ニホニウム(Nh)周期表に!未来館でイベント開催!

このエントリーをはてなブックマークに追加

みなさん!

公表されたばかりの最新の周期表をご存知でしょうか?

国際純正・応用化学連合(IUPAC:化学の国際学会のひとつで、元素や化合物の名前を決めている組織)が公開した周期表です。(下のURL)

ついに 日本で初めて、アジアで初めて、新たに発見した元素が正式に周期表に載りました!

その名は ニホニウム (Nh)                  

20161130IUPAC_Periodic_Table-28Nov16s.jpg
https://www.iupac.org/cms/wp-content/uploads/2015/07/IUPAC_Periodic_Table-28Nov16.jpg より

発見・命名したのは、理化学研究所仁科加速器研究センターの森田浩介グループディレクターを中心とする研究グループ(森田グループ)です。

この日を待ち望んでいた方々もたくさんいたのではないでしょうか!

学校の教科書にもこれからこの「ニホニウム」の名前が載っていくはずです。

そして、未来館ではニホニウムに関するトークイベントを12月3日(土)に実施します。トークテーマは『新元素「ニホニウム」発見の意味するもの』
周期表にニホニウムが載ることは一体どのような意味を持つのでしょうか。

そもそもニホニウムはどのように発見されたのでしょうか。
その経緯や実験方法についてはこちらの記事をご覧ください。
 【祝!のはずでした...】113番目の元素 命名権を日本の理化学研究所が獲得!?

簡単に振り返ると、2003年に森田グループが新元素の合成実験を始め、9年をかけて113番元素を3個合成したのでした。そして、この実験成果が認められ、2015年末にIUPACから、発見した新元素の命名権が森田グループに与えられました。
さて、日本初、さらにはアジア初の記念すべきこの新元素、果たして名前をどうするか・・・
周期表は世界共通、子どもから研究者まで誰もが目にし基準となるものなので、そこに載せる名前もふさわしいものでないとなりません。元素命名の条件についてはこちらの記事をご覧ください。
【今度こそ!祝!】113番目の元素 命名権を日本の理化学研究所が獲得!

そして、森田グループが出した案は「ニホニウム(元素記号:Nh)」だったのです。
この新元素名の案は6月8日に世界で公表され、それから5ヶ月間、「ニホニウムはふさわしい名前か?」と、世界中の方々の意見を募るパブリックレビューの期間でした。言語によっては、教科書に載せるのにふさわしくない言葉と同じ発音だったりするかもしれません。よく知られた商品と同じ名前だったりするかも知れません。そうしたことがないように、世界中から意見を求めるのです。そして、11月8日、そのパブリックレビューが終了

その後、IUPACでさらなる審議を経て、正式にニホニウムはふさわしいと決まったのが11月28日だったのです。そして、11月28日にできあがった最新の周期表が冒頭の周期表でした。

下は、理研の公開している周期表ですが、今回、正式決定した4つの新元素がどこに入るのかをわかりやすく追記してみました(旧周期表に手を加えたもの)

19871005_munakata_03.jpg

画像:RIKEN Nishina Center by N. Miyauchiより作成


今回正式に周期表に載った元素はニホニウムだけではありません。ロシアとアメリカの合同チームが新たに発見した3つの元素も次のように名付けられました。

115番元素  Moscovium  (読み方:モスコビウム)  (元素記号:Mc)
117番元素  Tennessine  (読み方:テネシン)   (元素記号:Ts)
118番元素  Oganesson  (読み方:オガネソン)   (元素記号:Og)
*カタカタ表記は、日本化学会が6月13日に公表したものです。


ところで、113番元素を発見し、その名前がニホニウムに決まったことに、いったいどんな意味があるのでしょうか。
いくつか考えてみます。

①日本の化学者の悲願達成!
新たな元素を探し出すというのは、化学者にとってのビッグチャレンジ。日本人では、100年以上も前に、小川正孝や仁科芳雄などがこのビッグチャレンジに挑み、非常に惜しいところまで迫ったものの命名には至りませんでした。そんな中、ようやく悲願を達成し命名に至ったのがこのニホニウム。日本の基礎科学力の高さを象徴的に証明し、後世まで周期表の中で輝き続ける席をついにゲットしたのです。

