【祝・速報】2016年ノーベル生理学・医学賞は大隅良典先生!

このエントリーをはてなブックマークに追加

皆さま、お待たせいたしました。
今年2016年のノーベル生理学・医学賞は東京工業大学の大隅良典先生です!

大隅先生、東工大の皆さま、おめでとうございます。

受賞の理由は、細胞の中で不要になったものをごそっとバルクで処理する仕組み「オートファジー」の解明です。

昨年、志水が受賞者として予想していました。

研究の詳細はこちらのブログをご覧ください。
http://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/201509192015-3.html

細胞の中で「ゴミ」を処分する仕組みとしては、今回のオートファジーのほかに、「ユビキチン・プロテアソーム系」というのがあります。2004年にやはりノーベル賞を受賞しました。

ユビキチン・プロテアソームでは、不要になったタンパク質に「不要」というタグをつけ、それが専門の分解処理機構に運ばれ、そこで分解されます。タグがユビキチン、分解処理機構がプロテアソームです。

ユビキチン・プロテアソーム系は、1個1個をていねいに捨てる仕組みに対して、今回のオートファジーは、「机の上にある物すべて」「タンスごと」のようなイメージです。

オートファジーでは、細胞の中にある「膜系」が大きくかかわります。ばさっと大きな袋で包み、その中に分解酵素を流して処理します。

ユビキチン・プロテアソーム系の研究が大いに注目を集めたときも、大隅先生は地道にオートファジーの研究を続けてこられました。

膜系は2013年にJames E. Rothman博士Randy W. Schekman博士 Thomas C. Südhof博士が「細胞内膜輸送」で受賞なさっていました。この研究は、「まだとっていなかったの?」と言われるくらい、有名で重要な研究でした。この受賞のとき、このタイミングでこの研究が受賞するといことは、「オートファジー」がいずれとるかも?という話が出ていました。まさにその通りになりましたね。

2013年のノーベル生理学・医学賞の解説記事は
http://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/20131007post-416.html

大隅先生の研究は酵母の細胞で行われました。酵母で見つかったオートファジーにかかわる遺伝子やタンパク質は、動物の細胞や植物の細胞にもありました。これは、それだけ生命にとって重要で、基本的な性質だったということを示しています。哺乳類の細胞でのオートファジーについては、お弟子さんになる東京大学の水島昇先生や大阪大学の吉森保先生が世界を牽引しています。

20時から東工大で行われた記者会見で、大隅先生は「研究を始めたとき、がんの治療につながるとか、そういうことを考えていたわけではない」と基礎研究の大切さを強調し、先達や研究室の仲間を称えていらっしゃいました。

大隅先生の会見での言葉から

競争があまり好きでなく、みんながやっていて誰が一番乗りになるのかを争うような研究よりも、だれもやっていないようなことをしたかった。これが、ある種、科学の醍醐味、本質と言えるだろう

始めるときには、どこにつながっていくのかがわからない。それがサイエンスの楽しみでもある。サイエンスでは、「何の役に立つか」をすぐには答えるのが難しいことがよくある

この病気がオートファジーと関係していると言うのは難しい。しかし、タンパクの合成が重要なことは間違いないように、タンパクの分解だって重要であることは間違いないだろう

タンパク質の分解量を定量的に測定するのは難しく、動物細胞ではまだできていない。まだ、酵母で研究することが良いことはあるだろう。オートファジーの研究ですべきことはまだいっぱいある

若い人には、自分が本当に何をしたいのかを大事にしてほしい。私の場合、自分が顕微鏡で見た現象を知りたいと思い、今も顕微鏡でそれを毎日のように見ていることが、研究のモチベーションを保てた理由だろう

遭難して絶食しているときも、身体の中でタンパク質の合成が止まっているわけではない。つくっては壊し、その壊したものを使って、またつくる。このリサイクルの仕組みが生命を支えている

オートファジーの役目は「栄養源のリサイクル」、そして「細胞内を常にクリーンに保つ」ためのクオリティコントロール

私は「役に立つ」という言葉が、社会をとても悪くしていると考えている。「役に立つ」とは数年後に起業できるくらいの意味に使われているが、サイエンスは本来はもっと長い時間をかけるもの。科学を文化として見守ってくれる社会であってほしい

※コメントをする際は「ブログへのコメント投稿について」をご覧ください

※「名前」は、ハンドルネームでも構いません

コメントを残す