トークセッション「土からはじまる都会のみどり」イベント報告!

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 こんにちは!みどりの科学コミュニケーターの深津です。

 突然ですが、あなたにとって、まちのみどりはどんな存在ですか?
 私にとっては、毎日元気をくれる存在です!というのも、駅から未来館に向かう道に沿って、きれいなサルスベリがいっぱい咲いているんです!ちょっぴり眠たい出勤途中の私に、植物が元気を与え、好奇心を取り戻させてくれる...すてきでしょう??

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街路樹としてよく植えられる、サルスベリ。
調べたところ、これは高さの低い「矮性(わいせい)」の品種のようです!

 この問いは、じつは8月4日(日)に行なったトークセッション「土からはじまる都会のみどり」でも、未来館にお越しいただいた皆さんにお聞きしました。

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イベントでは、イラストを添えたボードを用意し、
ふせんに意見を書いてもらいました!

 「いやしの存在」「季節を感じさせてくれる」「虫の観察ができていい」「涼しさを感じる」「日陰を作ってくれる」「道しるべ」などなど...様々なコメントをいただきました!

 さて、このように私たちがまちという環境でみどりと触れあれるのは、この先生のご研究があってこそ、なのです。

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輿水肇 先生
(公益財団法人都市緑化機構 代表理事・理事長)

 そう、今回のトークセッションで登壇していただいた、輿水肇(こしみず・はじめ)先生です!
 輿水先生は、私たちの住むまち、特に未来館のあるお台場のような埋立地や屋上といった人工的につくられた土地にみどりを根付かせるための研究を行なってきました。そのご功績により、今年度、内閣総理大臣賞の1つでもある「みどりの学術賞」を受賞されました。(研究内容について、詳しくは以前に執筆したこちらのブログをご覧ください)

 イベントのなかでは輿水先生に、まちのみどりについての専門的なお話、そしてみどりに対するアツい思いをたっぷりお伺いしました!今回のブログでは、イベントのファシリテーターを務めた深津が、輿水先生のお話のなかで個人的に心に残ったフレーズを取り上げてみようと思います。

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夏休みに行ったイベントということで、会場は盛り上がりました!

「絵に描いた餅!」
 まちでの暮らしにみどりが必要であることは、みなさんも冒頭の問いでご想像いただけたのではと思います。しかし、都会の土地は限られているため、みどりを増やしたくても植えるための土地がありません。
 かつて、東京都内のみどりを倍に増やすという計画がありましたが、それに必要な土地代を見積もったところ、ものすごい額の値段だったのだそうです。そんな「絵に描いた餅」のような計画ではなく、他の方法でみどりを増やす方法が必要だと、輿水先生は考えたのです。それが、屋上などの人工的につくられた土地にみどりを増やすことでした。

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みどりのあった場所(黒い部分)が減り、道路や建物に変わっています。
このような状況でみどりを増やすのは、とても大変なことです。

「単なる土とは違って、生物をやしなう力をもった良い土のことを「土壌」っていうんです 」
 屋上、あるいはビル街などに木を植えるには、どうすればよいのか。その方法のひとつとして、このようなものを輿水先生にご紹介いただきました。

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 これは東京国際フォーラムに植えられた木です。木はコンクリートの下いっぱいに根を広げているのではなく、地下部には大きな植木鉢のような構造がつくられていて、鉢に入った土のなかで根を下ろしているのです。一見、昔の纏足(てんそく)のように見えてかわいそう...とも思いますが、ただ狭いところに閉じ込めているのではありません。もちろん土の量が不足すると植物は生き生きと育たないのですが、この方法では鉢のなかには良質な土をしきつめており、植物にとって成育しやすい環境になっているのです!

 また、イベント中では、土壌の「壌」の字についてもお話いただきました。「壌」は左側のへん、右側のつくりで構成された漢字ですが、つくりの部分には「たすける」という意味があるのだそうです。他にも醸す(かもす)の「醸」の字もおなじつくりをもっていますが、この字も発酵生物を「たすける」という意味があります。
 土、いや土壌は、まさに植物が生きるのを「たすけ」てくれる不可欠な存在なのですね!

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「壌」についてアツく語る輿水先生!

「(お台場は)公園が先にできた街なんです! 」
 せっかく未来館で行うイベントでしたので、お台場周辺のみどりについても輿水先生にお話をお伺いしました!
 お台場があった場所は、かつては海でした。そこが埋め立てられて街ができ、未来館のような人が集う施設ができ...そして来年2020年にはオリンピックの競技を行う場所として選ばれるほど、成長をとげたエリアなのです。実は、ここまで成長できた理由のひとつとして「みどり」があります。

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 かつてお台場が新しい都市として整備されるとき、ここで人々が何らかの活動をするには公園が必要だろうという考えがあり、「海上公園」として多くのみどりを植えたのだそうです。
 なるほど、木を育てるには時間がかかりますから、そういう面で考えると、すでにある公園をオリンピックの会場として活用できることは、大きなメリットだなと深津は思いました。

「みどりがあると文化が生まれる、かおり高い芸術がうまれる 」
 みどりには、日陰をつくってくれたり、風を起こすなどの作用があることが科学的にもわかっており、それらはとても重要です。しかし一番大事なのは、みどりがあると文化が生まれることなのだ、と輿水先生はおっしゃっていました。

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提供:輿水肇 氏

 これは、輿水先生が撮影した、赤坂のまちの様子です。確かに、身近にこうした道があれば、思わず散歩をしたくなるかもしれません。きっとそういうひとときでみどりを見て癒されることで、新しい発想が浮かんだり、散歩に一緒に行った仲間と話す機会になったりするのでしょう。いやぁ、やっぱりみどりってすごい!!

おわりに...
 トークセッションではこれ以外にも多くのお話をいただき、ファシリテーションをしていた深津にとっても非常に楽しいひと時となりました。終了後も、お子さんや大人の方などからご質問をいただき、それぞれのご質問に輿水先生は丁寧に答えてくださいました。

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「先生、住宅が建ち並ぶまちでもみどりを増やすにはどうすればいいですか?」
質問に対して、輿水先生は図を描きながら丁寧に説明していただきました!

 ご登壇いただいた輿水先生、そしてご参加いただいた皆さま、大変ありがとうございました!
 未来館ではこのような、研究者を招いたトークセッションを随時行っておりますので、今後ともご期待ください!今後のイベントについては、こちらのページからご確認いただけます!