どう向き合う?あなたの地震リスク

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20190619_tsuboi_01.png気象庁HP より

 

昨日6月18日の夜に発生した、新潟県の地震。
19日午前11:30時点のNHKニュース によると、新潟・山形・石川・宮城の4県で26人がケガをされたそうです。まだ余震が続いている地で、これ以上の被害が出ないことを祈るばかりです。

この地震を、地震が起こる前の2018年6月に政府の地震調査研究推進本部から発表されていた「地震の発生確率」という点で見てみましょう。
すると、最大震度6強を記録した村上市府屋で、30年以内に震度6強以上の地震が起こると言われていた確率は、なんと0.7% ※。
(※村上市山北支所で調べた値)

日本全国を見渡すと、同じように数%以下の地域はたくさんあります。
この結果を、私たちはどう受け止めて、次の地震に活かせばよいのでしょうか。

 

「え...、思ったより低い...」

 

これは、自分の町で30年以内に震度6強以上の地震が起こる確率をみた来館者の言葉。
日本科学未来館の常設展示内「コ・スタジオ」で行われているアクティビティの一幕です。

地震大国と言われる日本に住む私たちにとって、実際に自分が地震に遭う可能性がどれくらいあるのかは大きな関心事。
地震ハザードステーション(J-SHIS) 」というアプリを使うと、調べたい地点での地震発生確率を簡単に調べることができます。
元となっているデータは、地震調査研究推進本部による「全国地震動予測地図」です。

未来館でのアクティビティは、このJ-SHISを使って、自分の一番気になる地点の地震発生確率を調べることから始まります。
参加している皆さんは真剣な表情で、自宅や学校のある場所を調べます。
でも、数字にたどり着いた瞬間に、ぱっと皆さんの顔に浮かぶのは、困惑の表情。
その時に、ある女性がつぶやいたのが、先ほどのセリフです。

20190619_tsuboi_02.JPGJ-SHISを使って、地震の発生確率を調べる参加者

 

今回の地震が実際に発生した村上市でも、0.7%。
「地震は怖い」、「自分も大きな地震に遭遇する可能性がある」という意識が強くある方ほど、出てきた数字に肩透かしを食らった気分になるかもしれません。
しかし、この小さな確率は決して「安心できる状況」だと証明するものではなく、かえって地震の怖さを際立たせるものだと、私は思います。

そもそも、地震によってどれほどの危険が自分に及ぶ可能性があるのかを示す「地震リスク」を考えるには、「地震が起こる確率」だけではなく、「地震によって受ける被害の大きさ」も考える必要があります。
「ある危険が発生する確率」と、「それによって起こる被害の大きさ」を掛け合わせたものが、「リスク」だからです。

20190619_tsuboi_04.png地震リスク = 確率 × 被害

  

確率が高く、被害も大きいものは、大きなリスクであることは明白です。一方、地震はどうかというと、自分の身に起きる確率が低い(ように感じる)ものの、ひとたび起これば命が失われかねない甚大な被害がおこります。
低い確率に目が行くために、その確率の先にある甚大な被害を直視しにくい。ここに、地震災害の怖さがあると思うのです。
千年万年に一度という頻度で起こる大地震を、30年という私たち人間が考えやすい期間でみると、その発生確率はどうしても低くなります。特に、海溝型地震が起きやすい日本海溝や南海トラフから距離のある内陸部や日本海側でその傾向は顕著です。しかし、低いからといって起きないわけではないのです。

新潟県中越地震などの経験もあり、日ごろから備えてきた方々が多かったからでしょう。
揺れの大きさからすると、亡くなる方がいなかったのは幸いでした。

たった数 %であっても、自分や大切な人の命が失われる可能性があるとしたら、その数字は決して無視できないのではないでしょうか?
大地震の発生を抑えることはできません。でも、被害の発生は、ある程度抑えることができます。
この地震を教訓に、あなた自身はどう地震リスクと向き合うか、ぜひ考えてみてください。

 


◆コ・スタジオ アクティビティ
「なまずクリニック〜あなたの地震リスクは?」
5F 常設展示コ・スタジオにて、不定期で実施。
(同じ5Fには、地球上のさまざまなリスクに向き合う展示「100億人でサバイバル」があり、そこで地震調査研究推進本部の「全国地震動予測地図」をご覧いただくこともできます。)