日本の「白兎(HAKUTO)」、月を目指す!

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みなさん、こんにちは!

「未来館でお月見!2015」を担当していました、浜口です。

「MOONS」と題し、太陽系にある惑星の「月(衛星)」を丸ごとご紹介した今年のお月見イベント、楽しんでいただけましたでしょうか。

9月27日、中秋の名月の夜は、昼間の曇り空が嘘のように晴れて、実に美しい月を眺めることができましたね。

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(写真: Geo-Cosmosと、中秋の名月の競演。谷明洋撮影。)

え??当日見逃してしまった?

お住まいの地域では残念ながら天気が悪かった?

...そんなあなたには、近々もう一度チャンスがあります。

中秋の名月に次いで一年で2番目に美しいとされる旧暦九月十三夜のお月見です。

今年は10月25日(日)!

さて、今回のブログは、旧暦九月十三夜の月にちなんで、月に関連する話題をお届けします。

題して「日本の『白兎(HAKUTO)』、月を目指す」!

民間のパワーを結集して月面探査に挑んでいる、チームHAKUTOのご紹介です。




もくじ


1.HAKUTOのミッションとは?


2.HAKUTOを支える力


3.HAKUTOが見据える未来


4.集まれHAKUTOファン!イベントのお知らせ



1.HAKUTOのミッションとは?

「『夢みたい』を現実に」。

HAKUTOは民間発の宇宙開発チームとして、「月面探査」という夢を現実に変えようといています。

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HAKUTOのミッションは大きく2つあります。

まず一つ目は、Google Lunar XPRIZEでの優勝。

Google Lunar XPRIZEとは、民間のチームが月面ロボット探査を競う国際賞金レースで、これに日本のチームとして、HAKUTOも参戦しているんです。

「2017年末までに探査ロボットを月へ送り、月面で500m移動させ、高解像度の動画や静止画像を送る」という課題をどのチームがいち早く達成するか、世界中から集まった全16チームが競っています。優勝賞金は2,000万ドル!日本円にして約24億円!!何ともスケールの大きなレースです。

強豪ひしめく参加チームの中でも、HAKUTOは優勝候補の一角を占める期待の星。なんと、月面環境を想定した様々な試験でHAKUTOの探査ロボットの性能が高く評価され、今年1月に中間賞を受賞したのです!

この受賞によって、賞金50万ドル(日本円で約6,000万円)を獲得したほか、HAKUTOの知名度も急上昇し、ますます活動の勢いが加速することとなりました。

二つ目のミッションは、世界初の月の縦孔探査を行うこと。これは、HAKUTOが独自に定めたミッションです。

「月の縦孔」とは、月の地表にあいた垂直な穴のことで、2009年に、月探査衛星「かぐや」の探査によって初めて発見されました。縦孔は、かつて月で火山活動が活発だった頃にできた、地下の大きな空洞へと続いていると考えられています。

この縦孔について調べれば、月の地形の成り立ちや過去の火山活動の様子を解明する大きな手がかりになるほか、もしかすると人類が月面に長期滞在する際の、基地を作る候補地になるかもしれないのです。

実際に月に向けてロケットを打ち上げるのは、2016年後半を予定しています。つまり、残り約1年...!民間チームだからこそのスピード感です。


2. HAKUTOを支える力

これだけ壮大な掲げているHAKUTOですが、国や宇宙航空研究開発機構(JAXA)に頼らず、本当に民間の力だけで実現可能なのでしょうか。

真っ先に気になるのは資金面。私は未来館で、H2Aロケットについて「打ち上げ費用は90億円くらいで、とってもお買い得です」というお話をすることがあります。90億円で「お買い得」と言われる宇宙開発の世界。仮に優勝して24億円もらえたとしても、全然足りないのでは?と疑問に思いますよね。

HAKUTOを資金面で支えているのは、株式会社IHIをはじめとするスポンサー企業と、HAKUTOを応援する人なら誰でも一口1,000円、もしくは10,000円から入会できる、サポーターズクラブの会員です。

http://team-hakuto.jp/support/

HAKUTOの知名度が増し、ファンが増えれば増えるほど、活動の資金が増えていくという仕組みです。

集めたお金は、節約して大切に使うことが重要!HAKUTOはコスト削減にも大胆に取り組んでいます

例えば、実際に月面へ送られ、探査を行うロボット(ローバー)は、通常は特注するような部品を、安くて入手が簡単な量産品で代用したり、3Dプリンターなど最新の技術を駆使したりして製作費用を抑えています。

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(写真:HAKUTOのローバー。左がMoonraker、右がTetris。2台のローバーが役割分担して探査を行う。)

さらに、打ち上げ時の費用についても、ローバー本体の軽量化や、Google Lunar XPRIZEのライバルチーム、Astrobotic Technology社と「ロケット&月着陸船相乗り」でローバーを月に送る計画により、大きく削減しようとしています。

こうした民間ならではの柔軟な発想により、宇宙開発を手の届く存在に変えているんです。

また、HAKUTOを運営面で支えているのが、「プロボノ」という、各自が持つ専門性や技能を活かして活動に参加しているボランティアメンバーです。

普段は企業にお勤めだったり、学生として勉学に励んでいるプロボノの皆さんですが、休日を利用してミーティングに参加したり、イベントなどでHAKUTOをより多くの人に知ってもらうための活動をしています。

子ども達にHAKUTOの活動をわかりやすく伝えるための提案、サポーターズクラブ会員の方によりよいサービスを提供するための提案など、ミーティングの議題は尽きることがありません。皆さん驚くほど積極的!その熱意に、ボランティアは空き時間に片手間でやるもの、なんていうぬるい考えは簡単に吹き飛ばされます。でも、あくまで無償のボランティアです。

