今年のお月見は土星の「月」にも注目しよう!
土星探査機カッシーニの功績を讃えて

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皆さん、こんにちは!惑星大好き科学コミュニケーター、渡邉です。

気がつけばもう9月も半ば。コオロギやスズムシの声が未来館の周りでも聞こえ始め、もう夏は終わったのか、と少しばかり寂しい気持ちにもなります。その代わりに、空気が澄んできたおかげで、夜空のお月さまも一段ときれいに見えるようになってきました。今年の中秋の名月は10月4日(水)とまだ先ですが、私はとても楽しみにしています!

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しかし、私が直近でもっと注目している、天文イベントがあります!それは、土星探査機「カッシーニ」の終わりを見届けることです。


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土星探査機カッシーニ

およそ13年間土星の周りを回って観測を続けた探査機カッシーニが、土星の大気圏に突っ込むかたちで役目を終え、その最後の信号が明日9月15日に届くのです。

探査機を打ち上げる時とは違って、なんだか地味だなー、と思われるかもしれません。確かに、これから探査機でいろいろなことがわかるかも!という種のワクワク感はありません。しかし、この探査機が13年以上かけて発見してきた数々の成果を振り返り、その頑張りをねぎらうには、いい機会だと思うのです。



というわけで、皆さんも少しばかりお付き合いいただければと思います。

カッシーニがどんなことをしてきた探査機なのか、ざっくり振り返ってみましょう!





◆カッシーニとはどんな探査機?

土星探査機カッシーニは土星の衛星「タイタン」への着陸機「ホイヘンス」を引き下げて、1997年10月15日に米国のフロリダ、ケープ・カナベラル空軍基地より打ち上げられました。



「カッシーニ」、「ホイヘンス」という名前は、天文好きな方には馴染みがあるでしょう。探査機カッシーニは、イタリア生まれのフランスの天文学者「ジョヴァンニ・カッシーニ」から、そして着陸機ホイヘンスは、オランダ生まれの天文学者「クリスティアーン・ホイヘンス」にちなんでいます。

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ジョヴァンニ・カッシーニは土星の環にすき間があることを発見した科学者です。その中で一番大きな間隙は彼の名前から取って「カッシーニの間隙」と呼ばれています。

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そして、クリスティアーン・ホイヘンスは、土星最大の衛星、タイタンを最初に見つけた科学者です。そして、このタイタンこそ、今回の探査でもっとも重要なターゲットなのです。


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土星最大の衛星「タイタン」

科学者や開発者は、これら偉大な発見をした2人の科学者に敬意を表し、探査機・着陸機の名前を彼らから取ったそうです。自分の名前が後世まで語り継がれ、探査機というかたちで科学に貢献できるというのは、とてもロマンの溢れる話ですね。



カッシーニやホイヘンスの前に土星やその衛星を調べた探査機は限られており、1979年にパイオニア11号、1980年にボイジャー1号、そして1981年にボイジャー2号が土星のそばを通過したのみです。ボイジャー2号までの探査で、土星のリングが想定よりも複雑だということが分かり、土星や土星の衛星に関しても多くの謎が残されました。

土星を周回する探査機なら、土星本体やリング、土星の衛星にもっと近づいて詳しく調べられる!そんな想いで開発された探査機がカッシーニとホイヘンスなのです。開発にかかった総費用はおよそ3600億円(1ドルを110円として換算)。他の探査機と比較すると、ボイジャー1号が950億円。費用だけで単純比較はできませんが、気合いを入れて開発されたのは確かだということが読み取れます。



無事に打ち上げられた探査機カッシーニと着陸機ホイヘンスは、まず金星のそばを2回、地球のそばを1回通過しました。これはスイングバイという、天体の重力を利用して機体の速度を変化させる技術です。そうすると、燃料を使わずに探査機を加速することができます。探査機を遠くの土星まで送り届けるのに必要不可欠な技術です。

