森をつくる動物たち

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こんにちは!この4月に未来館に来ました科学コミュニケーターの高橋明子といいます。
よろしくお願いします!

少しずつ秋らしくなってきた今日この頃、あたりの木々にかわいらしい実がなっています。
未来館のまわりでも、マテバシイのドングリやクスノキなど、色々な種類の果実を見ることができます。

図1.モッコクの果実

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今、目にする木々は、どれも元をたどれば果実(種子)からの芽生えです。では、その果実は一体どうやって今生えている場所にたどり着いたのでしょうか?

実は、植物は果実(種子)のときに、一生に一度きりの旅に出ます。
植物は自分では動けないので、動物などに果実を運んでもらうのです。逆の見方をすれば、運び手である動物たちが、森を作っているともいえます。
さて、動物たちはどうやって果実を運んでいるのでしょうか?

図2.果実を運ぶ動物、ニホンザル

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まず一つ目。知らないうちに体にくっつけて運んでいるパターンです。
図3はオオオナモミですが、トゲトゲの先がフック状になっていて、動物の毛にくっつきます。まるでヒッチハイカーです。毛づくろいをするまで体にくっついているので、知らず知らず動物は果実を運んでしまいます。植物は運んでもらってラッキーですが、動物にとっては損も得もない、そんな関係です。
ところでこの形、どこかで見たことありませんか?実はマジックテープのモデルなんです。自然界には私たちが学ぶべきお手本がたくさんありますね。

図3.オオオナモミの果実(By kumori noasa - Flickr, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11739513

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そして二つ目。果実を食べて運ぶパターンです。
図4はヤマモモの果実です。未来館のすぐそばにも生えています。このヤマモモの果実は堅い種子のまわりを果肉が覆っています。サクランボやモモと同じような形です。
その果肉を食べるために、鳥類やほ乳類が果実ごと丸呑みします。丸呑みされた果実は動物のおなかの中に入り、果肉だけが消化されます。
種子はというと・・・糞と一緒にでてきます(図6)。つまり、動物はおなかの中で消化しながら種子を運んでいるわけです。動物にとって果肉は報酬で、種子を運ぶのはその対価ともいえます。
大きな動物であれば、たくさん果実を食べ、消化管が長いために消化に時間がかかります。そのため、たくさんの種子を長距離運ぶことができます。

図4.ヤマモモの果実(IPA「教育用画像素材集サイト」
https://www2.edu.ipa.go.jp/

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図5.ネズミモチ果実を食べるニホンザル

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図6.鳥の糞の中のタブノキ種子

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ところで、もしも動物がヤマモモのような果実を運ばなかったら植物はどうなるのでしょうか?
基本的には果実(種子)が親木の下に落ち、そこで発芽します(図7)。しかし、親木の下は日陰で暗い、種子そのものや葉を食べる昆虫などがたくさんいるので、発芽しても死亡率が高い、などなど、種子が親離れできないとあまりいいことはなさそうです。
このような植物にとっては、種子の運び屋である動物がいないと困るし、動物にとっても果実は大事な餌なので、お互い持ちつ持たれつの関係にあります。
「森を食べながら森を作っている」動物たちの力を借りて、植物は一生に一度きりの旅に出ます。

図7.運ばれなかったヤマモモの種子

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さて、そんな森に生きる動物に興味をお持ちの方に、オススメのイベントがあります。
未来館の7階にて10月2日(日)に開催される「東京フォーラム2016「世界の熱帯林に霊長類を探る」」というイベントです。
詳細はこちら<http://www.wildlife-science.org/ja/tokyo-forum/2016.html

世界の熱帯林は東南アジア、アフリカ、南米に集中していますが、そこには様々な霊長類が生息しています。霊長類の中には果実を主食とし、重要な種子の運び屋になっているものも多いです。そんな彼らが森とどんな関係を築いているのか、森の中でどんな社会を築き、どんな暮らしを送っているのか、3人の研究者の講演をお聞きいただけます。3人の追いかける対象種はどれも個性的で、サルってこんなに多様なんだと驚かされます。野生動物を追うことの大変さや面白さ、言葉も文化も全く異なる地での苦労話など、リアルな体験談も聞ける機会です。事前申し込みは不要で、無料です。奮ってご参加ください!

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