②原子核の謎に一歩せまる!
私たち人間も含め、万物のもとになっている原子。その原子核にはまだ謎が多く、重さ、大きさ、結びつき方、寿命、安定性、そしてどのようにして生まれたのかなど十分にわからないこともあります。現在、元素は118種類見つかっていますが、それは原子核に含まれる陽子の数で決まります。しかし、陽子の数は同じでも中性子の数が異なる原子核もたくさんあり、原子核の種類は約3000種が知られています。これらは「核図表」というチャートにまとめられていますが、理論的にはおよそ1万種類あるとも考えられています。今回合成した113番元素の原子核は陽子を113個、中性子を165個もつものでした。これは、原子核の新たな姿をひとつ確認したことになります。今後さらに詳しい解析ができれば、原子核のなぞに一歩せまれるはずです。

③私たちの世界がひろがる!
「深海にはどんな生き物がいるの?」「人間って何?」「宇宙はどうやって生まれたの?」・・・
まだ知らない世界に思いを馳せるのは、知性をもった人間だからこそ。「知らない世界を知りたい」という気持ちを持ったことがある人も多いはず。世界の構成要素である元素をさぐり、周期表をひとつずつ埋めていく作業は、知らない世界の地図を描いていくように、まさに世界を探る作業とも考えられます。私たちが抱く世界観が少しずつ変わり、また新たな世界がひろがっていくのかもしれません。

いかがでしょうか。
ニホニウムの発見には、原子核の研究には、「役に立つか、立たないか」だけでは語れない意味が隠れているのかもしれません。
皆さんはどう思うのでしょうか。研究者はどう思うのでしょうか。
せっかくのこのおめでたい出来事を、そのうらに潜む意味まで考えてみたいのです。
そこで、皆さんにイベントのご案内です!

--------------------------------------------------------------------------------------------
サイエンティストトーク『新元素「ニホニウム」発見の意味するもの』

日時:2016年12月3日(土)14:30~15:30

講師:加治大哉 氏(理化学研究所仁科加速器研究センター 研究員)

場所:日本科学未来館 3階 実験工房

参加費:入館料のみ

申し込み方法:直接会場までお越し下さい。

詳細はこちらからどうぞ
http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1611111020837.html

19871005_munakata_04.jpg

加治大哉 氏

--------------------------------------------------------------------------------------------
今回の新元素合成研究に準備段階から携わっている、加治大哉研究員をお招きして、ニホニウム発見についてお話を伺うトークイベントを開催します。
新元素を発見する実験とはどのようなものなのか・・・
加治先生はニホニウム発見にどのような意味を考えているのか・・・
このイベントを通して、人類がまだ見ぬ元素をつくることの意味について皆さんも考えて見ませんか。

※コメントをする際は「ブログへのコメント投稿について」をご覧ください

※「名前」は、ハンドルネームでも構いません

この記事への2件のフィードバック

やった====!
周期表にUutではなく、「ニホニウム(Nh)」が未来永劫残るわけですね!!
これはすごいことです。今まで理科の教科書の裏表紙にひっそりと目立たずに載っていた周期表。しかも下の方の元素なんて見向きもされなかったのに...
来年からは学校の理科の時間に「これは日本の科学者が発見(作った)元素で、日本の名前が入っているのですよ」なんて説明がされることになるのでしょうね。
そこから科学大好き少年・少女が次々と育っていくことを期待したいです。
もちろん、科学研究ができるインフラ整備もね。

3日のサイエンストークはすごいことになりそう!

Yutaka様

先日はご来館いただきありがとうございました。
こちらへのお返事がすっかり遅くなってしまいました。
すみません・・・。

この春に配られている教科書には「Nh」の文字が記載されているものがあるそうです。加治先生もイベントの中で嬉しそうにおっしゃっていましたが、「よしっ!!」って気持ちになりますね。

今度はアメリカと協力して119番、120番ですね。
ロシアやドイツもつくろうとしていますし、次はどこの国が見つけてどんな名前になるのか楽しみです。
世界が協力して原子核の世界を少しずつさぐっていくことの素晴らしさを感じながらも、やはり日本の命名権獲得を期待してしまいます。

またお話聞かせて下さい。ご来館お待ちしています。

コメントを残す