イナゴンピックにいってきました。その2

前回のブログで、群馬県中之条町で開催されているイナゴンピック(イナゴ捕り競技会)の様子を紹介し、おばあさんの驚異的なイナゴ捕獲能力をお伝えしました。
たくさんのイナゴを捕まえたようですが、捕まえたイナゴはどうするのでしょうか。
その正解は、こちら!
佃煮になるわけですね。
イナゴンピックで捕まえたイナゴは、持ち帰る人、再び田んぼに放す人といたようですが、持ち帰る人は食用に佃煮にするというわけですね。
写真は後日佃煮にされた中之条産のイナゴ(おばあちゃんのお孫さんから頂きました)。
毎年イナゴの季節がくるのが楽しみ、と語るおばあちゃん。イナゴの佃煮は、近所の人々にも振舞われ、味付けも地域によって特徴があるのだそうです。
イナゴ捕りはいわば「きのこ狩り」のようなものかもしれません。
ところで、前回ヒントとして出した写真はこちらでしたが、イナゴンピック参加者にふるまわれたものとはなんだったのでしょうか。
中之条町の人々はイナゴには親しんでいる人が多いと考え、その他の昆虫にも親しんでもらおうと都内から来たメンバーが検討したのがこちらの料理。
白い豆のようなものに見えますが、その正体は「ツムギアリ」というアリの幼虫や蛹。イナゴと同じ昆虫の料理がふるまわれました。
ツムギアリはタイでよく食べられている食材だそうです。
ツムギアリ缶詰。レモン、タマネギ、ミント、トウガラシなどを混ぜ合わせたユム(yum)と呼ばれる辛いサラダにして食べるようです(三橋淳著「世界昆虫食大全」)。その他、ペースト状にしてそのまま食べたり、炒めたりします。ツムギアリは、東南アジア、アフリカ、オーストラリアでよく見られるアリで、木の上に葉を糸でつなぎ合わせて巣をつくります。巣の中の幼虫や蛹、卵が食用にされているようです。
振舞われたアリをさっそく食べてみましょう。お豆のようなしっかり中身の詰まった旨みのある味がします。匂いも特にありません。そのまま食べると酸味が強いそうですが、私が食べたものは塩ゆでしており、酸味は全く感じられませんでした。
お姉さんが料理している、左下のボールのフルーツポンチにいれて頂きました。
さっぱりとして美味しかったです。皆さん特に抵抗感なく食べているようでした。
フルーツポンチが美味しかったのか、アリが美味しかったのか分かりませんが、お代わりするお子さんが多かったです。
上の写真右側ではお兄さんが油を入れています。何か揚げ物をするような・・・何を揚げるのかというと・・・
イナゴの倍以上もある、大きな「タイワンツチイナゴ」でした。
手前は唐揚げ粉でまぶしています。
こちらもタイで食材として売られているもの。
ツムギアリとタイワンツチイナゴは共に、輸入食品として都内のスーパーに売られているそうです。
揚げたてのタイワンツチイナゴをさっそくほおばります。サクサクとしていて、エビのかき揚げのような味がします。「川エビの味に似ているね」「これはいける」などと感想が挙がりました。
参加者も興味津々です。
全体的に町の人々の反応を見ると、イナゴの佃煮も食べた経験は予想以上に少ないようです。
外国の昆虫料理と聞いて、怖々食べる人、全く気にせず食べる人、近寄らない人、さまざまでしたが、巨大イナゴやアリの料理を見て多くの方に昆虫料理を楽しんでもらえたようです。
昔はイナゴやカイコを食べたものだよ、とタイワンツチイナゴをほおばりながら語るおじいさん。大人が食べる姿を見て、昆虫食には馴染みのない子どもたちもおそるおそる食べてみる姿が見られました。
「おいしい」とたくさん食べている子や「味がほとんどしないから美味しくもまずくもない」などと冷静に評価する子も。見た目とは裏腹に淡泊な味のようです。
昆虫食は、予想外に受け入れられる。このことは私に全く新しい世界を与えてくれるものでした。
今後は、私がこれまで経験してきた昆虫料理や、科学の視点でみた昆虫食について語っていきたいと思います。
子供の頃、近所に佃煮屋があって、イナゴも並んでいたことを思い出しました。私の親は一度も買っていませんでしたけどね。
イナゴ、ザザムシ・・・地方ではよく食べられてきた食材ですよね。ご近所の佃煮屋はまだあるのでしょうか。
イナゴ佃煮を売る店も、珍しくなってきているのではないでしょうか。