星に名前をつけるとは

このエントリーをはてなブックマークに追加

みなさーん!
はやぶさ2の目的地、小惑星「1999 JU3」の名称募集は8月31日午前10時までですよー!

こんにちは、志水です。

先日のブログでご紹介した通り、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が小惑星「1999 JU3」の名称を募集しています。天体に自分が考えた名前をつけられるのは、めったにないチャンス!

(未来館の同僚を見回しながら)ねえ、みんなはどんな名前がいいかな!?

...ねぇ、ねぇったら...。

...。

なんで誰も興味を持ってくれないんだ!

いくら夏休みで忙しいからって、この機会に誰も目を向けてくれないなんて!
(志水が嫌われているわけではないです。たぶん。)

もう、こうなったら、あの人に聞いてみよう!

未来館で、宇宙といえばこの人!
未来館の元科学コミュニケーターで、初代はやぶさの運用にも携わった本田隆行さんです!

20150828_shimizu_01.jpg


========目次=========
1.本田隆行、登場!
2.我々も命名を考えてみました
3.そもそも、星に名前をつけるとは?
4.宇宙をみんなで愛するために
===================

1.本田隆行、登場!
本田まいどっ!

志水:ほんださーーん!

本田:しみちゃん、久しぶりやなー。

志水:それにしても、お元気でしたか?たしか今、大阪にいらっしゃるんですよね?

本田:せやで。地元の大阪・枚方に戻って、フリーの「科学コミュニケーター」(略してフリーター)として、科学館と連携したり、講演したり、ワークショップを開いたり、いろいろやってんねん。...まぁ、まだ仕事すくないけどね。しみちゃん、仕事ちょうだい!
(一応web作ったよ。更新はこれからします。汗)

20150828_shimizu_03.jpg

2.我々も命名を考えてみました
志水:小惑星「1999JU3」の名称募集のことはご存知ですよね? 私も名称を考えてみたんです。

本田:へー、どんなん、どんなん?

志水:ずばり、「シーサー」です!

本田:......しーさー?

志水:ほら、沖縄で屋根の上に置かれている獣ですよ。神話由来の名前が推奨されているから、伝説上の生き物の名前にしようかなあと。

本田:うーん。

志水:「1999 JU3」って「C型小惑星」ですよね。名称募集に合わせて行われたJAXAの会見で、はやぶさ2プロジェクトマネージャの國中均(くになか・ひとし)さんが語ったお話が印象に残ったんです。「アメリカの小惑星探査機『オシリス・レックス』の目的地には『Bennu(ベンヌ、エジプト神話の不死鳥)』と名前が付いた。この名前は『B型小惑星(炭素や揮発性物質が含まれる天体)』であるという特徴をうまく表している」って。だから頭文字は「シー」にしようと。

本田:まぁそれはそうやけど...しみちゃん。「シーサー」は「S(Shi-sa)」やで...。

志水:!!!

本田:英語が得意なしみちゃんにしては珍しい凡ミスやん!(笑)
 もしそのままいくんやったら、ややこしくなるなぁ。初代はやぶさの目的地、小惑星「イトカワ」が「S型小惑星」でしょ。S型は岩石質の天体で、C型は炭素原子を含む有機物が存在する天体ってことで全然違うし。

========================
ここで名称の主なルールを振り返っておきましょう。
●英語のアルファベット16文字以下であること。1つの単語であることが望ましい。

●すでに存在する小惑星の名前と同じものをつけることはできない。
(いい名前を思いついたら、こちらのページで同じ名前がないか確認しましょう)

●コマーシャルや宣伝となる名称や、ペットの名称はつけられない。

●1999JU3のように、地球の軌道に近づく小惑星には「神話由来の名前」をつけることが慣例となっている(天地創造や、死後の世界に関するもの以外)。ただその限りではない。
========================

志水:(英語が超苦手なほんだに指摘された悔し紛れに)じゃあ、本田さんには何かいいアイディアがあるんですか?

本田「キクナエ」とか、どや?

志水:お、昆布の「うまみ」がグルタミン酸であることを発見した池田菊苗(いけだ・きくなえ)先生ですか!

本田:そうそう、さすがしみちゃん!
 1999 JU3には、有機物の一種で生命の基となるアミノ酸が含まれるかも!なんていう話があるんよ。そのアミノ酸の一つで"うまみ成分"としても有名な「グルタミン酸」は、日本人の池田菊苗先生が見つけたもの。今回のミッションで小惑星からどんな成分が発見されるか未知数やけど、きっと今回のミッションにもいろいろな"うまみ"が隠れているはずやしねぇ。

志水:なるほど!さすが関西人!うまいこと言いますねえ(ちょっと悔しい)。でも、条件の中で「神話由来の名前をつけることが推奨されている」っていうのが難しいんですよね。

本田:神話ねぇ...。せっかくやし日本の神話がいいよね。「未知のわくわくするような土地」とか、「生命の源のような貴重なものが隠されている土地」のような期待感がある名前がええなぁ...。「オニガシマ」とかどうや?