プロボノとしてイベントの企画・制作にあたっている玉城さんは、プロボノの存在意義について、「完全に『中の人』でないプロボノの立場だからこそ、出会った人に『普通の人でも宇宙を目指せるんだ!』という親近感を持ってもらうことができる」と話します。

確かに、自分と何ら変りない日常生活を送っている人が、月面探査という壮大なミッションに挑むもう一つの顔を持ち、熱心にその活動を語る姿に、「HAKUTOを応援したい」「自分にも何か出来るはず」と心を動かされる人は少なくないはずです。

「イベントで出会うお客さんからの反響ひとつひとつが、大きな支えになる」と玉城さんはいいます。人と人とのつながりから価値を生み出し、その輪を広げていくことも、プロボノの大切な役割なのかもしれません。

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(写真キャプション:インタビューに答えてくれたHAKUTOのプロボノ玉城さん。話し上手な方ではない、と言いながらも、印象的な言葉をたくさん語ってくれた。)



3.HAKUTOが見据える未来

普通の人にとっては遠い存在だった宇宙開発を身近なものにすべく、多くの人を巻き込みながら活動を続けるHAKUTOですが、冒頭で紹介したミッションの先にどんな未来を描いているのでしょうか。

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(写真キャプション:iMEDIA BREAKTHROUGH SUMMIT 2015で未来館にいらしたときの袴田さん。)

HAKUTOのプロジェクト自体はミッションの終了とともに終わっていまいますが、

チームリーダーの袴田さんは、「最終的な目標は、人間が宇宙でも生活できる基盤を作ること」だと言います。

現在、地球の人口が増え続ける一方で、人が暮らせる土地や、利用できる資源には限りがあります。人類が今後も発展を続けていくためには、宇宙への移住について考えてみることも必要なのかもしれません。

月面探査は、その足がかりになります。縦孔に基地を作る可能性を模索し、人間が月で生活するために必要な資源の探索などを行うことで、地球の外へと人類が進出する未来が、ぐっと現実味を帯びてくるのです。

民間による宇宙開発は、現状ではまだスタンダードではありません。しかし、HAKUTOが礎を築くことで、それに刺激を受けた民間のチームが続々と現れるかもしれません。また、夢のように思われることを現実に変えるというHAKUTOの取り組みは、宇宙開発以外にも、困難な課題に取り組む多くの人たちに勇気と希望を与えることでしょう。



4.集まれHAKUTOファン!イベントのお知らせ

ここまで読んでいただいて、もっとHAKUTOについて知りたくなった、応援したくなったというあなたに朗報!

10月31日(土)に東京・六本木で、HAKUTOファンのためのスペシャルなイベント、「HAKUTO FAN MEETING 2015 AUTUMN」が行われます。

http://hfm201510.peatix.com/

当日は、HAKUTOの活動紹介だけでなく、Google Lunar XPRIZEに参加している全チームの活動紹介や、同じロケットで月を目指すライバルでも同志でもあるAstrobotic Technoloy社とHAKUTOのリーダー対談、アメリカにあるAstrobotic社の月面探査ローバーを日本から遠隔操作する体験など、HAKUTOをもっと身近に感じ、民間による宇宙開発の最前線にも触れることのできる、ファン必見の企画が目白押し!

定員は70名とのことなので、参加希望の方はお早めにお申し込みを。



打ち上げが近づくにつれ、HAKUTOの活動はこれからますます盛り上がっていくことでしょう。

「一緒に、月をめざしましょう!」とは袴田さんの言葉。

強力なライバルチームと切磋琢磨しながらミッションの成功を目指すHAKUTOの挑戦を、みなさんもぜひ応援してください。

十三夜の月は、満月ではないけれども、もうすぐ満月になる月です。

そのため、十三夜の月に願い事をすると必ずかなうという言い伝えもあるそうです。

十三夜の月に、私はHAKUTOの成功をお願いしようと思います

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この記事への2件のフィードバック

質問です!
宇宙開発は国が主導して行ってはいますが、ロケットも衛星もローバーも、技術開発は民間企業が担っています。だから資金面を除けば、民間の技術でできるのはあたりまえなのではないでしょうか?何がチャレンジングなことなのでしょう?

>吉田和人様
こんにちは。コメントありがとうございます。
仰るとおり、ロケット、衛星、ローバーなど、実際には民間の企業が制作などを請け負っている場合が多く、
技術的には、民間の力だけで月面に探査機を送る、というのも十分可能でしょう。
しかし、(その気になれば)可能、というのと、実際にやってみる、というのでは大きな差があるように思います。
国やJAXAの力を借りずに、自分たちだけで宇宙開発を行うということは、必要な資金を集めたり、先端的な技術やノウハウを持つ企業・大学の研究室と連携したり、技術面以外にも、たくさんの課題をクリアしていくことが必要です。
経営的な側面も含めたプロジェクト全体としてチャレンジングな取り組みであると言えるかと思います。

また、このHAKUTOのミッションが成功すれば、日本初の月面探査、世界初の月の縦孔探査となります。
国やJAXAが未だ実現していなかったことを、日本のいちベンチャー企業が先に実現するというのはかなりすごいことなんじゃないか・・・、と個人的には思うのですが、いかがでしょうか。

なお、JAXAが主導して行う無人月面探査計画では、2018年度の探査機打ち上げを目指しているとのことです。
もう少し早くに出来たんじゃないか・・・とも思われるかもしれませんが、やはり予算不足でここまで延びてしまったよう。
宇宙開発を考える上で、お金の問題って本当に大きなものですね。

というわけで、上記でお答えになりましたでしょうか。
今後とも未来館ブログをよろしくお願いします。

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