宇宙に挑む「中年の星」

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いきなりですが、皆さんに質問です!

宇宙に"人"は住んでいるでしょうか?!

ためずに正解をいってしまいますが、いるんです!

でも、宇宙人とかそういう話ではなくて、上空400kmにある国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙飛行士たちが暮らしています。彼らは、重力がほとんどない宇宙空間でしかできない実験をしています。 現在6名の宇宙飛行士が滞在し、通常は半年に1回3人ずつメンバーを交代します。

そして、次にISSに行く44次/45次長期滞在クルーに任命された方々がこちら!

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JAXA/GCTC

後ろの国旗からもわかるように3カ国の方々が並んで座っています。

なんといっても一番右の腕に日の丸をつけた方が気になってしまいますよね!

油井 亀美也(ゆい きみや)さんです

油井さんは1970年生まれ、45歳の宇宙飛行士。「中年の星」と呼ばれ、注目を浴びています。さらに強調したいのが前職。航空自衛官のなかでも最も厳しいとされるテストパイロットの仕事に従事していました。軍用機から民間機まで操縦できる技術をもっているため、今回のミッションでもISSの運用やロボットアーム操縦などの活躍が期待されています

その油井さんを乗せた宇宙船の打ち上げが、

本日、5月27日だったのです!

が、しかし!!

直前の5月12日に、ロシア連邦宇宙局は思わぬ発表をしました。

打ち上げ延期決定!

(゜Д゜)

(゜Д゜)

(゜Д゜)

何があったかというと・・・

4月28日に食料や研究機材などの物資をISSに運ぶ補給船プログレスをソユーズロケットで打ち上げたのですが、何らかの問題が起きISSへのドッキングに失敗してしまったのです。そのまま大気圏に再突入して、そのほとんどが燃えつきました。

油井さんらを乗せたソユーズ宇宙船も、失敗したプログレスに使ったソユーズロケットで打ち上げます。ただ、今回 は油井さんらクルーを運ぶ有人飛行となるため、失敗は人命に関わります。安全面を考えて、打ち上げは7月下旬に見送りとなりました。

ざ、残念すぎるっ!

何年もかけて訓練を行ってきた油井さんも、さぞかし落ち込んでいるんじゃないかと思い、ふとTwitterを眺めてみると・・・

「私達の打上げの延期が正式に決まりました。今月末に宇宙へいく準備は全て整っていましたが、更に訓練する機会を頂けました!また、信頼性の高いソユーズ打上げの安全について、多くの方々が再検討して下さいます。ある意味、私達の打上げは、最も安全性の高い物になるでしょう。私たちは幸運ですね。」

油井宇宙飛行士のTwitterより

なんとポジティブなことでしょう!悔しさを押し殺し、安全のために全力で注力している人に感謝し、自身は訓練に励む。本当に素晴らしいですよね。

そんな、素敵すぎる油井さんを未来館でも応援しなければ!と思い、

ミニトークを作っちゃいました!

その名も、

宇宙に挑む 「中年の星」

ミニトークでは油井さんの人柄からISSでのミッションまで根掘り葉掘り。ここでは、内容を少しだけご紹介!

【油井さんってどんな人?】

実は、油井さんの人柄を示すものが、今回のISS滞在のミッションバッチでも、モチーフに使われています。

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図版提供:JAXA

このモチーフ何に見えますか?

「亀」です!

亀は油井さんにはとっても縁深いもの。名前にそのヒントがあります。

油井美也

名前に亀がはいっています。亀と聞くと、コツコツ努力する「頑張り家さん」というイメージを持つ人が多いと思います!まさしく油井さんもその亀のように生きてきた人。Twitterでご本人も自ら語っています。

「私の小さい頃は、大人しく、おっとりしたと思います。(あれ?考えてみれば、今もそうですね)。運動は苦手で行動も遅く、まさに「亀」でした。亀でも頑張って一歩一歩確実に前進すれば,戦闘機パイロットにも、宇宙飛行士にもなれるという事でしょうか?勿論、色々な方々の助けも必要でしたよ。」

