現実ヲ拡張セヨ! Thermo-key!

こんにちは、展示開発課の鈴木 真一朗です。
まだ暑い日が続いています。
第12期メディアラボ「現実拡張工房」の第3話は温度がキーワード、「Thermo-key(さーもきー)」です。
絶対にモザイクをかけたい!
ちょっと想像してみてください。
あなたはTV局で映像編集のお仕事をしています。
最近は、プライバシーの保護も重要な問題なので、とりあえず映像中のすべての人にモザイクをかけたいと思います。
さぁ、どうすればいいでしょう。
顔認識!と考えた方、よくご存じですね。
最近ではコンパクトデジカメにも顔認識機能がついて、人の顔にピピッとピントをあわせてくれます。
ところが、一般的な顔認識機能は目の位置や口の位置、肌の色などを目安に顔を探しているため、
たとえば半分だけ隠れている顔や横顔などは見つけにくいという欠点があります。
モザイクのかけ忘れは大問題、顔認識よりもっと良い方法はないものか…。
万物は温度を有している
高熱を出している人を見つけるために空港などに設置されている温度を見るカメラ、「サーモカメラ」。
未来館の5階、小惑星探査機のコーナーにもサーモカメラが置いてあるので遊んだ方もいらっしゃるかもしれません。
サーモカメラをつかえば、温度が高いところが赤く、低いところは青く見えるため、人間がどこにいるかすぐわかります。
サーモカメラで赤く見えるところにモザイクをかければ、半身だろうが、変顔だろうが、確実にモザイクをかけることができます。
Thermo-keyはハーフミラー(光の半分を通して、半分を反射する鏡)をつかって、
普通のカメラとサーモカメラが同時に同じ場所を見て、コンピュータに画像を送っています。
コンピュータだけでは難しい問題もカメラを使って上手に解決してしまう、さすが苗村研究室!
Thermo-keyの原理を理解すると、たとえば透明な板で温度(赤外線)だけ遮ることで、そこだけモザイクをかけさせなかったり、
温かいところだけマンガ風に画像編集したり、ということも可能です。
展示場では、マンガ風になった自分を記念撮影して楽しむお客様で賑わっています。
ぜひ皆さんも、温度と映像の関係を楽しんでください。
【これまでの「現実拡張工房」記事】
今日早速試しに行きました!
私はメガネをかけているのですが、メガネが冷たいらしく、目だけしっかり見えて、それはそれでびっくりでした。
milkteaさん
コメントありがとうございます。
メガネのガラスが赤外線を通さなかったので、目だけ特殊効果がかからなかったんですね。
Thermo-keyと同じようなことをしているのが天文台です。
普通の望遠鏡と赤外線を捉える望遠鏡や電波を捉える望遠鏡の画像を比較することで、より遠くの宇宙を観測しています。
「赤外線って面白いな」と思っていただけたなら、1987年に公開されたハリウッド映画『プレデター』もオススメです。
エイリアンが人間を襲う、ちょっと怖い映画ですが、エイリアンは赤外線しか見えなかったため、思いがけない方法でアーノルド・シュワルツェネッガーにやっつけられてしまいます。