研究者にとってのノーベル賞


こんにちは!科学コミュニケーターの梶井です!

もうそろそろ10月......
早いもので、平成最後の年度も残り半年になろうとしていますね。

と、しんみりした入りになってしまいましたが、10月と言えば?!
そうです、あのビッグイベントが近づいてまいりました!


ノーベル賞 です!!


※今年のノーベル自然科学3賞の発表は、10月1日(月)に生理学・医学賞、10月2日(火)に物理学賞、10月3日(水)に化学賞となります。


みなさんにとってノーベル賞はどんな存在ですか?


「なんかすごい賞」

「お金がたくさんもらえる賞」

「受賞者の大学に記念館が立ったり、プロジェクトが動いたりする賞」


などなど、きっと何らかのイメージや思い出をお持ちでは?

ちなみに、僕は、あるノーベル賞受賞者の著書を読んで化学を志したという記憶があります。


では、研究者にとってノーベル賞はどんな存在なのでしょう?ノーベル賞が贈られるということは、その研究分野にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

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2018年ノーベル化学賞を予想する②
ほしいものは折りたたんで作る!DNAオリガミ

こんにちは!科学コミュニケーターの鈴木です。
田中の化学賞の予想に引き続き、化学賞の予想、第2弾!早速予想します!

私の予想はDNAオリガミ!DNAを材料として好きな形をつくり、機能を持たせるという新たな化学の分野を創り上げたこのお二人です!


DNAオリガミ技術を利用したDNAナノテクノロジー分野の創成


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(左)
アメリカの化学者、ネイドリアン・C・シーマン(Nadrian Charles Seeman)博士
1945年12月16日生まれ。
ニューヨーク大学所属。
1982年にDNAを人工的に組み上げて構造体を作るDNAナノテクノロジーの基礎となる研究結果を発表。
写真提供:ネイドリアン・C・シーマン博士
(右)
アメリカの生物工学・コンピュータ科学者、ポール・W・K・ロザムンド(Pole W.K. Rothemund)博士
1972年3月14日生まれ。
カリフォルニア工科大学所属。
DNAを折りたたみながら任意の形を作る手法「DNAオリガミ」を2006年に開発。
写真提供:ポール・W・K・ロザムンド博士 (Courtesy of Patrick W. McCray)

※シーマン博士は「DNAを自在に操り、微細な構造を作る」というDNAナノテクノロジーの考え方を創り出しました。DNAオリガミという言葉はロザムンド博士が創り出しています。

※ロザムンド博士はDNAオリガミ(英語ではDNA Origami)というネーミングに少し引っ掛かりを感じているようです。ori-DNAなどの方が良いのではないかなとおっしゃられてました。

 

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祝・12年連続日本人受賞!2018年イグノーベル賞 速報!

こんにちは。
科学コミュニケーターの綾塚達郎です。
本日、日本時間7:00から行われたイグノーベル賞授賞式の速報をお送りいたします!

20180914_ayatsuka_01.jpg(朝からイグノーベル賞のためにスタンバイ!)


イグノーベル賞は、「笑い、そして考えさせられる」業績に対して送られる賞です。

1991年からはじまったこの賞は、実は日本人が数多く受賞している賞でもあります。
昨年はイグノーベル生物学賞を受賞しております。

科学コミュニケーターブログ
祝!11年連続!イグノーベル賞日本人受賞!!雌雄の役割が入れ替わった昆虫の研究
http://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/20170915IgNobel.html

この受賞により、2017年まで11年連続受賞。
2018年イグノーベル賞において、12年連続受賞は達成できるのか!?


■祝!日本人12年連続受賞!

今年もやりました~!

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Medical Education Prize
Akira Horiuchi [JAPAN],
for the medical report
"Colonoscopy in the Sitting Position: Lessons Learned From Self-Colonoscopy."



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2018年ノーベル生理学・医学賞を予想する②腸内細菌が医療を変える!?

こんにちは!科学コミュニケーターの山川です。

櫛田の予想に引き続き、医学・生理学賞の予想、第二弾!早速予想します!

