1985年から来た人はいませんか!? ~映画バック・トゥ・ザ・フューチャーの未来に生きて~

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2015年10月21日午後4:29分になりました。

 本日のニュースで度々取り上げられていますが、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the Future)」で、主人公が1985年からタイムトラベルをする未来が2015年10月21日です。タイムマシンと聞いたとき、あなたはどんなものを思い浮かべますか?

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 この写真の車を思い浮かべた方は、きっと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のファンの方でしょう。これは映画に登場する、時速140キロに達するとタイムトラベルできる車デロリアンです。かっこいいですよね。

でも、多くの日本人が思い浮かべるタイムマシンは...

ドラえもんのタイムマシンではないでしょうか。

 日本で一番有名なタイムマシンはこれだと私は思います。ドラえもんは、のび太の子孫であるセワシが、自分の祖先の元に送り込んだ猫型ロボットです。のび太がつくった莫大な借金のせいで不幸な目に遭っているセワシの状況を変えるために、未来から現在に送り込まれました。ドラえもんによって毎日のび太が少しずつ成長することで、未来のセワシの生活が変わると考えられています。「のび太が変わりすぎると、セワシが生まれなくなるのでは?」、という疑問に対しては、違う乗り物にのっても同じ場所に到着できるように、経過はどうであれセワシは必ず生まれてくると説明されています。また、ドラえもんの世界では「航時法」という法律があって、歴史に重大な影響を及ぼす行為は禁止されており、タイムパトロールという職業の人が監視や見回りをしています。

 タイムマシンで過去へ行って、そこでの行動が現在を変える──日本人はドラえもんのおかげで、幼い頃からタイムマシン、タイムトラベル(時間旅行)という難しい考え方を理解し、そこに夢をはせることができるのでしょう。

 私が好きなタイムマシンは、ロバート・A・ハインラインの名作『夏への扉』に出てくるタイムマシンです。このタイムマシンは、移動する時間は決めることができるものも、過去と未来どちらに行けるか分かりません。同じ重さの物を用意して、片方を過去に、もう片方を未来に飛ばすというものだからです。例えば私がこのタイムマシンを使うことを考えるとしましょう。私の体重と同じ重さのものを用意して、装置を30年にセットします。そしてタイムマシンを動かすのですが、30年後の2045年に行けるか、30年前の1985年に行けるかは分かりません。実際使うことになったら相当の覚悟が必要ですが、それでも私は、この過去と未来のどっちに行けるか分からないところに魅力を感じます。

 このように、フィクションの世界では、さまざまなタイムマシンが考えられており、いかにタイムトラベルが世界中の人間の夢であるか、我々の心をくすぐってやまないかが分かります。

 2015年10月現在、残念なことに現実の世界ではタイムマシンは発明されていません。しかし、「時間」についての研究はされており、そのなかで「時間は伸び縮みする」といわれています。さらには、この性質を利用することで、未来に行くことはできるのではないかと考えられているのです。

時間は一般的に、平等に与えられると考えられています。テストの前日、好きな人とのデートの最中、負けているサッカー試合のアディッショナルタイムなど、時間がもっとゆっくり流れればいいのに!と思う機会は多く訪れますが、時間の流れを遅くできる人はいません。

 ところが、物理学は時間の流れが遅くなる環境の存在を示しました。環境によって時間の流れが変わるため、「時間は伸び縮みする」、といわれるようになったのです。その環境は2つあります。1つは、光の速さに近い速度で移動している環境。そしてもう1つは、重力の非常に強い環境です。これら二つの環境では、他の場所に比べて時間が遅くなることが示されています。時間がゆっくり流れる環境に身を置けば、未来へ行くことができる。これが現実的に考えられている、タイムトラベルの一つです。

