アメリカで皆既日食を見てきました!

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日のブログ でも紹介しましたが、8月21日(現地時間)、アメリカで皆既日食を見てきました!
Once in a lifetime(一生に一度)」とテレビのニュースでも新聞でもずっとこの話題、日食グラスは売り切れ、学校も当日午後は休みになるなど現地は大変な盛り上がりようでした。皆既日食が見られる幅115 kmの限られたゾーンに人が殺到するかもしれず、「史上最悪の交通混乱か?!」とも事前に言われました。しかし結果的には、心配していた天気も交通渋滞も問題なく、しっかり見ることができました。まずは当日の様子からお伝えします。


私が行ったのはテネシー州のレバノンという町(下の図の★地点)です。月の影の中心が通る線(赤い線)に近いほど皆既日食の時間が長くなるので、なるべくその近くを目指しました。170828_oguma_01.jpg

Image Credit : NASA's Scientific Visualization Studio


11時59分、第一接触。太陽が右上から欠け始めます。(以下の写真は筆者・筆者夫撮影。皆既日食時以外は日食グラスを通して撮影しました。)170828_oguma_02.jpg

右側からゆっくりと欠けていきます。半分欠けました。170828_oguma_03.jpg

ほとんど欠けました。もう間もなく皆既日食!170828_oguma_04.jpg

このとき、地上はだいぶ暗くなっています。サングラスをかけているときのように見えました。それでもまだ太陽は肉眼では見られない明るさです。空もまだ青いですね。170828_oguma_05.jpg



13時27分。皆既日食になる直前の一瞬、ダイヤモンドリング170828_oguma_06.jpg


そして皆既日食!!皆既の間は肉眼でも太陽を見られます。新月の丸く黒い影がはっきり見えます。コロナ(太陽大気の最も外側の部分)も太陽の周りに白く見えました。太陽の縁で赤く見えているのはプロミネンス(紅炎。太陽のコロナの下の彩層から出てくる比較的低温のプラズマ)です。170828_oguma_07.jpg

そのときの地上の様子はこちら。「夜になる」というより、日没後の夕焼けのようになりました。ただし、周りの全方向が夕焼け(「日食焼け」と呼ばれることもあります)。この場所は月の影の中ですが、その外側は昼間のままなので、夕方と同じように横から光が入ってくるからです。これは初めて知りました。170828_oguma_08.jpg

また、明るいときには見えなかった木星が光って見えました。日食のときには「動物が騒ぐ」と聞いていましたが、市街地だったのでよくわかりませんでした。鳥が数羽飛んでいったのは見えましたが。(でも周りの見ている人たちは大騒ぎ!)


13時30分。あっという間の2分半。あぁ終わってしまう・・・
この最後のダイヤモンドリングが眩しくてとても綺麗でした。170828_oguma_09.jpg

右側から太陽が出てきます。地上の明るさも、また少しずつ通常の昼間の状態に戻っていきます。このあと部分日食が14時55分頃まで続きました。170828_oguma_10.jpg


ここで少し気温と日射量の変化のデータをみてみましょう。米国気候基準点ネットワークU.S. Climate Reference Networkの報告書(PDFファイル)によると、私がいた場所の近くにあるテネシー州クロスビルの観測点では、皆既日食前後の気温・日射量の変化はこのようになったそうです。170828_oguma_11.jpg

(USCRNの図を元に改変)


雲も影響していますが、この地点では日射量(2番目のグラフ)が第一接触の12時頃から下がっていくのにつれて、気温(1番上のグラフ)は皆既日食の前後で約4 ℃下がりました。体感としても、皆既に近づくにつれて日差しが弱まり、どんどん涼しくなっていくのが感じられました。
私のいたところは少し雲がありましたが、よく晴れていたワイオミング州ムースでは、このように綺麗に皆既日食前後での気温・日射量の変化が見られました。170828_oguma_12.jpg

(USCRNの図を元に改変)


実際に見に行ってみて、もし今後、みなさんが皆既日食ゾーンに入れるチャンスがあるならば、多少足を伸ばしてでもそこまで見に行くのをおすすめしたいと思いました。なぜなら、99%部分日食と皆既日食とでは全く様子が違うからです。99%でも太陽はかなり暗くはなりますが、肉眼で見てもよくわからず、日食グラス越しに見て初めて太陽が欠けていることがわかります。でも、皆既日食の間だけ、肉眼で、新月に覆われた普段見ることのできない太陽の様子や、真昼の360度の夕焼けを見ることができます。皆既日食になる数分間だけ、その場所でだけ、風景が一変するのは想像以上の驚きでした!

また、日食の時刻や見られる場所、太陽が欠ける割合が秒単位で正確に予測できるのがすごいと感じました。前回のブログでも紹介したように、日食には地球と月の軌道が絶妙に関係しています。この複雑な軌道を計算することによって、すでに西暦3000年まで先の日食が秒単位で予測されています。冲方丁さんの小説「天地明察」では、江戸時代に日食の予測をするのに主人公が苦心する様子が描かれていましたが、300年前では信じられないことですね。

次の皆既日食は、2019年7月3日(南太平洋・南米大陸の一部)。日本で見られるのは2035年9月2日(関東北部から能登半島)です。

皆既日食を一度見てしまうと、また見たくなる「日食病」にかかる、日食を追いかける「日食ハンター」になってしまう、と言われますが、それもわかる気がしました。一生に一度と言わず、何度でも見たい皆既日食でした!

参考: NASA Eclipse Web Site https://eclipse.gsfc.nasa.gov/eclipse.html

編集注:日食についての説明に誤りがあったため、2017年9月8日10:30頃、該当箇所を修正しました。

※コメントをする際は「ブログへのコメント投稿について」をご覧ください

※「名前」は、ハンドルネームでも構いません

この記事への2件のフィードバック

皆既日食、リング日食の写真の素晴らしさに感激しました。
これにあわせて日射量と温度の時間変化も興味深いです。

田中茂利様

コメントをありがとうございました!教科書に載っているような綺麗な写真が撮れました。データにも日食の影響が顕著に現れていて、私も興味深いと思いました。アメリカではその後も一週間ほどまだ日食の話題で持ちきりで、本当に一大イベントだったのだなと感じました。

コメントを残す