未来館は連日、ノーベル賞に盛り上がりました。 (リンクは削除されました)
みなさんもお楽しみいただけましたか?
私も、専門分野が受賞すれば、すぐさま手伝おうとスタンバイしていたのですが……う~ん、ウミウシ (リンクは削除されました)がノーベル賞を獲る日はいつか来るでしょうか!?
同じ海の生き物でも、クラゲはノーベル賞を獲っています!
……いえ、受賞したのはクラゲではなく下村脩先生ですね。
オワンクラゲから取り出した蛍光タンパク質の研究で2008年に化学賞を受賞されました。下村先生の研究が素晴らしいことは言うまでもありません。でも、その研究のタネを持っていたのはクラゲ。クラゲの功績も讃えたい!と私は思います。
さて、今回はクラゲのお話。
ノーベル賞の話題ではなく、夏休み科学イベント「それゆけ!自分だけの深海生物」からのお話です。(イベントレポートはこちら) (リンクは削除されました)
イベントでは、参加者のみなさんに、新しい深海生物を考え、それをイラストや工作で表現していただきました。もちろん、ただ新しいだけではダメ。深海の環境を生き延びるための作戦を考えることがポイントです。
これはどうだ!と考え出されたたくさんの作戦。その中には、実際の生き物たちが採用しているものもありました。それも、大人のお客様がひねりを利かせて考えてくださった作戦で、です。
お客様のイラストと共に、クラゲの作戦をご紹介していきます。
その作戦、クラゲがやってます! その1
うすっぺらなクラゲが縦につながった「ぺらぺらくらげ」。
矢印は、いずれは1つずつが離れ新天地へ飛び出すということでしょうか。
私は、この絵を見て、ピキーン!ときました。
これは、ストロビラだ!!
どうですか!
縦に積み重なるこの様子、イラストにそっくりだと思いませんか!?
それより、これがクラゲなの?とお思いでしょうか。
クラゲです。
それも、海や水族館でよく見るミズクラゲです。
クラゲと聞くと、この写真のような姿をイメージしますね。
でも、これはほんの一面。
ミズクラゲは一生の中で、いろんな姿に形を変えます。
そして形ごとに呼び名もついています。ストロビラはその1つです。
ミズクラゲはプラヌラと呼ばれる小さなプランクトンの時期を経た後、どこかにくっついてポリプになります。ストロビラは、ポリプがびよーんと縦にのびて、多数のくびれができる時期のこと。(ちなみに、くびれる過程はストロビレーションといいます。)
くびれてできたひだは、薄くなり、剥がれ、1匹ずつが新しいクラゲになります。
ミズクラゲはストロビレーションによって、1個の受精卵から、たくさんのミズクラゲを生んでいるのです!
それも、ポリプの下の方はポリプのまま残り、のびてストロビラを作り……と、環境が良ければ際限なく増え続けることができるのです。
そりゃあ、大量発生するわけだ。
種によっては、ストロビラにならないものもいます。でも、多くはそれぞれに、1個の受精卵から大量生産する作戦を持っています。また、ミズクラゲは深海生物ではありませんが、深海にはたくさんのクラゲがいます。「地球はクラゲの惑星」と言う研究者もいるほど。
もはや、なぜクラゲに埋め尽くされないのかが不思議なくらいです。
その作戦、クラゲがやってます! その2
大きい口や目を持つなど自分の身体を改良する作戦が多い中、たくさんの部下を引き連れてなんとかする集団戦法。その発想はなかった!
しかし。
クラゲは似たようなことをやっています!
それは、クダクラゲの仲間たち。
クダクラゲは、たくさんの個体(個虫と呼びます)が集まり、あなたは遊泳係、キミは食料調達係、私は繁殖係……と分業をして1つの生き物の機能をしています。これはまさに、“大阪支店”、1つの会社のような姿です。
深海には40mにもなる巨大な“支店”もあるそうです。強い支店長が全体を取り仕切るというよりは、それぞれの個虫がそれぞれに仕事をすることで、調和がとれた1つの生き物のように機能しているようです。なんてスマートな会社でしょうか。
クダクラゲは、その姿も魅力的です。
脆くはかなげなガラス細工のような美しさを、画像検索でぜひご覧下さい。
ふよふよと漂うだけに見えるクラゲたち。
けれどもちゃんと自分の作戦を持って、過酷な環境を生き抜いている。
すごいやつらです。
(深海生物の作戦紹介、第1弾のメタボ編はこちら) (リンクは削除されました)