38年ぶり「9月8日」。今年の月見はなぜ早い?

今宵(9月8日)は、中秋の名月。
涼しい風に吹かれて、秋の訪れを感じながら、五穀豊穣を祈り、祝いましょう。
未来館もシンボル展示「Geo-Cosmos」に月を映し(投影画像提供:JAXA)、
一足早いお月見を楽しんでいます。(9月8日まで)
9月5日の夜間イベントでは雅楽を演奏しました
・・・・・・にしても。
ちょっと早くない?
まだ夏が終わったばかりなのに。。。
中秋の名月は、旧暦の八月十五日。
それが9月8日になるのは、1976年以来38年ぶり。
20世紀以降で最早タイです。
ではなぜ、今年はこんなに早いのか。
そもそも旧暦八月十五日はどうやって決めるのか。
みなさん、カレンダーでも見ながら、一緒に確認してみましょう。
【1,新月はいつ?】
旧暦は、新月の日に、文字通り新しい月を迎えます。
つまり、新月が一日(ついたち)になるのです。
ちなみに、一日を「ついたち」と読むのは、「月立ち(つきたち)」からきているとか。
で、月の暦を見てみると、
8-9月は8月25日と9月24日が新月です。
この日が旧暦で、それぞれの月の一日になることが分かります。
【2,その14日後が十五日】
その月の一日が分かれば、十五日はその14日後。
9月8日と、10月8日が、それぞれの月の十五日になります。
再びちなみに、新月から満月まで、14日と少しかかります。
このため、新月を迎える時刻によって(例えば一日の夜遅くが新月だった場合など)、満月は十五日ではなく十六日に迎えることになります
【3,ついでに毎月の最終日は?】
次の新月の前日ですね。
9月23日と10月23日。
またまたちなみに、この日は晦(つごもり)もしくは晦日(みそか)と言います。
晦(つごもり)の語源は「月隠り(ごもり)」。晦日は現在も、大晦日という言葉で残っていますが、本来であれば新月になる直前の日に使うべきなのでしょう。
【4,八月はどっち?カギを握るのは・・・】
さて、8月25日-9月23日の月、
そして、9月24日-10月23日の月、
どちらが旧暦八月なのでしょうか?
ここでカギを握る日があります。それは、秋分の日。
旧暦は、「秋分の日を含む月が八月」と決めているようです。
今年の秋分の日は、9月23日。
これにより、8月25日の新月で始まる月が旧暦の八月で、
その十五日は9月8日と決まります。
今年の中秋の名月が早いのは、
晦日と秋分の日が重なったためだったのです。
【5,実質的には最も早いお月見です】
旧暦八月十五日になり得るのは、9月7日から10月8日まで。
秋分の日が、年によって9月22-24日と変わるためです。
ただし、ここのところの秋分の日はほとんどが9月23日。
そして、9月7日が旧暦八月十五日になるのは、
「秋分の日が9月22日で、それが晦日に重なった場合」です。
2012年、116年ぶりに秋分の日が9月22日となりましたが、晦日には重なりませんでした。
つまり少なくとも20世紀以降は、9月7日の中秋の名月はなかったことになります。
【6,10月8日の満月も見逃すな】
逆に、もしも今年の秋分の日が9月24日だったら、
最も遅い10月8日の中秋の名月が実現したことになります。
・・・こっちの方が、なんか秋らしい気がしますよね。
ですので、10月8日の月も見上げてほしいと思います。
実は、普段と違う赤い月が見える、とっても面白い天文現象があるのです。
これについては、そのうちまた(誰かが)書くと思いますのでお楽しみに。
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といわけで、旧暦八月十五日の決め方と、今年のお月見が早い理由でした。
5日にはお月見シスターズの新山が曜日についての記事を書きました。
「天体の運行と大きく関わる暦って面白いな」とあらためて感じています。
※1,一般的に旧暦というと、明治6年に太陽暦に改暦された直前まで使われていた「天保暦」のことを指します。
※2,国立天文台によると、旧暦の「公式な」計算は現在行われていないそうです。
ではみなさん、良いお月見を!

2013年の中秋の名月(渡部剛さん提供)
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余談ですが、「38年ぶり」という響きには、異様な高揚感を覚えます。
某プロ野球団の優勝でその言葉を幾度となく聞いた1998年の秋を思い出すから。
(あれも10月8日だったなぁ)
こちらは1960年、1998年ときたので、もし周期があるなら次は2036年かな。
もう少し早いと嬉しいんだけど。。。
星が好きなら、野球チームも「スター」が付くところが好きな、谷明洋でした。