「ともにつくるサイセンタン!」始まりました!

3月に始まった、研究者による実験イベント「ともにつくるサイセンタン!」。

第1弾のイベントは終わってしまったのですが、

第2弾(3月26日~27日)と第3弾(4月2日~3日)でも、

別の実験に参加できます!

こんにちは、志水です。

早速18日と19日に行われた第1弾の実験風景をご覧いただきましょう。

参加者は、未来館があるお台場の映像を見ています。手元のリモコンを操作すると、映像の中で歩き回ることができます。

実に楽しそうですが、これもちゃんとした実験なんです。

え?何をしているのかって?それは、読んでのお楽しみ。

この実験を行ったのは、産業技術総合研究所の蔵田武志(くらた・たけし)先生のグループ。蔵田先生は、情報技術を活用して視覚障がい者の方をサポートする研究をしています。今回の実験を通して、視覚障がい者向けの地図をつくるには、どのような技術があればよいのか検証しているのです。

視覚障がい者向けの地図とは、どのようなものなのでしょう?

段差や車止めのような障害物は、歩行の妨げになります。また、道に障害物がなかったら地図に情報は不要かというと、そうとも限りません。自分がどこにいるか分からなくなってしまうため、信号のように音が出る目印があると便利なのだそう。

そういった障害物や音の目印を地図上にみんなで登録して新しい地図をつくる試みを「マッピングパーティ」といいます。通常のマッピングパーティでは、たくさんの人が1カ所に集まる必要がありますが、蔵田先生はバーチャルに集まることで、もっと気軽にマッピングパーティを実施したいと考えています。そのために必要な技術は何で、どんな仕組みにすればいいのか、それをさぐるのが今回の実験なのです。

パソコン上で作業する例をご紹介しましょう。
まず、登録する目印の目の前に来るように画面を合わせて...

情報を文字入力します。 「街路灯」があるなら「街路灯があります」で十分ですが、「喫茶店」のような施設では、電話番号や営業時間も登録すると、優しいですね。

登録された目印の情報は、その位置とともに記録されます。そして、視覚障がい者のための「触れる地図」で目印がある場所を触ると、音声で情報を伝えます。

このような新しい技術は、実際に人間が使ってみないとその使い勝手が分からないことがほとんどです。参加者からのご意見を元に、研究者は新たな方針を組み立てるわけです。科学技術は最終的に人間が使ってこそ価値があるもの。実験に参加していただく皆さんのご意見が新しい科学技術をつくっていきます。

今回の実験では、「人によって呼び方が変わる障害物もあるのでは?」「荒らし(嘘の情報を書き込む人)には、どのように対処するの?」といったご意見が参加者からでました。

参加者のご意見を熱心に聞く蔵田先生(左)。

新しい科学技術は、自然に生まれるわけではありません。研究者の方が必死に考え、使う人の意見をフィードバックさせることで、だんだんと改良され、社会に浸透していくものです(私は研究開発の現場を思うとき、「世界は誰かの仕事でできている」という某缶コーヒーのキャッチフレーズを思い出します)。

だからこそ、人と人が出会って科学技術が誕生する場に立ち会いたい!そんな思いで、私たちはこのイベントを企画しました。

このイベントは、研究者と一般の参加者が研究を「ともにつくる」イベントです。第2弾は、からだの動きを測定し、製品開発に役立てる人間工学。第3弾は、愛想笑いと本物の笑いを見分ける、心理学の国際研究 です。どちらも当日会場にてご参加いただけます(詳細は下記スケジュールをご確認ください)。みなさんも、ぜひ一緒に新しい科学技術をつくってみませんか?

そして!この実験の結果は、随時科学コミュニケーターブログで
ご報告しますので、お楽しみに!

第1弾

ともにつくる サイセンタン! 「部屋にいながらマッピングパーティ ~視覚障害者移動支援システムの開発~」

視覚障害者のための地図をつくる先端研究をとりあげました。
(このイベントは終了しました。上記事でとりあげたものです。)

3月18日(金)、19日(土)
各日11:00~12:00、13:00~14:00、15:30~16:30

第2弾
ともにつくる サイセンタン!「一挙手一投足をじっくり観察!」
身体運動に関する実験に参加してみませんか?モノの持ち方や歩き方に現れる、あなたの動きの特徴を見てみましょう。

3月26日(土)、27日(日)
各日11:00~12:00、13:30~14:30、15:30~16:30

第3弾
ともにつくる サイセンタン!「笑い声鑑定所~その笑い声、ホンモノ?ニセモノ?~」
何種類かの「笑い声」を聞き、その笑いが心の底から生じる笑いか、それとも表面上の愛想笑いかなどを判断していきます。この機会にぜひ感情の違いについて考えてみませんか?

4月2日(土)、3日(日)
各日10:00~11:15、11:45~13:15、13:45~15:15

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