ミッション・ポッシブル~宇宙報告編~

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みなさん、こんにちは。

今回はサイエンスアゴラ2012で開催した「ミッション・ポッシブル~宇宙探査編~」の報告編です。

お客様から、参加したかったのに締め切ってた・・・というお声もいただいておりました。本当にすいません! ここで内容を少しでもお伝えしようと思います。

当日は講師として宇宙航空研究開発機構(JAXA)生物医学研究室から5名の方をお招き致しました。

話のはじまりは宇宙飛行士について。まず宇宙飛行士になるための条件、みなさんはどんな想像をするでしょうか? 筋肉ムキムキ? 博士号を持っている? スーパーマン??

宇宙飛行士候補者になるための条件、それは・・・

メインにお話していただいたJAXAの山田深さん。

【宇宙飛行士候補者になるためには】

身長:158~190cm

体重:50~95kg

血圧:最高血圧140mmHg以下、最低血圧90mmHg以下

視力:矯正視力1.0以上

体力:服を着て75m泳げること   など…

みなさんの想像よりもぜんぜんゆる~い条件だったのではないでしょうか。ちなみに、服を着て75m泳げなければいけない理由は、宇宙服を着て海に不時着しても溺れないようにするためだそうです。

じゃあ宇宙飛行士になってから、スーパーマンになる訓練をしていくのでしょうか。

船外活動などハードな仕事をこなさなければいけないわけです。そりゃ相当な運動能力が要求されるはずです。

 【宇宙飛行士に任命されるための運動能力チェック項目】

 ・腕立て伏せ

・腹筋

 ・懸垂

・長座体前屈  などを平均的にこなせること

あれ? これだけ? そんなに厳しい条件ではありませんね。意外です。

会場では、みんなで腕立て伏せをして自分の能力を確認。各年齢に設定された日本人の平均回数までできた人はあまりいませんでした。

参加者のみなさん、笑顔の中にもどこか落胆の色が・・・

さて、宇宙飛行士が平均的な運動能力を持ったふつうの人間だというのがわかったところで、話は宇宙飛行士の仕事について。

打ち上げられてから、地球に帰還するまでが宇宙飛行士の仕事です!というJAXA山田さんのレクチャー。学校の遠足と同じですね。

船外活動ばかりが注目されがちの宇宙飛行士の仕事ですが、打ち上げに際する機器の操作から、国際宇宙ステーション(ISS)での科学実験、ロボットアーム操作、そしてソユーズ宇宙船で無事に帰還することまで、宇宙飛行士の仕事は非常に多岐にわたります。

さて、ここでミッションが発令!

MISSION1:宇宙飛行士の1日をデザインせよ 

ここではまず、みなさんに宇宙と地球(前日)の1日のタイムスケジュールを作ってもらった上で、実際の宇宙飛行士のISSでのタイムスケジュールと比較をしました。

ISSでは、8.5時間勤務のほかに、2.5時間が“残業”として運動が義務づけられているそうです。そして食事の内容が、地上の暮らしとは大きく違うという説明を受けました。

注目ポイントは“食事””運動“という話になっていきます。

食事は本物の宇宙食を手にとって直接みていただきました。チューブになっている形状やマジックテープが付いている点などに、みなさん驚かれていました。ちなみに食事のメニューは16日間で1回転するよう組まれているそうです。

パックになった食事にみなさん興味津々です。

運動に関しては、先ほどのタイムスケジュールにあったように、1日2.5時間。うち、特殊な機械を使った筋肉トレーニングと持久力トレーニングがそれぞれ1時間は含まれます。これを週に6日間。1日は休みがあるとは言え、私たちの日頃の運動不足が頭をよぎりますね。

さて、このように食事や運動をしっかりと管理されている宇宙飛行士ですが、地球に戻ってくると、立つことすらままなりません。その仕組みについては、メダカの実験などで研究がすすめられていますが、はっきりとした理由については未だに明らかではありません。

前回ブログ参照:http://blog.miraikan.jst.go.jp/event/2012101919691

現在の宇宙飛行士の滞在期間は最長でも約6ヶ月。半年も宇宙にいると、骨量は7%も低下し、筋肉は10~15%も萎縮してしまいます。数字だけではピンと来ないかもしれませんが、先ほども書いたとおり、これでは地球では立つことさえ大仕事。

さあ、こんな大問題に直面したところで、2つ目、3つ目のミッション発令です。

MISSION2:火星に行くための食事&運動を創造せよ!

MISSION3:そのアイデアを地球に活かせ!

火星までの道のりは片道約2年間。火星に到達するころには、手足はタコみたいにフニャフニャになっているかもしれません。そんな想像を含め、いろいろな楽しいアイデアがたくさんでてきました。

農業をするという地産地消の考え。

地球にしっかり報告をして、地球でも考えてもらうというアイデア。

大豆を食べる!というアイデア。筋肉をつくるたんぱく質は重要な栄養源です。

問題は脳にあるかも!?と脳のバランスに着目したするどい発表もありました。

日本人は風呂がないと生きられない!ねばねばのスライム風呂なら心もリフレッシュできるし、筋トレにもなりますね。

みなさんの斬新なアイデアで会場は盛り上がっていましたが、やはりなかなか難しかったのは、そのアイデアを地球の生活に活かすというところ。

JAXAの宇宙医学生物学研究室では、宇宙飛行士の暮らしを支える健康管理手法や医療技術に関する研究を行っています。単に宇宙飛行士が健康に生活できるようにするだけではなく、地球の私たちの医療にも貢献できるよう、日々研究が進められています。例えば、宇宙食の安全性を確保する技術は、私たちの食べ物を管理する一般的な手法として広く活用されていますし、筋肉や骨の機能が低下することを防ぐ技術は、高齢者の運動機能の維持や骨粗鬆症の改善に期待されています。

宇宙飛行士は私たちと基礎運動能力がほとんど変わらない“ふつうの人間”。そんな宇宙飛行士は老化が約10倍のスピードで進むというとても過酷な環境で、自ら体を張って実験をしているわけです。しかも、その研究成果は、意外とすぐに私たちの生活を一変してくれるかもしれません。

最後はこんなスライドで締めました。

宇宙で起きる骨や筋肉の大問題は、スピードの速い老化現象です。しかし、老化現象は地球上に住む私たちにもゆっくりと、そして確実に起こっている現象ですね。

私もこのイベントをきっかけに、地球上の自分の食事運動について、もう一度考えてみようと思うようになりました。そして宇宙医学研究室の今後の活動についても、注目!&みなさんにお伝えしていこう!と思っています。

お忙しい中ご参加下さいましたみなさん、本当にありがとうございました。

またお会いできる日を心待ちにしております。

そして、締め切り後で参加できなかったみなさん、本当にごめんなさい。宇宙キターッ!な楽しい企画をまた考えたいと思いますので、ぜひ参加してください。

みなさんのメッセージが書かれたボードはJAXAの筑波センターへ。 

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