その後、2004年6月30日に土星の周回軌道に入ることに成功しました。そのおよそ半年後の12月24日、ホイヘンスはカッシーニ本体から切り離され、翌年の1月14日にタイタンの大気や地表面を観測しながら、無事に着陸しました。

カッシーニは2008年6月までメインミッションを行った後、2回もミッションを延長しました。そのカッシーニの燃料が尽きようとしてため、2017年4月から現在にかけて土星と土星のリングの間を22回も潜り抜け、土星の大気圏に突入させるミッション「グランド・フィナーレ」が行われました。


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グランド・フィナーレの軌道

そのまま放置せず、あえて土星に突入させるのは、ある土星の衛星に存在するかもしれない生命への影響を考えてのことです。もし影響が出たら、今後の土星の衛星の生命探査にも影響を及ぼします。安全に処理するには、土星に沈めるのが最良の選択と判断されたようです。とはいっても、このミッションでは土星やリングを近い距離で観測することになるので、土星の大気やリングなどに関して、今までにないデータを取得できると期待されています。



私たちの飽くなき好奇心のために、土星に突っ込むカッシーニ。



なんだか、とても勇敢でかっこいいですね!
カッシーニのことを調べていくうちに、さらに惚れてしまいました!!



そんなカッシーニの20年間の足跡をここにまとめてみました。

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◆カッシーニとホイヘンスのベストショット集

それでは、カッシーニとホイヘンスが土星やその衛星のどんな姿を見てきたのか、少しだけ覗いてみましょう。



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これはタワシ?スポンジ?いいえ、れっきとした土星の衛星です。



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これは何かが吹き出ているのでしょうか?そしてどの衛星で??



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懐かしい気分になれるこの画像。飛行機に乗っている時に見たことがあるような地形ですね...でもこれは地球の航空写真ではなく、ある土星の衛星の画像なのです。



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禍々しくも美しいこの模様。こんな模様が土星の極で見られます。どうしてこんなに規則正しい六角形が見られるのでしょう...?





◆ぜひとも未来館へ!

...え、もっと詳しく知りたいですか?

でしたら、是非とも未来館にお越しください!

http://www.miraikan.jst.go.jp/event/1708022221777.html



未来館では9月13日(水)〜10月6日(金)まで「中秋の名月 未来館でお月見!2017」を開催します。本イベントの中で、土星の「月」(=衛星)を取り上げます。昨年度は1週間のみの開催でしたが、今年はおよそ3週間と、比較的長い間お楽しみいただけます。


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未来館のGeo-Cosmos(お月見バージョン)



5階コ・スタジオ前に置いてあるパネル展示では、カッシーニの20年間の軌跡のほか、土星の衛星やリングの起源、そして特に注目すべき2つの天体、タイタンとエンケラドスを取り上げます。

5階コ・スタジオで毎日行うサイエンス・ミニトークでは、多くの惑星科学者や天文ファンの心をわしづかみにしたタイタンの魅力をご紹介します。タイタンを詳しく調べることで、生命の誕生やおよそ40億年前の地球環境に関する理解が深まると期待されます。



カッシーニやホイヘンスが残してきた科学的知見は、とてもたくさんあります。せっかくの機会なので、惜しまず、本ブログにて複数回に分けてお伝えしようと思います!

次回は科学コミュニケーター高知尾が、土星の衛星の様々な姿、魅力をお伝えします。
お楽しみに!

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この記事への1件のフィードバック

カッシーニがいよいよ最後だ、宇宙先生はきっと思うところがあるのだろうな、と思っていました。カッシーニから最後の信号が届く前日に新たな投稿。カッシーニへの愛、尊敬、まっすぐ伝わりました。遠く離れた宇宙、その1つである土星に、ちゃんと地球から飛んでいったカッシーニ。意思を持ったいるみたいに。すごい。カッシーニの最後の勇姿、宇宙先生、胸一杯に受け止めてくださいね。その受け止めを、また直接聞きに参ります。カッシーニにエールを贈ります。

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