未来の動物園・水族館③~動物園について科学コミュニケーションを実践してみる~

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みなさん、こんにちは!

科学コミュニケーターのぶっちーです!

今日は、シリーズブログ「未来の動物園・水族館」の第3回目です。1回目と2回目は下記からどうぞ。

未来の動物園・水族館①~イルカ問題って何?~

未来の動物園・水族館②~動物園や水族館の役割をみんなで考える~

前回のブログは反響が大きく、一般の方はもちろん、動物園水族館関係者からは現場の飼育員さんだけでなく、管理職・園長さんからもご意見をいただきました。また、動物園でのビジネス展開を考えている某企業さんからも質問や意見をいただきました。みなさま本当に、ありがとうございました。

さて、3回目の今回は科学コミュニケーションの実践です!本年度の秋から年末年始にかけて、実際に対面で動物園の未来について科学コミュニケーションをしながら、動物園に関するアンケートを取ってみました!

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おかげさまでアンケートは150枚以上も集まりました!!アンケート解析はまだ終わっていないのですが、対話の中で2つのことに気がつきました。

【年齢による違い】

小学校低学年くらいまでは、動物に対して「かわいい」「かっこいい」「こわい」「気持ち悪い」といった感情的なイメージがほとんどです。ところが、それ以上の年齢になってくると、「この動物はなぜこんな姿をしているの?」「野生ではどこにすんでいるの?」といった質問を私に投げかける子どもが多かったです。つまり、年齢とともに、動物の外見以外にも興味関心が向くようです。動物園の動物を通して、その向こう側にある自然の姿を探ろうという気持ちが、小学校中学年くらいから早くも散見されはじめることに驚きました。

【大人の罪悪感】

では、大人はどうだったかというと、罪悪感を抱えながらも自分が動物を見たい・子どもに動物を見せたい欲求を満たしているという方が何人もいました。

「動物園は必要か?」と問いかけると、

「手軽に気軽に、自宅の近場で野生動物を見られる動物園はあった方がいい。でも、野生動物のおかれている状況を考えると、自然界から引き離して閉じ込めることはどうなんだろうと感じる自己矛盾がある」

という回答。

私自身、上野動物園で飼育展示係をしていてたくさんの来園者と接したり、対話したりしていましたが、そのときには上記2つのことに気づいていませんでした。

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↑子連れのお父さん。動物園はご自身が子どものころ行ったきりだったけど、お子さんが産まれてからまた行くように。大人になって行かなくなったわけは、上述したように野生動物の現状を知り動物園に罪悪感を覚えるようになったから。動物園がもっと保全活動を行って、積極的にそれを広報すれば罪悪感はなくなるのだろうか?と思いました。

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↑子どもたちも真剣に対話にしてくれ、アンケートも一生懸命回答。「野生に生きる野生動物」と「動物園動物」「飼育されている野生動物」の違いを、感じ取っている子どもたちがとっても多かったです。そんな子どもたちと対話することで、ぼく自身、違った角度、イメージで動物園を捉えることができるようになりました。

実際に、展開したアンケート内容はこちらです!

1.動物園・水族館にはどのくらいの頻度で行っていますか?
a.年に5回以上  b. 年に2~3回  c. 年に1回程度  d. 2~3年に1回  e. めったに行かない

2.誰と一緒に行きますか?
a.家族と b. 友人と c.恋人と c. 学校行事で d. その他(自由記入)

3.動物園・水族館に行く目的は何ですか?(複数回答可)
a.癒やされるから  b. 動物とふれあえるから c.本物を見たいから d. 動物が好きだから e. 動物の生態を知りたいから  f. その他(自由記入)

4.あなたは動物園・水族館に行って、学べることはありますか?あるとしたら何を学べますか?
a. ある : 学べること( 自由記入 )  b. ない

5.水族館にイルカショーは必要だと思いますか?その理由は何ですか?
a.必要 b. 必要ない  その理由:(   )

6.水族館用として、漁で捕獲したイルカを利用することについてどう思いますか?
a. 賛成  b. 反対  c.よくわからない その理由:(    )

7.イルカに限らず、野生動物を捕獲して展示することについてどう思いますか?
(     )