油井宇宙飛行士のTwitterより

頭もきれて、身体能力の高い宇宙飛行士の油井さんが、子供の頃に運動が苦手だったとは驚きですよね。それでも、一歩一歩前進して目標・夢を実現させてきました。その姿が、テストパイロット訓練生の時のストーリーにもあらわれています。


ものすごい勢いで加速する戦闘機を操縦するときは通常の何倍もの重力(G)が体にかかります。それに慣れるため、体に高い重力をかける耐G訓練を行います。油井さんは普通の人よりもGに弱い体質だったらしく、訓練中に3度も気絶してしまったそうです。テストパイロットになることをあきらめかけましたが、なんとか踏みとどまります。どうすれば高Gに耐えられるかを調べ、下半身の筋力と持久力が重要であることを知ったそうです。それからは、走るトレーニングを真剣に取り組むようになり、弱点克服をしていったのです。努力が実り、戦闘機F-15の操縦時にかかる9Gにも耐えられる体を手に入れることができました。

9Gといったら自分の体重の9倍の負荷が体にかかるそうです。頭から体の下のほうへと血がぬけてしまい、普通の人であれば簡単に失神するレベルです。

できないことでも現実をしっかりと見つめ、コツコツ努力し、課題を克服してしまう姿は、努力家を超える「超努力家」の亀といえるかもしれません。実際、油井さんと一緒にISSに行くアメリカ人宇宙飛行士が「私が知る中で最も努力家だ」と賞賛するほどです。 

ちなみにですが、今回のミッションの訓練でも耐G試験がありました。大きな壁を乗り越えた油井さんは、「こんなものか」と思ったそう。もはや「鉄人」の域に達してますね。(新米宇宙飛行最前線を元に編集)

これだけではなく、奥さんとは二回会っただけでプロポーズをしたという「大胆」なエピソードもあるそうです。興味深い顔をたくさんもっている方ですね!

【油井さんのミッションとは?】

そんな油井さんは、ISSでどんなミッションに臨むのでしょうか。

JAXAのプレスキットをみると本当に多種多様。実験は生命科学、物質・物理科学、宇宙環境計測など250種類以上あり、日本が誇る実験棟「きぼう」でも多くが予定されています。なかでも、未来館が注目しているのはこちら!

たんぽぽ計画

なにやらかわいらしい名前に見えますが、我々人類にとっての問いである「生命はどこからきたのか」を解き明かすための壮大な計画なのです。

何をするかというと、密度0.01g/㎤でほとんど空気のように柔らかい「エアロゲル」という材料を使って、宇宙にある塵を捕まえていきます。

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(画像提供:千葉大学 田端誠)

なぜ宇宙空間をただよう塵を捕まえるかというと、有機物があると考えられているからです。その根拠としては、隕石や彗星の微粒子から有機物が検出されているからです。

「有機物ってなんじゃ」と思われる方もいるかもしれません。もともと、昔は生命からつくられるものを「有機物」、そうでないものを「無機物」と区別していました。今では無機物から有機物がつくれることもわかっていますし、有機物を人工的に合成することも可能なため、この区別は曖昧になっています。しかし、生命であるためには有機物が必要であることは確かです。

その有機物がどこから来たかは分かっていません。有力な説は2つあります。「原始の地球で自然発生的に生まれた」というのと「宇宙から降ってきた」という説です。たんぽぽ計画では、宇宙空間にある有機物を採取、解析することで、生命由来の有機物が宇宙からきたという仮説を検証しようとしているのです

まさに壮大!!

ミニトークでは、たんぽぽ計画をもっと詳しく紹介していきます。そして、今回紹介できなかった油井さんの人柄とISSでのミッションをもっと幅広い側面から、もっと深くまで掘り下げて紹介します。ぜひ、未来館まで見に来てください!科学コミュニケーターが情熱を込めて話します。

僕たちと一緒に、油井さんのミッションを応援しましょう!

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