あなたの知らない、イグノーベルの世界

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みなさんは、「イグノーベル賞」をご存じだろうか?
本家本元のノーベル賞受賞者が、間もなく決まろうという頃、由緒あるハーバード大学の講堂では爆笑の渦が巻き起こる。―そう、イグノーベル賞の授賞式が行われるのである。

イグノーベル賞。
1991年、マーク・エイブラハムズ氏により設立されたこの賞には、毎年数千という研究がノミネートされる。本家ノーベル賞のように、物理学賞や化学賞、平和賞...などといった枠組みは存在するが、突然新たな分野が新設されることもある。自薦だろうが他薦だろうが問題ない。なぜならこの賞が求めるもの、それは「Laugh(笑い)」なのだ。それもただの「笑い」ではない。

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一言に「笑い」と言ってもさまざまだ。
奇妙キテレツだけれど大真面目、そのギャップに抱腹絶倒。選考した審査員のブラックユーモアや、世の中を鋭く風刺する毒舌ぶりに思わず苦笑い──。そして一見、そんな風変な研究へと研究者を駆り立てる背景や信念に想いを馳せてみるのも悪くない。イグノーベルを笑うあなたのユーモア、想像力、洞察力さえ試されているのかもしれない。笑うだけでは足りない、それがイグノーベル賞なのだ。

Laugh(笑い)and then(そして)think(考えさせられる)!
イグノーベル賞のベースにあるのはこのコンセプトだ。

興味を持ったあなたのために、さらにイグノーベル賞の世界を紹介しよう!

【授賞式が奇妙キテレツ!?】
お待ちかねは受賞者によるスピーチだ。 ここでもイグノーベル賞のユーモアが光る。
スピーチに用意された時間は、たったの60秒!制限時間を過ぎると、舞台袖から8歳の少女が現れる。8歳の少女というのはお決まりで、「8歳」には特別な意味があるらしい。彼女は、ミス・スウィーティー・プー。もちろん会場に迷い込んだわけではない。スピーチに夢中の受賞者もお構いなしで、「もうやめて、飽きちゃったわ」の連呼が始まる。
聴衆もおとなしく聞いているわけではなく、舞台に向けて紙飛行機を飛ばすのが慣わし。それをモップで片付けるのは物理学界の大物、ハーバード大学のロイ・グラウバー教授その人。御年90になるこの御仁は、イグノーベル賞を受賞したことはないが、この賞でモップ係を務めているうちに本家本元のノーベル物理学賞を受賞したというエピソードつき。その2005年と昨年以外は毎年登場する、イグノーベル賞のシンボルともいえるお一人だ。授賞式まで奇妙キテレツ!最後まで期待を裏切らないこと間違いなしだ。

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【受賞研究だってもちろん奇妙キテレツ!】
ふーん、何だか面白そう、でも遠い世界の話でしょ、と思ったそこのあなたへ。 実は日本人が8年連続でイグノーベル賞を受賞している。一部を紹介しよう。

バナナの皮のすべりやすさに関する研究(2014年イグノーベル物理学賞)
滑ると言うとバナナ、バナナと言えば滑る(?)...確かに不変の取り合わせ。だが、それを疑うところから科学は始まる。そもそも本当に滑るのか、どのくらい滑るのか!?計測技術を駆使した研究だ。
案外納得度:★★★★★(筆者の個人的評価)
詳しくは2014年の堀川晃菜のブログ記事をご参照あれ


手術後のマウスにオペラを聴かせた時の効果に関する研究(2013年イグノーベル医学賞)

クラシックよりオペラ!?
オペラ「椿姫」には、手術後の回復を助ける効果があるらしい。そして意外にも(?)その効果はモーツァルトよりも高いとか。もしも手術を受ける羽目になったら、「椿姫、お願いします!!」とリクエストしてみようか...ついそう思わせられる研究だ。そうなると私も笑われてしまうのだろうか...。いや、ものは試しだろう。
案外役立つ度:★★★★★(筆者の個人的評価)
詳しくは2013年の堀川晃菜のブログ記事 を参照

わさび警報器の研究と開発(2012年イグノーベル化学賞)
わさびで人に危険を知らせる!?
寝ている人を起こすのに有効な空気中のわさび濃度を調べ、その匂いで火災を知らせる警報器にしてしまうという大胆な研究だ。もともとは耳の不自由な人向けに考えられたそうだが、誰にとっても大音量が鳴り響く警報機は心臓に悪い。わさび臭で教えてくれるのは、幾分かやさしいかもしれない。
案外やさしい度:★★★★★(筆者の個人的評価)

ほかにも、「自身の言葉をほんの少し遅らせて聞かせることで、その人の発話を阻害する装置の開発」(詳しくは2012年の鈴木真一朗の記事を参照)と、受賞研究の話題は尽きないところだが...。

もっと知りたいと思っているあなたは、もうイグノーベル賞の虜に違いない。
2015年の受賞発表にはまだ間に合う。今年はどんな研究が栄冠に輝くのだろうか...、ちなみに毎年テーマの設定があるのだが、今年のテーマは「Life
人生?生命?生活?なんとも奥行きあるテーマだが、イグノーベル賞はこのテーマをどう料理してくれるのだろうか...。ぜひ未来館の科学コミュニケーターとともに堪能してほしい。
臨場感を楽しみたい方には、リアルタイムのネット中継がおすすめ。イグノーベル賞の主催団体であるIMPROBABLE RESEARCHのサイトで楽しむことができる。創設者であるマーク・エイブラハムズ氏が編集している雑誌だ。
ホームページ:http://www.improbable.com/ig/2015/


【今年は日本時間9月18日朝7時に発表、テーマは「Life」!】
未来館ではイグノーベル賞授賞式に向けて、紹介パネルの展示、ミニトークを実施します。
パネル展示 (9月14日~)
イグノーベル賞・ミニトーク(9月14日~開催!)

あなたの知らないもう一つのノーベル賞、イグノーベル賞の世界を覗いてみませんか?

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