買い物に行く前に...

こんにちは、科学コミュニケーター天野です。

展示フロアでお客様とお話ししていると、「なるほど~!」と感じ入る言葉を伺うことがよくあります。今回は、そんなお話の1つをご紹介します。

タイトルにした「買い物に行く前に…」は、「都市鉱山」のご説明をしているときに、お客さまが仰った言葉。未来館5F「地球環境とわたし」というエリアにある下の写真のような展示の前でした。

まず、この展示は何を紹介しているか、ですが…

写真では見にくいかもしれませんが、これは円錐の大きさで金属資源の量を表しています。赤線より下が日本、上は資源国の埋蔵量で、左からニッケル、銀、銅、金の量が比較できるようになっています。例えば金をみると、日本は6800トンで、他の名だたる資源国(南アフリカ共和国・6000トン、オーストラリア・5000トン、ペルー・3500トン)と比較しても、勝るとも劣らない量を保有していることが分かります。

※(独)物質・材料研究機構発表のデータを使用

日本のどこにそんな資源があるの?と思う方も多いのではないでしょうか。

その答えは廃棄された電化製品のなかです。捨てられた電化製品を集め、その中から資源を回収できたらこれだけの量になる、ということをこの展示は紹介しています。

廃棄された電化製品を鉱石、その山を鉱山とみたてて、「都市鉱山」とも呼ばれています。この鉱山には大変良質な鉱石がうまっています。というのも、天然鉱山では鉱石1トンに含まれる金は、せいぜい数十グラムですが、都市鉱山は数百グラムになります。

しかし、

この鉱石は集めなければ資源になりません。

電化製品の中でも携帯電話は質量当たりの資源量が多く、都市鉱山での良質な鉱石として注目されていますが、その回収状況は下のグラフのような状況です(出荷台数=買い替え台数ではありません、あくまで参考のために)。今年はスマートフォンへの買い替えが進み、2007年から4年ぶりに出荷台数が4000万台を超えると予想されていますが、回収台数はどう変化するのでしょうか?

出荷台数 : 一般社団法人 電子情報技術産業協会
回収台数 : 社団法人 電気通信事業者協会    公開データより作成

さて、上のようなことをお客様に話したところ、

「つまり、買い物に行く前に冷蔵庫をよく見ろってことだな」

という解釈が返ってきました。

使えるものがあるのに、それを見落として無駄にしてしまう。

都市鉱山の現状を言い当てる、非常に腑に落ちる表現でした。

感心すると同時に、自分は冷蔵庫の中を確認しているか?と考えさせられました。

使えるのに見落としているものが多いのでは……。

以前使用していた携帯電話は2年も使わずに買い替えてしまいました。思えば、スケジュール管理が便利だと思いスマートフォンに変えたのに、結局手帳を使っている……。

冷蔵庫の中身見てないなぁ。

と、

平たく言えば、「ものを大事にしよう」という月並みな結論に行き着いたわけですが、

まずはこの当たり前のことを実践しなければと思います。

そして、それでも出てしまう“不用になったもの”はリサイクル!

下のロゴマークのあるお店では

携帯電話・PHSの本体、電池、充電器をメーカー、キャリアに関係なく無償で回収してくれるようです!

机の中に使っていない携帯電話があったなぁ。出しに行こ!

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