志水:...本田さん、それ、昔話です(冷静につっこみ)。でも、期待感はありますよね。財宝どっさり、みたいな。昔話で良ければ、「リュウグウ」はどうです?

本田:お、それええやん!浦島太郎の竜宮城にひっかけたんやね。すでにその名前が登録されてないか調べてみよか。

このページで調べられます。)

20150828_shimizu_04.jpg

本田:おー、まだないやん!いけるいける、何があるか分からない期待感と、持って帰る物質が"玉手箱"っていうことやん?これいいやーん!......さ、応募しよっ。

志水:私が思いついたんですよー!(怒)

20150828_shimizu_05.jpg

3.そもそも、星に名前をつけるとは?
志水:そういえば、天体に名前をつけられるチャンスってなかなかないですよね。今までどうやって名前をつけていたんでしょう?

本田天体の名前って「国際天文学連合」という国際的な団体が管理してるんやけど、天体の種類によってルールが違うねん(※1)。
 例えば「ほうき星」とも呼ばれる彗星(すいせい)は、発見した人の名前が最大3名までつけられるんよ。有名なところだと、「ヘール・ボッブ」彗星がわかりやすいかな。まずアラン・ヘールさんという人が見つけて、そのあとにトーマス・ボッブさんという人が見つけたから、「ヘールさん+ボッブさんが見つけた彗星=ヘール・ボップ彗星」という名前になってん。
 一昨年、話題になった「アイソン彗星」は、最初に見つけた人が所属する研究チーム「国際科学光学ネットワーク」の英語表記「International Scientific Optical Network」の頭文字をとって「ISON(=アイソン)」ってことみたい。

志水:今回の「1999 JU3」のように小惑星の場合は?

本田:小惑星は、基本的に発見した人が名前をつけられるねんで。

志水:じゃあ、「1999 JU3」もJAXAが発見したから、名前をつけられるんですね!

本田:いやいや、それがちがうんだなー。今回は名前をつける権利を譲ってもらったねん。発見したのは、アメリカの「LINEAR(リニア)」っていう研究チーム。アメリカ空軍やマサチューセッツ工科大学などからなる研究チームで、初代はやぶさの目的地「イトカワ」を発見したのもこのチームやねんで。

志水:なるほど、日本以外の多くのチームも、はやぶさ2プロジェクトに関わっているんですね。

20150828_shimizu_06.jpgイラスト:池下章裕、提供:JAXA

4.宇宙をみんなで愛するために
本田:星の名前って、時代を映すものでもあるんよねー。今はこんな風に各国が協力したりしてるけど、過去には星に名前をつけることで、権威を示したりすることもあったみたいやし。
 たとえば、太陽系の惑星の1つ、天王星。18世紀、イギリスのウィリアム・ハーシェルという天文学者が見つけてん。発見当時はイギリス国王「ジョージ3世」にちなんだ名前をつけたみたいなんだけど、イギリス以外では全く馴染まず。そりゃそーやわな(笑)。その後、いろいろあって今の名前に落ち着いたみたいやで。

志水:「1999 JU3」は、世界の人に愛されるような名前がついてほしいですね。

本田:せやねー。宇宙は、みんなのものやもんねー(遠い目で)。

志水:最近は、天体に名前をつける権利を企業が販売することもあるそうです。でも国際天文学連合は「そうした手順で付けられた星の名は正式なものではなく、公式にはなんの効力もない。夜空の美しさは、すべての人が無料で享受すべきものである」との声明を出しています(※1)。

本田:国際的にも宇宙をみんなで利用するための取り決めがあるよね。例えば、日本やアメリカ、ロシアなど世界各国が批准している通称「宇宙条約」(※2)の第2条では、宇宙空間のすべての場所は、どの国にも属さない旨が書かれてるみたいやし。こういうのは大事にせなあかんよね。
 夜空の観望会とかやると、みんな目がキラキラしてるんよ。そこで宇宙のことを「自分ごと」にしてもらうにはどうしたらいいかを考えながら解説するんやけど...今回の「星の名前を考えよう企画」が、宇宙とみんなの関係性を考えるいい機会になったらいいね。

参考
※1:国立天文台HP 

よくある質問10-4 http://www.nao.ac.jp/faq/a1004.html

※2:宇宙条約(月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約)
全文 http://www.jaxa.jp/library/space_law/chapter_1/1-2-2-5_j.html

※コメントをする際は「ブログへのコメント投稿について」をご覧ください

※「名前」は、ハンドルネームでも構いません

コメントを残す