熊本に行くべきか迷う私が、ボランティア・物資支援について聞いてきました

編集管理人による注:この記事は4月19日昼間の情報をもとにしています。ボランティアの受け入れを含め、現地の状況は時々刻々と変化しています。支援などをお考えの方は地元自治体のサイトなどで、最新の情報をご確認ください。


こんにちは、志水です。

4月16日未明の本震では、熊本市内の実家でもタンスが倒れるなど被害が出ましたが、両親は幸いにも無事でした。

熊本の友人から届く「物資がほしい」という願いに何もすることができず、歯がゆさも感じています。個人で熊本での支援に動く方も出始める一方で、今自分が行くことは邪魔になるのではないのかという思いもあり...。

「熊本のために役に立ちたい!」と思う私たちは、どのような支援をすればよいのでしょうか。迷う気持ちを抱えながら、私は、災害支援を行う社会福祉協議会の窓口にて職員の方にお話を伺ってきました。


わかったこと

・どんなボランティア支援が求められるのか
 →今すぐ熊本に行くことはリスクになる。必要とされるときは数週間先でもある。

・どんな物資支援が求められるのか
 →モノを運ぶのにも人手がいる。お金の援助がありがたい。


東京の自宅近くにある大田区社会福祉センターに伺いました

社会福祉協議会は「民間の社会福祉活動を推進することを目的とした、営利を目的としない民間組織」です。熊本地震のような災害時のボランティア活動も支援しています。

熊本への支援を考えている方は、まずは全国社会福祉協議会(全社協)のHPをご覧になるといいでしょう。


全社協 被災地支援・災害ボランティア情報
https://www.saigaivc.com/(リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)

全社協などで構成する災害支援ネットワーク組織のまとめサイト
https://shienp.net/(リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)


4月18日(月)、私は自宅近くの大田区社会福祉協議会 ボランティア・区民活動センターに伺いました。今後災害ボランティア活動を行うために必要な保険に加入するためです。そこで職員の方にお話を伺うことができました。

・どんなボランティア支援が求められるのか

まず職員の方から告げられたのは、「人が多く集まるということ自体が一番のリスク」ということです。熊本では19日(火)現在も余震が続いています。また、16日未明に本震があったように、また大きな地震が起こる可能性も否定できません。そのような場所に熊本県内外から人が集まることにより、二次災害が発生する可能性があるということをまず認識してほしい、というのです。「ボランティアに行くということは、自分も被災者になる可能性がある」ということを私たちは念頭に置かなければいけません。

「そのリスクを分かった上で、なんとか助けたい...」と思いもあります。そのとき私たちが次に考えなければならないことは、自分の生活基盤を確保できるかということです。宿泊場所や食糧、水などが必要です。19日(火)現在、県外の方のために十分な体制は整っていません。ボランティアが行くことでかえって地元に負担をかけてしまうおそれもあります。

(かつて熊本に住んでいたなどの縁があって、それでも「個人で活動したい」という方は、現地に入る前に、必要な物資や寝る場所を個人で確保することを強くおすすめします。東日本大震災のときは、テントを持ち込んだり地元のお寺に交渉したりした方もいたそうですが、寝る場所を確保できる保証はありません。車での寝泊まりをお考えの方もいるかと思いますが、当分は現地では燃料確保も困難ですし、ガソリンも不足します。この点からも車での支援はお控えください。)

19日現在、熊本の社会福祉協議会はボランティアを受け入れていません(※)。その理由として、そうしたインフラが整っていないことに加え、県内の情報把握が十分にできていないことが挙げられます。どこでどのような被害が出て、どんな支援が必要とされているのか。さらに、建物や道路の破損状況や続く余震の影響など、安全の確認もまだ十分とはいえません。ボランティア受け入れ開始までには、しばらく時間がかかる見込みです。地震等が落ち着き安全の確認ができる時期になると避難所から戻る人も出てきて、家屋の片付け依頼の要請が来るそうです。
※「親族などがいらっしゃる方は被災者関係者なので、ご自身の判断で現地に向かうことは差し支えありません」ということでした。

熊本に実家がある私は、宿泊場所は確保できます。まずは、実家や友人宅の片付けをどのタイミングで始められるか、情報を見極めることにしました。「ごちゃごちゃ言う前にまず動こうよ」と言われるかもしれないとの迷いもありながら、地震の二次災害被災者にならないために地震の情報をチェックしています。ボランティア活動はその後のボランティアセンターの動きに合わせることにしました。

・どんな物資支援が求められるのか
熊本にいる友人からは「場所によっては、本当に何もない場所もあれば、余っている場所もある」と連絡を受けました。

では、今、熊本県外からどのような物資支援ができるのでしょうか?

大田区社会福祉協議会の職員の方がおっしゃっていたのは、現状(4月18日現在)では「義援金・支援金がありがたい。モノは人手と保管場所が必要になる」ということです。
(ちなみに義援金と支援金の違いは日本財団のHPに詳しく載っています)
https://www.nippon-foundation.or.jp/what/spotlight/tohoku_earthquake/infographics/(リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)

その方は、東日本大震災の際、福島県相馬市の支援を行っていました。印象的だったのは、全国各地から送られてくる大量の物資が体育館を埋め尽くし、新たな保管場所が必要となったこと。せっかく送っていただいた物資も、配送ができなければ使うことはできません。「人」が十分に確保できない緊急時では、モノだけ送っても役に立たないことがあるそうなのです。

また、物資を送っている間に、現地のニーズが変化し不要になるということは十分考えられることです。

それよりは、保管場所が不要で、何にでも交換できるお金がありがたい、ということでした。お金であれば、熊本近辺で物資に変えることができます。また、お金は、たとえすぐには熊本での支援に使えなくても、長く支援が必要となる復興には役立てられるものです。

私も個人レベルでできることとして、義援金・支援金を送ることにしました。
(義援金・支援金をかたった詐欺も考えられるので、寄付をする際には、信頼できる機関を選ぶことを強くおすすめします)


「平成28年熊本地震」による災害ボランティア情報・義援金・支援金情報

https://www.tvac.or.jp/news/37869.html(リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)

日本赤十字社 平成28年熊本地震災害義援金
http://www.jrc.or.jp/contribute/help/28/(リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)

熊本県 平成28年熊本地震義援金の募集について
https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_15416.html(リンクは削除されました。また、URLは無効な場合があります。)


熊本に住む父と電話で話したとき、父は「こちらは大丈夫だから、まずは自分の心配をしろ」と言っていました。熊本は大変な状況にありますが、少しずつ、でも着実に平穏を取り戻そうとしています。私は、「熊本を助けたい」という情動的な思いと向き合いながら、なすべきことを冷静に考えようとしています。

「防災・リスク」の記事一覧