私の予想は、お腹の中に共生している腸内細菌の解析法を確立し、腸内細菌叢がその人の健康状態などにどう影響をするのかの研究に貢献しているこちらの方です!!!
最大の推しポイントは、病気や体質の環境要因の一つとして、腸内細菌叢が影響を与えていることを科学的に明らかにしたところです。腸内細菌叢研究は今後の医療などを変える可能性があります!

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腸内細菌叢の生理的・機能的な研究
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ジェフェリー・ゴードン(Jeffrey I. Gordon)博士
アメリカの微生物学者
1947年生まれ。
ワシントン大学(セントルイス)所属。
Photo by Dr. Jeffrey I. Gordon

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2018年ノーベル物理学賞を予想する① 光を自在に操る人工素材!

20世紀の進歩を支えた技術は、"電気"を巧みに操るエレクトロニクスだった。そして次は、"光"さえも自在に操ろうと挑戦が行われている...

 

 

こんにちは!ノーベル物理学賞チーム、通称「ぶつりーず」の伊達です。今回は、ノーベル物理学賞の予想ブログ第1弾! 私が受賞を予想するテーマはこちら!

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光を自在に操る素材「フォトニック結晶」の研究と開発

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そして、私がこのテーマでの受賞を予想する研究者の方々は、こちらの3人!

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左から、
エリー・ヤブロノビッチ (Eli Yablonovitch) 博士
オーストリア生まれの物理学者 (現在の国籍はカナダ、アメリカ)。1946年生まれ。カリフォルニア大学バークレー校所属。写真提供:Eli Yablonovitch

サジーバ・ジョーン (Sajeev John) 博士
インド生まれの物理学者。1957年生まれ。トロント大学所属。写真提供:University of Toronto

野田 進 博士
日本の物理学者。1960年生まれ。京都大学所属。写真提供:野田進

1987年、エリー・ヤブロノビッチ博士とサジーバ・ジョーン博士による研究概念の提唱により、光を3次元的に操る事ができる可能性が提示され、これをもとに次々と研究成果が発表されました。この概念を実際にモノとして実証し、応用面で多大な貢献をし続けている方が野田進博士です。

◆この研究のどこがすごいのか?

身の回りの電気製品を見て下さい。いわゆる電気コードがありますよね。銅などの導線を絶縁材でくるんだものです。電気の通り道(導線)を、電気を通さない素材で包んで、電気を好きな場所へと導きます。
光を操ろうとした場合も、狙った場所に運ぶ「光の通り道」を、光を通さない何かで囲めば、簡単に光を運ぶことができそうな気がしますが、長年これがうまくできませんでした。光を通さず、吸収もしない「光の絶縁体」がなかったためです。
そこに登場したのが、「フォトニックバンドギャップ(PBG)」を備えた素材です。PBGとは、特定の波長を持った光だけを全く通さない性質があり、「光の絶縁部」として使えます。この素材が開発されたことにより、人類は光を巧みに操る道具を獲得しました。

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2018年イグノーベル賞を予想する③ 鏡で自分を見ると食事をおいしく感じる


どうもこんばんは。2018年のイグノーベルおじさん担当の福井です。今年もイグノーベル担当で受賞研究を予想しようということになったので、福井が予想する研究の紹介なのです。



  • イグノーベル賞を予想する!?

「イグノーベル賞を予想する」、と言うのは簡単ですが、実際やってみるとこれがなかなか難しい。ノーベル賞の受賞予想はまだいいのです。簡単とは言いませんが、手掛かりがたくさんありますからね。ノーベル賞の授賞者予想であれば、①まだノーベル賞を受賞していない、②その分野で革新的、革命的な変化をもたらした業績である、③その分野でノーベル賞の前哨戦と言われる国際賞を受賞している、④存命である、等のいくつかの条件でふるいにかければ、自ずと候補は絞られてきます。

しかしながら、イグノーベル賞の予想に関してはそういった手掛かりが何もありません。なにせ受賞条件が、「人々を笑わせ、そして考えさせる」、「マネができない、するべきではない」、「驚愕するほどバカげている」といったものです。もちろんイグノーベル賞の前哨戦のような国際賞もありません。ネットで検索するにも、適切なキーワードが何も思いつきません(それに可笑しい研究と自ら名乗る人もいません)。毎年発表される膨大な研究の中から、どうやってイグノーベルにふさわしい研究を見つけるのか・・・、河原で珍しい石を探すようなものではないか......。しかも、何が珍しいのかさえわからない......。

