心臓が突然の発作を起こしたとき、誰に見つけてほしいですか?

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 あなたの心臓が突然の発作を起こしたときに、隣に誰がいてほしいですか?助かる可能性が高くなる人にいてほしいですよね。

 お医者さんか看護師さん、と言いたいところですが、なかなかそんなに運のいいことはありませんよね。現実味があるのは、家族? 友人や同僚? それとも、見知らぬ人?誰が近くにいれば助かる可能性が高いと思いますか?

 心停止して倒れたとき、助かる確率が高いのは誰に発見された時か? この疑問について、金沢大学医薬保健研究域医学系の田中良男協力研究員、前田哲生助教、および稲葉英夫教授らの研究グループが調査しました。そしてその結果が昨年11月に「Resuscitation」という欧州蘇生協議会の医学誌オンライン版に発表されました。

 どのようにして調べたのでしょうか?日本国内で発生した約55万例の心停止患者を対象に、発見者が患者とどういう関係にある人かで、生存率などにどう影響しているかの調査を行ったのです。まず発見者を、家族、知人や同僚、その他、の3つのグループに分けました。そして発見した人が、119番通報をするまでの時間、119番に出た救急隊員の指示通りに必要な応急措置ができたか、またそれまでどの程度時間がかかったか──などを調べ、それぞれについて倒れた人が1ヶ月後も元気に生きている確率を調べたのです。さらに、日中と夜間に分けて調べました。その結果をグラフにしたものがこちらです。

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図1 発見者が誰であるかと心停止した人の予後の関係

 この結果を見ると、知人や同僚に発見された場合が、最も生存率が高いことが分かります。また、心停止を目撃したのが家族であった場合には、119番通報が遅れることや、心臓マッサージをはじめとする応急処置が出来ないことが多く、そのため生存率も低くなってしまうことも報告されました。

 

 家族が発見した場合に生存率が低い理由は、精神的に動揺してしまうことが第一に挙げられます。さらに、近年の日本の家庭は核家族化と高齢化が進んだため、日中に高齢者夫婦のみが自宅にいる場合が多く、心停止に対する適切な対応ができないという問題も見過ごせないと、研究グループは報告しています。

 一人暮らし、二人暮らしといった家で倒れることは非常にリスクが高いということのようです。です。今回の研究では、倒れた人と発見者の他に何人いたか?という情報は含まれていません。しかし、石川県に限定したより詳細なデーターベースを分析した稲葉教授の別な研究において、その場に居合わせて、対応を手伝う人数が多ければ、より質の高い応急処置ができることが明らかにされています。倒れた時、周囲にどれだけ人がいるかは生死を分ける重要なポイントだといえます。

 しかし、家族が倒れて動揺するなというのは無理な話ですし、離れて住んでいる家族が急に一緒に暮らすことも現実問題として困難です。そこで、ここでは心停止を未然に防ぐための豆知識を紹介したいと思います。

心停止になりやすい季節がいつだかご存知ですか?

冬です。

 もともと寒いと血管が収縮して血圧があがります。さらに、居間など暖房の効いた部屋から、廊下など空調の効いていない場所へ移動する際に、血圧は急激に変化します。このことが、発作を起こしやすくしているのです。

 暖かい場所から寒い場所へ移動するときが危険と書きましたが、特に注意すべきは入浴です。そして、入浴による突然死は12月、1月、2月が多いと言われています。

 入浴の際に少し気をつけるだけでも、とても効果的な予防になるので、ぜひ実践して頂ければと思います。具体的には、

・脱衣所や浴室を入浴前に温めること

・入浴前後にコップ一杯の水を飲むこと

・入浴する際、お湯の温度を38~40℃と低めに設定すること

です。

 上記からも分かるよう、温度の変化が心臓の負担になります。冬ばかりでなく、春が近づく季節の変わり目の時期も、心臓に負担がかかるので注意が必要です。

 予防を心がけていても、心停止で倒れてしまうことがあるかもしれません。家族が、身近な人が倒れた時は動揺するのが当たり前です。さらに、患者の家族は心臓マッサージの実施をためらう、ということが今回の研究結果で明らかになりました。このことを改めて認識した上で、家族が倒れたときの対応を、厳冬期を迎えるこの時期に見直してみてはいかがでしょうか。

 また、繰り返しになりますが、一人暮らし、二人暮らしの家で倒れることは取り返しのつかないことになりかねません。ご近所の方と、お互い協力できるように話しておくといいと思います。

 もしもの時が起きたら、動揺すると思いますが、とにかく119番通報しましょう。

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この記事への2件のフィードバック

これとても興味深い調査結果ですね。
たしかに家族が倒れたら冷静ではいられないですよね。あと、正常バイアスというのもあるかと思います。倒れていても、これはたいしたことは無い、大丈夫だ、と思いたい気持ちが強くて、何らかの処置をすることにブレーキをかけてしまうのだと思います。
しかし、家族間で訓練しておくというのも、う〜ん、気が引けるな〜

コメント頂きありがとうございます。
知り合いで、家族が倒れていたけれどもなかなか気付かなかったという方がいます。身近な存在だからこそ、見過ごしてしまうということもありますよね。

具体的な訓練をしなくても、例えば、「家族が倒れた時には動揺してしまいとっさに対応できない」という話を、家族間で共有しておくだけでも意味があると思います。

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