御嶽山の噴火~予知の難しさ

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先日、9月27日午前11時52分頃に、岐阜県と長野県の県境にある御嶽山が噴火しました。

 予知できなかったのか?と思われた方も多いのではないかと思いますが、

火山の噴火の予知は非常に難しいのです。

 

国内で予知に成功した例としては、2000年の北海道の有珠山の噴火があります。

このときは緊急火山情報をだし、約1万6000人が事前に避難することで、死傷者を出さずにすみました。

しかし、同じ年に起きた伊豆諸島の三宅島の噴火に関しては、うまく予知ができたとはいえません。最終的に三宅島に4年以上も戻れなくなるほどの長期間にわたる噴火でしたが、2000年の6月26日に異常が見られたのにも関わらず、一般島民全員の島外避難が行われたのは9月4日。2カ月以上かかりました。

逆の例もあります。噴火すると思われたのに、しなかった例です。

岩手山は1998年に火山性地震や噴気活動が見られたため噴火が起きると予知しましたが、結局、起きませんでした。

 

今回の御嶽山の例でも、噴火が起きた後に得られたデータを改めて見返せば、

噴火の直前にその兆候とも考えられる特殊な小さい揺れがあったこと、

山頂部のわずかな形の変化があったことが分かります。

しかし、これらのデータが得られた噴火直前の段階で、山にすでに来ている人たちを急遽、避難させることは、現実問題としてはきわめて難しいでしょう。

 

火山予知の最大目的は、発生を予測し、人々が安全な場所に避難する事を助け、人的被害を最小限にくいとめることです。

そのため、噴火の予知には5つの要素があると言われています。

その要素とは「時期」、「場所」、「規模」、「様式」、「推移」です。

 

「時期」とは、いつ起きるかです。これは、火山性の地震や地形の変化、ガスや地下水の異常などを総合的に判断することでいつ起きるかを予測します。

 

「場 所」とは、どこで起きるかです。必ずしも山頂から噴火するとは限りません。山腹から噴火する可能性も十分にあります。安全に避難するには、火口がどこにな るかはきわめて重要な情報になります。これは、地形のどの部分が変化しているか、マグマがどう移動しているかが重要な手掛かりとなります。

 

「規模」とは、たとえばどのくらいの量のマグマが噴出するかです。地下にどのくらいマグマが溜まっているか、持続的に観測することで予測します。

 

「様式」とは、どのような爆発がおこるのか、どんなものを排出するかです。マグマの性質(粘っこいか、さらさらか、など)やその量によって決まり、火山の地質や過去にどのような噴火があったか知ることで推定できます。

 

「推移」とは、噴火が起こった後、どのような経緯でいつ頃、終息するかです。これまで溜まっていたエネルギーと噴火したエネルギーを比較することなどから判断します。

 

一言で「地震予知」といっても、これだけの要素があるのです。

 

さて、今回の噴火はどうやら「水蒸気爆発」だったと考えられます。

やかんでお湯を沸かす時、お湯がすると水蒸気の勢いでやかんのフタが動くことはありませんか?

この状態が山で起きた現象が水蒸気爆発です。山の内部にあった熱水が、なんらかの影響で膨張し爆発したと考えられます。

これは、火山灰が降った際に湿気を帯びていたこと、マグマ由来の物質が含まれていないことなどから判断されました。

 

マ グマが上昇して爆発するマグマ爆発の際は、マグマの移動があるので、水蒸気爆発と比較すると前兆がわかりやすいのですが、水蒸気爆発はマグマ上昇の大きな 動きがないため予知しにくいのです。前の方で紹介した、予知の成功例として知られる2000年の有珠山はマグマ爆発でした。

 

御嶽山は現在予断を許さない状況です。

水蒸気爆発の場合、一般的には爆発して水蒸気が放出されると落ち着くと考えられています。

しかし、今回の噴火の後には火山性微動という、地下のマグマやガス、熱水の移動や振動が原因と考えられる揺れが発生しています。火山性微動が起きているから噴火するとは限りませんが、再度噴火してもおかしくない状態です。

特に近くに住んでいらっしゃる方は、状況を注視して下さい。

 

最後になりますが、今回の噴火によって亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご家族にお悔やみを申し上げます。

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この記事への2件のフィードバック

佐竹様
火山活動の予知という課題については常々、疑問を感じています。
それは、火山活動をマグマの動きだけで説明しようとしていることです。
マグマは、鉱物性の物質で構成されており、これが地表に向けて上昇だけでは爆発現象を起こさないと思うのです。
爆発を防ぐことを仕事としてきた立場からすると、爆発現象を起こすというのは、①圧縮された気体の存在、②急激な気化現象(一例としてBLEVE)が必要であると思うのです。また、それが爆発的であるためには、密閉された空間が破壊すると言うことが必要と思われます。
単に、気化現象が存在していてもその量が、火山を構成している岩石の間隙から放出される量であれば、爆発現象にはならず箱根や那須岳のように蒸気噴出するにすぎないと思うのです。密閉性、あるいは噴気量以下の放出口しかない場合が噴火には必要と思います。
それでは密閉性を各火山ではどのように評価されているのでしょうか、既存噴火口の密閉性と新火口の場合の密閉性の違いはどうなのでしょうか。
急激な気化現象については、炭酸ガスや硫化水素が高土圧下で液化している場合、これが加熱を受け急激な解放条件になれば爆発現象を起こす。火砕流などはこの現象ではないかと思うのです。
さらに、大量の水がマグマと接することになれば、蒸気爆発現象を引き起こすことになります。それでは御嶽山の蒸気爆発について、台風18号や19号で大量に地表から水が供給されても蒸気爆発は起きていないようですのに、あの日に急に噴火を起こした水の供給源はどこにあったのでしょうか。
観測の側から見ても、地震計と傾斜計で調べていますが、リモートセンシング技術で、蒸気による地表の温度変化を遠赤外線、赤外画像では捉えられないのでしょうか。
火山噴火予知というものが、工学的に爆発現象の原因調査する場合の方法論から見るとあまりに異なり様々な疑問が起きるのです。

コメントを頂きありがとうございます。

工学的な爆発現象と火山噴火の調査法の違いについて、という
貴重なご意見ありがとうございまいした。

時間がかかってしまうと思いますが、火山噴火の予知に焦点を当てて
改めてブログを執筆したいと考えております。

気長にお待ち頂けると幸いです。

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