8.動物園・水族館で人気動物(イルカ、ゾウ、キリンなど)が見られなくなっても、動物園に行きますか?
a. 行く  b. 行かない  その理由:(     )

9.そもそも、動物園や水族館は必要だと思いますか?
a.必要 b. 必要ない  その理由:(   )

10.人間はどんな動物でも飼ってもいいと思いますか?可能な範囲で、具体的にその基準について記述してください。(例:ほ乳類・鳥類などの種類、体の大きさ、知能、絶滅危惧種ではない、など)
(     )

11.どんな動物園・水族館があればよいと思いますか?
(   )

12.あなたの年齢を教えてください。(10歳未満、10代、20代など)
13.あなたの性別を教えてください。

150枚のアンケートを詳しく解析すれば、対話の感触以上のもっと確かな発見があるはず!!

...ですが、私は本年度(2015年度)いっぱいで未来館を卒業になりました。アンケートの解析結果は、論文という形で発表できればと考えています。

2016年4月からは、京都大学 野生動物研究センターの特定助教として、京都大学が創設に関わり、同大学の霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院の実践の場でもある日本モンキーセンターで働きます。野生動物学の研究成果を、日本モンキーセンターという動物園で科学コミュニケーションします。

「いままでにない動物園を創りたい」「科学コミュニケーターのいる動物園を創りたい」という夢を叶えることができそうです。

これも、みなさまのコメントや応援で3年間の間にたくさんの動物ブログを書き続けることができたからこそだと思います。今までどうもありがとうございました。

【謝辞】

アンケートを行うにあたり、帝京科学大学 動物園動物学研究室 並木美砂子教授東海大学 博物館学研究室 江水是仁講師にはたくさんのご助言・ご指導いただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

また、アンケート調査におきまして、下記の日本科学未来館ボランティアのみなさんにご協力いただきました。ありがとうございました。

安斉秀行さん、河村京子さん、小林弘佳さん、宅野喜仁さん、山口政紀さん (50音順)

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この記事への4件のフィードバック

ぶっちー!がんばれ~~!
本当の動物を間近に来園者と研究成果を科学コミュニケーションできるなんて素晴らしいじゃないですか。いよいよ「可愛い~!」だけじゃない未来の動物園の第一歩ですね。応援しています!!

大渕さん、あらたなzooの創生に、ぜひご活躍ください。

気になったのは、「野生から連れてくる」という点。そういう印象がまだまだ強いということですね。動物園で何世代も繁殖し、野生復帰をめざすためのポピュレーションを保持していく、という現在取り組んでいることを、もっと知ってもらう必要がありますね。

動物を子どもたちが見に行きたがる、見て触れて喜ぶというのは、当たり前のように思うけれど、実はとても深遠な問題を含んでいる事象だと思います。

生き物たちのために何ができるか、それを動物園は知らせていくべきなのでしょうね。子どもたちの感性によりそいながら。

アンケート、とても興味深く拝見しました。


Yutakaさま

いつもコメントありがとうございます!未来の動物園を考える、創る場へ行けることが、自分でもまだ信じられないのですが、精一杯つとめたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

並木先生

コメントありがとうございます。今回も多大なるご助言をいただき、とても助かりました。重ねてありがとうございます。

おっしゃる通り、対話を通じて、動物園で働いている方が抱いている動物園像(現状、理想含め)と一般の方が動物園に対してもっているイメージがずいぶんかけ離れていることを再確認いたしました。また、動物園が保全活動などを謡っていることを知っている方もそれなりにおられましたが、同時にまだまだ成果が得られていないというイメージも持っているようでした(脱走や死亡、パンダ繁殖ならずといったネガティブなニュースの方が数多く報道されるor人々の記憶に残りやすいからでしょうか?)。

ご指摘の通り、動物園の取り組みをもっと知ってもらうことが重要かと思いました。今後ともご助力のほど、よろしくお願い致します。

【追伸】並木先生はじめ動物園人が行っている、業界向けの勉強会に、現場の飼育係だけでなく、議員や役所の管理職クラス、つまり動物園の方向性を決める方々がもっと来るようになるといいなと思っております。がんばりたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

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