あなたが発電で大切にしたいことは?

突然ですが、お願いです。あなたの時間を30秒ください。

そして、これについて考えてみて下さい。

発電で、あなたは何をどれくらい大切に思いますか?

項目は以下の5つです。

いつでも:好きなときに好きなだけ使えるようにすること

ずーっと:今だけでなく子や孫、もっと先の世代も使えるものであること

安全:発電所関連の事故等による危険を小さく、起こる可能性を低くすること

お金:電気代を安く抑えること

環境:環境への影響、特に二酸化炭素の排出を抑えること

本当は5つ全てを5点満点で大切にしたいところですが、今の発電技術ではそれは叶いません。そのため、持ち点は15点です。あなたは、何をどれくらい大切にしたいと思いますか?

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

さて。

そろそろ30秒が経ったでしょうか。あなたはどんな配点をしましたか?

同じ質問を、未来館のコ・スタジオにあるワークショップスペースで来館者のみなさまに問いかけてみました。

 

結果の一部を画像で紹介します。

いつでも使えることがなにより大切で、ずっと安全に使えることにもこだわりたいという方。

逆に、いつでも使えなくていいから、安全や環境を大切にしたい方。

お金は諦めるから、他のことをなんとかして!という方々。

どれかを突出させることなく、少しずつ均等に大切にしたい方々。

 

......と、様々な意見が集まりました。

このように配点した理由をお伺いすると、「いつでも使えると使いすぎちゃうから、大切に使えるようにと思って」と「いつでも」を減らした方、「お金は大丈夫、働いて稼ぐから!」と、お金を0点にした小学生、「孫の時代にも電気が使えるように」、「安全に安心して使えなければ困る」など、それぞれの思いを語ってくださいました。

あなたは、どんな思いを持って配点しましたか?

キーワードは、3E+S

実は、この5つの項目は、政府が考えるエネルギー政策の基本となるポイントとリンクしています。

それは、2014年に閣議決定された、「エネルギー基本計画」の中に書かれています。
"安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、経済効率性の向上(Economy Efficiency)による低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に、環境への適合(Environment)を図る"。これは、それぞれの英語の頭文字を取って、「3E+S(すりーいー ぷらす えす)」と呼ばれています。

環境と安全、経済効率性(お金)。また、エネルギーの安定供給という視点は、「いつでも」と「ずーっと」と言い換えられるでしょう。

エネルギー基本計画には、このポイントの他にもそれぞれの発電方法の位置づけなどが書かれています。詳細はこちらの記事 (リンクは削除されました)でまとめています。ぜひ読んでみてください。

このポイントをバランス良く叶えるための答えの1つとして、政府が出した「2030年の目標値」があります。

日本の発電は、あなたが大切にしたいことと合っていますか?

2030年の目標値とは、火力、原子力などといった発電方法のどれをどれだけ使って発電するかを示すものです(発電構成比といいます)。

グラフで、昨年2016年の実績と、2030年目標を見てみましょう。

2016年は、火力81%、原子力2%、再生可能エネルギー(大規模水力、太陽光、風力、地熱、バイオマス火力、廃棄物火力)14%、その他3%という構成でした。

それに対して、2030年の目標値は、火力56%、原子力20~22%、再エネ22~24%です。

 

この目標値を、あなたはどう感じましたか?

「ふーん、そうなんだ」、「こんな目標、現実的じゃない!」、「もっとここはこうして欲しい!」など、ぱっと思い浮かんだことがあるかもしれませんが、もう一つ考え合わせてみて欲しいことがあります。

それが、冒頭で考えていただいた「あなたが発電で大切にしたいこと」です。

2030年の目標値は、「あなたが発電で大切にしたいこと」と照らし合わせて、合っていると感じましたか?

  

電気は、私たちの今の生活に欠かせないものであると同時に、発電の方法を決めることは、私たちの未来の姿を決めることでもあります。

 

「エネルギー基本計画」は、3年ごとに改訂があります。
前回が2014年でしたので、ちょうど今年が3年目。今年8月から検討の会議が始まり、年度内に新しい計画が発表となる予定です。もし、新しいエネルギー基本計画の方向性が変わったら、将来の目標値も修正されるかもしれません。私たちの未来を決める重要な計画です。

 

このシートを使ったワークショップは、未来館のコ・スタジオにて不定期に開催しています。
ぜひ、皆さんのご意見を、ワークショップやこのブログのコメント欄にて、聞かせて下さい。

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