というわけで、私が取った最終手段は、「力業」でした。すなわち、イグノーベル賞と親和性が高そうな学問分野の学会要旨集に、片っ端から目を通すという作戦です。生態学会、進化学会、心理学会・・それなりに面白そうな研究は見つかるものの、イグノーベル賞にふさわしい、ガツンと来るものが見つからない。疲れてぼーっと要旨集のpdfファイルをスクロールしていると、最後に目を通した、2015年の認知科学会要旨集の中にそれはありました。「鏡で自分を見ると食事をおいしく感じる」

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2018年ノーベル生理学・医学賞を予想する①
アミノ酸、足りてますか?
あなたの体の栄養分の見張り番

 ブログでは初めまして!科学コミュニケーターの櫛田康晴(くしだ・やすはる)です。前回の田中沙紀子による化学賞の予想に引き続き、生理学・医学賞の予想、第一弾!早速予想します!

 私の予想は、細胞が大きくなったり増えたりするタイミングを決める「mTOR」というタンパク質を発見した、こちらのカッコいい御三方です!

細胞の栄養状態のセンサーであるmTORの発見

20180905_kushida_01.jpg(写真はいずれもご本人提供)

(左側)マイケル・N・ホール(Michael N. Hall)博士
スイスの生物学者。1953年生まれ。バーゼル大学バイオセンター所属。
1993年に酵母を使って遺伝学的にTORを発見。

(中央)スチュアート・L・シュライバー(Stuart L. Schreiber)博士
アメリカの化学者。1956年生まれ。ハーバード大学ブロード・インスティテュート所属。
1994年に哺乳類細胞から生化学的にmTORを分離。

(右側)デイビッド・M・サバティーニ(David M. Sabatini)博士
アメリカの生物学者。1968年生まれ。マサチューセッツ工科大学ホワイトヘッド・インスティテュート所属。
1994年に哺乳類細胞から生化学的にmTORを分離。

■「mTOR」の発見って何がすごいの?

 「エムトール」と発音します。洗剤のような名ですが、もちろん違います。いったい何者?何が凄いの?って、これが凄いんです、本当に!

 mTORは細胞の中に浮かんでいるタンパク質の一種ですが、細胞内の栄養状態を見張っているセンサーとして働いています。さらに、栄養の量に合わせて、細胞を大きくしよう!とか分裂して数を増やそう!といった判断をする司令塔としても働いていることが分かっています。

 そんな栄養状態を顧みずにどんどん増殖してしまうのががん細胞。その一部ではmTORが正常に働いていないことが分かってきています。またmTORは、2016年に大隅良典博士がノーベル生理学・医学賞を受賞した「オートファジー(自食作用)」のスイッチにもなっています。さらに、老齢マウスでmTORの作用を調節するだけで寿命が延びたというシンプルな実験結果が発表されました。これが大反響で、なぜ寿命が延びるのか、その仕組みが今世界中で研究されています。

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豪雨をもたらす積乱雲は 本当に急速に成長する

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夏も終わりに近づいてきました。

ここ最近、暑い日の夕方に、思いがけない突然の大雨に打たれた方も多いではないでしょうか?

 

ゲリラ豪雨とも呼ばれるこのような大雨をもたらす犯人は、積乱雲。巨大な塔のように縦にモクモクと伸びる雲です。急速に発達するため、今の気象予測技術では予測が難しく、盛んに研究が行われている分野です。

 

では、「急速に」ってどれくらいの速さでしょう?

