イベントレポート「のぞいてみよう!研究室」

みんなのアイデア大集合!空気砲の新しい使い方

2023527日午後、未来館の研究エリアに入居している「xDiversity(クロスダイバーシティ)」プロジェクトの研究室ではとある機械について使い方のアイデア会議が行われました。

四角い箱に穴が開いた謎の機械、一体なんでしょう?

この機械はより遠くに空気のかたまりを飛ばすことができる空気砲「Air Talk-Starter(エア トーク スターター)」です。xDiversityプロジェクトに所属する小嶋凌勢(こじまりょうせい)さんが作っている空気砲を見て、プロジェクトメンバーでろう者(耳が聴こえない人)の設楽明寿(したらあきひさ)さんがコミュニケーションの道具として使う事を思いついたそうです。ろう者、難聴者(聴こえにくい人)に呼びかける代わりに、この空気砲を打って気づいてもらって、会話をはじめようというのです。
科学実験でおなじみの空気砲にこんな意外な使い方があるとは! もしかすると空気砲には他の可能性も秘められているかもしれません。

左が設楽さん、右が小嶋さん。小嶋さんが手に持っているAir Talk-Starterで設楽さんに話しかけようとしています。

ということで、未来館のお客様にも協力してもらって、アイデア会議を行いました。
アイデアを出す前に、それぞれの「好きなこと」、「最近こまっていること」を教えてもらい、それをもとに空気砲の新しい使い方のアイデアを考えます。
個性豊かで斬新なアイデアや、他の人のアイデアと組み合わせた新しい使い方がたくさんでてきました。

中でもAir Talk-Starterの開発者小嶋さん、設楽さんも驚いたアイデア3つをご紹介します!

参加者のみなさんとアイデア会議!右奥の黒い服の方が小嶋さん。

好きなこと おえかき
→目が見えない人に、空気の強弱で色を伝える

Air Talk-Starterは空気の塊が当たったときの力の強さを変えることができます。
強い空気の時は赤色、弱い空気の時は緑色なんてあらかじめ決めて、空気の感触を覚えてもらったら、目の見えない人に色の情報を伝えられます。
空気の感触を使った新しいコミュニケーションが生まれるかもしれません。

好きなこと おえかき→目が見えない人に、空気の強弱で色を伝える

好きなこと 動物をさわること
→猫の形の空気を出す 猫を触った時の感触も

想像してみましょう。Air Talk-Starterから発射された空気が猫の形をしていて、触ってみると猫をなでたときのやわらかな感覚がする。これはなかなか思いつかないアイデアじゃないでしょうか?
気軽に動物と触れ合えないという人にもうれしい使い方ですね。

好きなこと 動物をさわること→猫の形の空気を出す 猫を触った時の感触も

最近こまっていること 家と学校が近すぎて運動にならない
→前からおして、学校からとおくさせる

Air Talk Starter を便利に使って快適に過ごせるようにするアイデアが多かった中で、人の行動をジャマするアイデアは貴重です。一目で見ると悪い印象になりがちなのですが、空気で体が押されてなかなか前に進めないという部分に着目すると、なかなかいいトレーニングができる良いアイデアに変わります。
このアイデアを聞いた設楽さんは「サッカーやボクシングの選手の練習として、飛んでくる空気のかたまりを避けるトレーニングをしてもらうのもいいかもしれない」と、また別のトレーニング方法を考えていました。

最近こまっていること 家と学校が近すぎて運動にならない→前からおして、学校からとおくさせる

好きなことや困っていることが違う人たちが集まって一緒に考えた結果、面白いアイデアがたくさん生まれました。生活を便利に、楽しくしてくれるような使い方があった一方で、中には「人を空気の力で押して学校から遠ざける」という便利とは逆の使い方まで。良くも悪くも色んな可能性がAir Talk-Starterにあります。
さて、たくさんのアイデアが提案されましたが、どんな使い方をしていけばいいのでしょう?

イベントの最後に設楽さんからこんなお話がありました。
「今考えているAir Talk-Starterの使い方が本当にいいものか、まだ私にもわかりません。もしかすると、なにか新しい問題を生み出すかもしれません。今日のように色んな人たちと、使い方について考えていきたいです」
ろう・難聴者の人とコミュニケーションにAir Talk-Starterを使うのはいい使い方なのか。この問いを考えるのにも多様な人の考えを知ることが大切です。

Air Talk-Starterだけでなく新しい技術をつくるとき、使うときには、多様なみんなの視点が欠かせません。
一見すると良さそうな新しいアイデアに出会ったとき、「自分以外のみんなはどう感じるだろう?」と、立ち止まって自分とは立場の違う人と話してみてはいかがでしょうか。

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