1mmの命、進行中  ~宇宙メダカの受精卵観察記~

こんにちは。

こんにちは。今年は雪がとっても多いですね。皆さんの地域は大丈夫でしょうか。地元の青森がちょっと心配な田端です。

ところで、未来館で飼育している宇宙メダカ(詳しくは大堀のブログをご覧ください) (リンクは削除されました)が最近毎日のように産卵しています。そこで、1月25日の朝、卵を発見してから閉館後30分までひとつの受精卵を観察してみましたのでその結果をご紹介します。

デスクワークや実演の合間を縫っての観察だったのですが、観察する度に必ず卵の様子は変わっています。その、命ができていく現場に居合わせているという感覚はなかなか感動的です。

1月25日 10:28 朝礼後

10時少し前に朝礼を終えて卵を発見!メスのおしりの辺りに6つほどくっついていたのを採取しました。

受精卵と未受精卵を見分けるポイントは、卵の内側に隙間ができているかどうか。受精をすると卵膜と卵の間に隙間ができてきます(囲卵腔)。この隙間ができることで、卵は他の精子が入り込むのを防いでいると考えられています。

中に見えるつぶつぶは油滴です。これがメダカの赤ちゃんの栄養源となります。

11:05 油滴に変化が

油滴がだんだん大きくなって一箇所に集まっていく様子がわかります。とってもゆっくりではありますが。

12:32

お昼を食べるのを惜しんで観察を続けます。油滴が大きくなりまとまっています。

動物の受精卵は球形をしていて、最初は見た目では上下左右の区別がつきません。

しかし、実は特別な場所が2カ所あって、便宜上、「動物極」と「植物極」と呼んでいます。

動物極は細胞の分裂が起こるところ、植物極はその反対側で油滴が集まるところ。細胞が分裂するときに油滴は邪魔になるので、反対側に移るのです。

14:57

14時のASIMOの実演を終えて見てみると油滴はさらに大きくなっていました。そろそろ分裂が始まるのかもしれません。(ASIMOは2022年3月31日に未来館を卒業いたしました。現在は実演は行っておりません)

16:08

もうすぐ閉館。油滴は完全に植物極に移動しています。動物極には透明な盛り上がりが。細胞がすでに8つぐらいに分裂しています。

17:36

動物極の分裂した細胞(割球)、もういくつに分かれているのか数えられません。

割球が層状になっています。 「桑実期」と呼ばれる時期になりました。

教科書によれば、このあと、いよいよ目や尾など身体づくりが始まり、10日ほどで小さなメダカが誕生します。

1994年向井千秋宇宙飛行士が宇宙から連れ帰ってきたメダカから、このメダカたちは18代目(だいたい)に当たります。人間での18代は、1世代30年と考えると約540年前、室町幕府8代将軍足利義政の時代までさかのぼります!生き物の世代交代を目撃するという尊い経験ができるのは人間ならでは、と思うのですが皆さんはどう思いますか。

と、ここで観察報告はここで終わり。今後の成長を楽しみにしたいところです。

こうして未来館の片隅で、宇宙メダカの遺伝子は脈々と受け継がれていきます。

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