読んでくださる方たちと科学をきっかけに未来を一緒に考えていけたら、と思っています。

Toneさまのコメントを励みにがんばります。

こんにちは、松浦麻子様

 ノーベル賞について説明する場合には、もう少しアルフレッド・ノーベル自身の業績について説明した方が良いのではと思います。
 彼はヨーロッパで「特許制度」が始まった初期の発明家です。300以上の発明をしましたが、その中でもダイナマイトなどの強力な爆薬とそれを目的の時に爆発させる「雷管」の発明をして、事業化しました。彼はそういう爆薬や雷管を鉱山や土木工事に使う目的で発明し事業化したと言われています(異説もあります)が、戦争が起きると強力な爆薬や使いやすい起爆用具と言うのは人を殺すためにも使われる訳です。そのため彼は「戦争で大もうけした、大金持ち」になってしまう訳です。
 彼が最初から「平和主義者」であったかどうかは、いろいろ異説はありますが、少なくとも晩年は自分の発明が戦争に使われて多くの人が死んだことに心を痛めていたことは事実だろうと思います。そのため遺言で自分の遺産を「人類のために貢献した発見・発明や文学に賞を贈ること使え」と遺言を残すわけです。彼の遺言は「分かりにくいもの」だったと言われていますが、とりあえず、その当時の考え方で彼の遺言を解釈してできたのが、ノーベル賞の経済学賞を除く各賞です。
 「なんで、こういう賞は無いんだ」と言いたくなる面はあると思いますが、もともと賞の費用がノーベルの遺産によっていますから、彼の遺言を無視することもできない訳です。

技術開発者さま

コメントありがとうございます。

ノーベル賞がどんな賞なのか、技術開発者さまに書いていただいたような内容は、
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1409081217249.html
や、館内のミニトークでご紹介しています。
遺言をベースに作られたノーベル賞、数学賞がないやらなにやら、いろんな意見があることも事実ですが、色々調べて、やっぱりすごい!というところでしょうか。
この記事では、少し調べたらわかること、ではなく、違った視点からノーベル賞を眺めると、ということを書きたかったので、こんな記事になりました。

これから発表まで、そして発表後の未来館の活動をぜひ応援よろしくお願いいたします!

松浦麻子様

>この記事では、少し調べたらわかること、ではなく、違った視点からノーベル賞を眺めると、ということを書きたかったので、こんな記事になりました。

了解しました。ただ、私の様に科学技術の現場で過ごしてきたものは、ノーベルの「想い」のような部分になにかしらの共感があります。社会の利便性を向上し人が幸福であることを目指して開発している科学技術というものが、では戦争に使えないかというと使えてしまう訳ですね。軽くて強い材料を開発すれば燃費の良い輸送機関ができる訳ですが、同時に戦争に使われれば遠くまで届くミサイルや爆撃機に使うこともできてしまう訳です。

科学技術のみではどうしようもないこととして、人が争いよりも対話を望み対話で不和を解消しようとする意識の向上といったことがあるわけです。ノーベル賞に文学賞や平和賞があるということの意味にノーベルの「想い」を感じる面があります。後から付け加わった賞として経済学賞があるみとにも意義を感じます。戦争と言うのは結局のところ経済的な行き詰まりを背景に起きることが多いですからね。

なんていうか、個人的な願いとしてノーベル賞に対して「これらの優れた人類の叡智が。人類の平和と永続のために使われること」を考える機会にして欲しいという想いがあるのです。

技術開発者さま

コメントありがとうございます。

ノーベルの想いは計り知れないモノがあるなぁ、と私も思います。

>ノーベル賞に対して「これらの優れた人類の叡智が。人類の平和と永続のために使われること」を考える機会にして欲しいという想いがあるのです。
そうですね。
私たちも意識して、お客さまたちとお話していきたいと思います。

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