もう「想定外」と言わないために-5年前の教訓から  
  ~3月6日、トークイベント開催

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起こり得るすべての可能性を、できる限り、まず、想定する-。

 あまりに大きな代償を払い、5年前に私たちが得た教訓のひとつです。



20160229_tani01.jpg福島第一原子力発電所1号機の水素爆発の様子(提供:福島中央テレビ・NNN)


その教訓をいま一度、見つめ直すために。

日本科学未来館は3月6日(日)、サイエンティスト・トーク「未知の災害ダメージを『想定外』と言わないために」を開催します。


講師は、4月に公開する新展示「100億人でサバイバル」の監修者でもある岸本充生氏(東京大学公共政策大学院 政策ビジョン研究センター 特任教授)。グループワークや、制作途中の展示の紹介も予定しています。

私たちがこれから、自然災害をはじめとする脅威とどう向き合っていけば良いのか、一緒に考えてみませんか。(事前申し込みは不要です)。



さて、では、「想定する」とはどういうことでしょうか。


2011年3月の東日本大震災の教訓を、いま一度振り返りましょう。



【5年前の教訓】

福島第一原子力発電所事故が発生に至った理由として、「原子力発電所に対する津波の影響が、地震の影響に比べると、十分に想定されていなかった、あるいは、想定されても充分に対策されていなかった」ことが指摘されています。炉心を冷却するために必要だった非常用電源が、津波による浸水で起動しませんでした。

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(左は提供:東北地方整備局、右はMaksym Yemelyanov(c)123RF.COM)


さらに、「それでも何らかの理由で事故が起こってしまったら」という想定も、不十分だったと考えられています。「地震で揺れたら」「津波が来たら」という想定は、事故を防ぐため。それに加え、有事の際に迅速な対応を取るための想定が必要だったのです。



また、3月11日の地震発生直後。沿岸部では、「自動車による津波避難が渋滞を招き、逃げ遅れによる被害を拡大させた」ことが分かっています。

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(左は提供:東北地方整備局、右はイメージ写真)


津波自体は、歴史的には何度も経験がある自然現象。

ですが、「津波」に「原子力発電所」や「車社会」という現代の社会システムが掛け合わさることで、未経験の被害が発生しました。



【いま、考えたいこと】

可能な限りの想定をして、それに真摯に向き合う-。

 それが、3.11を経験した日本社会の使命ではないでしょうか。


岸本先生の専門は、リスク評価。災害や環境、健康などに関わるリスクや問題を、社会や個人が合理的に減らしていく手法を研究しています。

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岸本充生先生


科学技術の発展により情報通信や交通手段、物流などが複雑化する現代や未来の社会。どんな災害や自然現象が、どんな被害や混乱を招く可能性があるのか? そして、あまりに多種多様な可能性に対し、誰が何を考え、どう行動すれば良いのか? ともに考え、学び合うイベントにしていきます。


イベントの最後には、4月20日に公開する新展示「100億人でサバイバル」の制作途中の様子もご覧いただきます。さまざまな自然現象、災害が起こる仕組みや、それが社会システムと掛け合わさった時の被害を理解するための新展示。監修した岸本先生や、企画開発担当スタッフが、展示に込めた思いを語ります。

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新展示「100億人でサバイバル」(完成イメージ図)


未来館が新展示とこのイベントに込めた、「21世紀の地球に暮らす私たちが、どのように自然災害や事故などと向き合っていけば良いのか。考え、語り合う場をつくりたい」という思いが、多くの人に届くことを願っています。

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<参考サイト>

福島第一原子力発電所事故の経過と教訓(東京電力)
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/index-j.html

実用発電用原子炉及び核燃料施設等に係る新規制基準について(原子力規制委員会ホームページ)
http://www.nsr.go.jp/data/000070101.pdf

朝日新聞デジタル「避難渋滞、津波被害を拡大 促しても車降りる人少数」(2011年4月1日)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104010283.html


<イベント概要>
タイトル:常設展リニューアルオープン・プレイベント サイエンティスト・トーク
   「未知の災害ダメージを『想定外』と言わないために」
講師:岸本充生氏(きしもと・あつお:東京大学 公共政策大学院 特任教授)
企画、ファシリテーション:谷明洋(科学コミュニケーター)
日時:2016年3月6日(日)14:30~16:30
場所:日本科学未来館 3階実験工房および5階「100億人でサバイバル(制作中)」
対象:どなたでも参加できますが、内容は中学生以上向けです。
定員:40名
参加費:入館料のみ
参加方法:直接会場にお越しください
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1602081819356.html


<関連イベント>

「Lesson#3.11 5年前、そして5年間に起きたこと」(3月5~28日)
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1602151919376.html

「常設展リニューアルオープン・プレイベント」
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1602071819357.html


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