 しかし、このタイムトラベルには最大の問題があります。私たちがイメージするタイムマシンとは異なり、わずかな時間で未来へ行くことができない問題です。例えば、地球ではないところで3年過ごして戻ってくると、100年経過している!という、タイムトラベルしかできません。他にも実現するには課題は山積みです。何より、タイムトラベルというからには、トラベル(旅行)なのですから、帰ってこないといけません。行ったきりであれば、それは移住であって、旅行にはなりません。未来に行ったら、過去である現在に戻らなければいけないのです。物理学では、何か過去に行くヒントを見いだしているのでしょうか。

 過去へ行くには、例えばワームホールという名の「時間と空間の異なった2つの場所が繋がったもの」をつくる必要があります。言葉を聞いただけでその難しさ感じて頂けた方も多いと思いますが、これは光速に近い早さで動くとか、ブラックホールのような重力の強い場所で過ごすということと同じように難しく、やっぱりそう簡単には実現はしそうにありません。しかし、このワームホール使うことができれば、未来へ出発したその時点に戻ってくることはできなくても、その少し後であれば戻ってくることは可能です。先程、地球でないところで3年過ごすことで、100年後の地球に行くという例を出しましたが、出発する際にワームホールをつくっておけば、100年後の地球を見た後に、出発直後とはいえないものも、例えば5年後くらいの地球に戻ることができると考えられています。

 また、タイムトラベルというと、未来だけでなく過去に行きたいと思うかも多いと思います。あのとき告白できなくて後悔したからやりなおしたい、亡くなったおばあちゃんに会いたい、恐竜を見たい、戦国時代の歴史の謎を解きたい...等々、行きたい時代と願いは無数にあるのではないでしょうか。しかしながら残念なことに、現在のタイムトラベルの理論では、タイムマシンができたとしても、タイムマシンをつくる前に戻ることはできません。そのため、今後タイムマシンが完成したとしても恐竜を見に行くことや、侍や忍者を見に戦国時代に行くことは残念ながら不可能だとされています。恐竜を見に行く唯一の方法は、恐竜がいた時代に既にタイムマシンを開発していた宇宙人のつくったタイムマシンを使うことです。タイムマシンをもっている宇宙人を見つけるのはタイムマシンをつくるより難しいかもしれません。

 タイムマシンができるか、そもそもタイムトラベルは可能かについて、今のところは非常に難しそうだということしか分かりません。しかし、真面目に未来へ行けないか?過去へ行けないか?を考えている研究者はいます。これは「時間」を考える事が、世の中の原理原則や法則を知ることに密接に繋がっているからです。

 タイムマシンができたとき、もしくはタイムマシンが絶対にできないと分かった時には、今のところよく分かっていない「時間」とは何かについて、多くの知識が得られていることでしょう。

 タイムマシンがいよいよ完成しそうになったら、映画バック・トゥ・ザ・フューチャーで度々起きたような、時間旅行の結果未来が変わってしまう危険性について、科学コミュニケーターは研究者と社会が対話する場をつくり、タイムマシンとどう向き合うかを真剣に考えなければなりません。でも、まだその段階ではないため、楽しくタイムマシンで夢をみていてよさそうです。

 最後に、文中で紹介させて頂いた『夏への扉』は、タイムマシンで夢を見るにはお勧めの本です。もし興味を持たれましたら、ぜひご一読下さい。

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この記事への2件のフィードバック

こんばんは!
タイムとラベルは因果関係を混乱させるため、私たちの宇宙では原理的にその実現は禁止されていると考えるのが合理的だと私は思っています。
もし、過去に戻ってやり直すことができるようになったら、今の世界の秩序すべてが崩壊してしまいます。だから、想像して楽しむだけにしておきましょうね。

> 吉田和人さま

コメントありがとうございます。
おっしゃるう通り、タイムトラベルは因果関係を混乱させますが、
起こりうる可能性の数だけ、パラレルワールドが存在数という考え方もあります。
果たしてどうなるのか、専門家の中でも意見が割れており分かりませんが、
とても気になりますね。

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