雲ができ始めてから雨が降るまで、20分ほどといわれています。

でも、20分もあれば、カップラーメンを6回も作れるし、Youtubeの動画なら2~3本見られるし、同僚に人生相談したらうまくいけば答えまで見つかるかもしれません。

 

「『急速に』と言われるけど、20分って結構あるよな~。」

と、積乱雲の話を見聞きするたび、思っていました。つい最近までは。

 

先日「本当に急速だ。」と実感した出来事があったので、ご紹介します。

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2018年ノーベル化学賞を予想する①
脂質なしでは成り立たない細胞内シグナル伝達

ブログでは初めまして!科学コミュニケーターの田中沙紀子です。
今年のノーベル賞を予想するこの企画の先陣を務めます。まずは化学賞の第一弾!早速いきましょう。

私の予想は、細胞の膜の素材となっている脂質の研究をしたルイスC. カントレー(Lewis C. Cantley)先生です!

脂質は膜として細胞を単に物理的に支えているだけでなく、まわりからの働きかけに応じて細胞が反応を示すプロセスでも重要な役目を果たしていたのです。しかも、糖尿病やがんにもかかわっていそう......。ですが、その役目を果たす脂質が細胞内にごくわずかしか存在しない特殊なものだったこともあり、発表当初は、研究者仲間にも、なかなか信じてもらえなかったそうです。

私は学生時代に脂質の研究をしていたので、脂質の大切さとおもしろさを少しでも知ってほしいという気持ちも込めて、ご紹介します!


細胞内のシグナル伝達にかかわる新しい脂質の発見



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ルイス C. カントレー(Lewis C. Cantley)博士
1949年生まれ
Sandra and Edward Meyer Cancer Center所長
写真提供:John Abbott

◇細胞はリン脂質の膜に包まれている

「脂質」と聞くと、みなさんの頭にはどんなモノが思い浮かびますか?お肉の脂身や揚げ物の油??おなか周りの贅肉??このような脂質が思い浮かぶ方は『脂質=体に悪いモノ』という印象があるかもしれません。たしかに脂身や油ものの摂りすぎや太りすぎは健康にとってNG!でも、脂質を悪いモノとして避けすぎてしまうのも困りものです。実は脂質は私たちの体になくてはならない大切な物質。というのも、脂質がなければ、そもそも私たちの体をつくっている細胞は存在すらできないのです。

細胞は細胞膜という膜に包まれています。そして細胞の中には、体の設計図であるDNAが入っている核や、小胞体、ミトコンドリアなどの細胞内小器官があり、それぞれが膜によって仕切られています。そして細胞膜だけなく、それぞれの細胞内小器官すべての膜を作っている主成分が、「リン脂質」という脂質なのです。

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ですから、このリン脂質がなければ細胞は存在できず、私たち人間も存在できなくなってしまいます。リン脂質があるから、細胞の外と中を区切ることができ、細胞は細胞として働くことができるのです。細胞内小器官も、膜で仕切られることで、それぞれの機能を効率よく果たすことができています。細胞のなかにはリン脂質がたくさんあることも、おわかりになると思います。

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2018年イグノーベル賞を予想する②
鼻で天気がわかる?雨が降る前のにおいの正体は?

こんにちは!
2018年イグノーベル賞の受賞予想ブログ第二弾は、今年からイグノーベル賞担当メンバーになりました綾塚がお送りいたします。

イグノーベル賞は、「笑い、そして考えさせられる」業績に対して送られます。
今回は3人の科学コミュニケーターが受賞しそうで面白い研究を1つずつ紹介しております。イグノーベル賞は何賞があるのかさえ年によって変わるので、当てようというよりも、こんなに面白い研究があった!と言わずにはいられない......というのが本音です。

今回はその第2弾となります!


■イグノーベル受賞予想2 「鼻で天気がわかる?雨が降る前のにおいの正体は?」

雨が降りそうなときのにおい、感じたことはありますか?
雨が多い日本では、このようなにおいをかぐ機会が多いかもしれません。
未来館のトークイベントで「雨のにおいをかいだことはありますか」とお聞きすると、結構な割合で手が上がります。


ですが一体、なぜにおうのでしょうか?


このにおいの仕組みを明らかにした研究が、当時マサチューセッツ工科大学にいたYoung Soo Joung氏らによる研究、「Aerosol generation by raindrop impact on soil」です。


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Young Soo Joung氏
(淑明女子大学)


研究によると、雨がふりそうなときのにおいの正体は、別の場所の土や草などのにおいなのだそうです。

「え、雨そのもののにおいじゃない!?」

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