シロアリのお腹の中はマトリョーシカだった。

こんにちは!
 

突然ですが、みなさん、

「シロアリ」のイメージを教えてください。

なるほど・・・

 

世の中の人にはあまり良いイメージを持たれていないシロアリですが、

実は!!
地球にとってなくてはならない大切な存在なのです!

 

そこで、シロアリのことをもっと知るために!

先日、飼育員の大渕と猟師見習いの武田の生き物好きコンビが、

クラブMiraikan会員の方達と、シロアリ解剖観察 (リンクは削除されました)を行いました!

 

 

イベントには、シロアリ研究者として、

東京工業大学より木原久美子先生をお迎えし、

シロアリの詳しい生態について教えていただきました。

木原先生(中央の女性)と語るイベント参加者。とても丁寧な解説にみなさん興味津々です。

今回のイベントでは、シロアリを外から観察するだけでなく、

シロアリを解剖し、腸内観察もおこないました。

シロアリは体長12mm程度のオオシロアリと、

5mm程度のヤマトシロアリを解剖しました。

 

この作業がなかなか細かいのですが・・・

(シロアリのお尻から腸を取り出すという作業があります。)

参加者のみなさんは、とても器用に腸を取り出していました。

息を止めながら、真剣な面持ちで解剖に取り組む大人の参加者。
ピンセットを駆使し、腸を取り出す参加者。
(※上2つの写真は日本最大のシロアリ、オオシロアリです。)

そして、取り出した腸の中を観察してみると・・・・

!!!????
何かが勢いよく飛び出してきました!!!!

 

さらに、倍率を上げていきます・・・

動画提供:早川昌志(神戸大学理学研究科・洲崎研究室にて撮影)

 

小さな生き物(微生物)たちが沢山!!
(※写真はヤマトシロアリの腸内)(画像は削除されました)

 

この微生物たちは、シロアリのお腹の中でくらし、

シロアリが食べたものを消化しているのです!

 

シロアリは自力では食べた木の材などを分解できないので

この微生物たちがいないと、

シロアリは食べ物を消化できずに死んでしまいます・・

 

さらに驚きなのは、

この微生物の中にももっと小さな生き物(細菌)がいることです。

 

そう。まるでマトリョーシカみたいですよね。

このように、シロアリの体は

生き物同士の共生(つながり)によって支えられています。

 

そしてこのつながり、

シロアリの内側だけでなく、外側でもみられます。

 

例えば、森の中で枯れた木はシロアリによって分解され土になり、
土は木を育むためのベースをつくり、枯れて再びシロアリに分解されます。
 

 

わたしたちのくらす地球では、大小関係なく、

色んな場所でこのような生き物と生き物のつながりがあり、

私たち人間も、このつながりのなかでくらしているのです。

 
 

さて、イベントの最後、

参加者のみなさんにはアンケートに回答していただいたのですが、

そこには、われわれ生き物好きコンビ(大渕・武田)にとって、

とても嬉しいご意見がみられました。

他にも、

「普段はできないような実験(解剖)ができて良かった!」
「イベントを通して地球環境への考えを深めることができた!」
などなど...

 

予想以上の反響があり、もとても参考になるご意見をたくさん頂きました。

 

私たちが今回シロアリを通して伝えたかった、

生き物同士の共生(つながり)が、

参加者の方々と共有できた気がしてとても嬉しかったです。

 

 

また今回、生命現象が絡み合って行われている現場を観察するために、

生きた状態のシロアリを実験の対象にしています。

 

 

毎日多くの命によって支えられている暮らしの中で、

"生きている"ってどういうことなのか、

ふと立ち止まって考えるきっかけとして、

これからも、このようなイベントを企画していきたいと思います。

 

 

生き物好きなあなたも、そうじゃないあなたも!
みなさまの積極的なご参加、お待ちしております!!


シロアリ解剖観察実験

日程: 2015年2月11日(水・祝)

参加対象:高校生から大人のクラブMiraikan会員

詳細:おとなのためのシロアリ解剖観察 ~ヒトにとっての害虫は、地球にとっての益虫?~ (リンクは削除されました)

日程: 2015年2月21日(土)

参加対象:小学4年生以上のクラブMiraikan会員

時間: 各回とも13:30~15:00

詳細: シロアリ解剖観察 for キッズ ~実はいいムシ?シロアリのお仕事~ (リンクは削除されました)

講師紹介

木原久美子(東京工業大学・研究員、理化学研究所・客員研究員)

理学博士。生き物が生きている状態に存在する普遍的な原理を解明したい!という大目的へ向かって研究を行っている。現在は「共生進化」をテーマに、シロアリやその腸内共生微生物と向き合い、フィールド・実験室・情報処理の3本柱を使い、大切な仲間達に心技体を支え(鍛え)られながら、日々是前進中。研究と平行し、科学雑誌へのサイエンス記事の執筆や、日本全国各地にてサイエンスイベント「水と森のモリモリサイエンス」・「マトリョーシカフェ」を実施中。

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